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コミュ障、異世界転生で存在消失す ~透明人間はスローなライフも思いのままでした~  作者: 好きな言葉はタナボタ


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第87話 G

自宅に戻ったエリカは、シバー少尉との会話でケーキ屋の一件を持ち出してみた。


チーン(名店のケーキ屋に軍人が出入りしてたんだけど、少尉は何か知ってる?)


「名店のケーキ屋って、あのイートイン・オンリーの?」


ちんちん(そうそう)


「それならアリスちゃん捕獲作戦ですね」


チンッ!?(なぬっ!?)


「あ、これエリカさんに言っちゃって良かったのかな? 構わないですよね、もはやエリカさんもザルス共和国軍の士官なんですから」


チン?(アリスちゃんは捕まったの?)


「私もまだ聞いてないんですー」


チン?(いま訊けばどうかしら?)


「そうですか? じゃあ」


シバー少尉はケータイ・テレホンを取り出すと、誰かの番号にかけた。


「あ、もしもし。シバーです。 例の作戦はどうなりました? ヒロサセ少尉の... はい。 はい。 まあ、そうなんですか。 で、メカジキ少尉は大丈夫なんですか? まあ! それは良かったですね。 ええ、もちろん、不幸中の幸いという意味です」


しばらく話し込んで、シバー少尉はテレホンでの通話を終えた。


                  ◇❖◇


シバー少尉は通話で得た情報をエリカに伝え始める。


「アリスちゃんを名店ケーキ屋に誘い込むまでは良かったんですけど、メカジキ少尉が《支配》の呪文を唱え始めたときに邪魔が入ってアリスちゃんに逃げられたそうです」


チン?(アリスちゃんをケーキ屋に誘い込んだの?)


「チョコレート・ケーキ祭りでおびき寄せました。 南の商店街を中心にビラを大量にバラ撒いて」


チン?(チョコレート・ケーキ祭り? 私も参加したかったなー。 それはそうと、ケーキの名店でチョコレート・ケーキ祭りなんか開催しちゃったんなら、店内には他にも大勢のお客さんがいたんじゃ?)


チン1つで伝えるにはさすがに長過ぎたか? エリカはヒヤリとしたが、どうやらベルの音はエリカの言いたいこと全てをシバー少尉に伝えきってくれたようだ。 シバー少尉はチン音(ちんね)の解読に少し時間をかけたものの、エリカのメッセージをきちんと理解した。


「ええ。 だから『店内にGが発生した』と軍に通報があったという名目で一個分隊を名店に突入させて、アリスちゃん以外のお客さんを全員店から追い出したんです」


チン?(Gってなに?)


無邪気に尋ねるエリカ。


「エリカさんはGを知らないんですか? わりとどこにでもいるモンスターなんですけどね。 黒くてカサカサ音を立てて壁を歩」


チンチンチン!(ストップ! もういい。 もうわかった)


「ときどき飛ぶことも」


チンチンチン!(知ってる。 知ってるからもういい)


エリカの要請に応じて発言を中断したシバー少尉。 しかしエリカには1つ疑問があった。 話題を変えたいと思いつつも、エリカはその疑問を口に(チン)せずにはいられなかった。


チン?(ところでさ、アレって... モンスターだったの?)


「『アレ』ってGのことですか? Gはモンスターですよ」


シバー少尉は、何を当たり前のことをと言わんばかりの表情である。


チン?(ホントなの? 昨日も台所で見かけたんだけど。 あれって軍が介入するようなモンスターなの?)


「台所で...?」


チ、チン...(そうよ。 ほら、さっきあんたも言ってた。 く、黒くてカサカサ音で壁を歩く...)


「台所で、黒くて、カサカサ音...?」


シバーは少し考えて答えにたどり着いた。


「あー、ごきぶりのことですか? Gとごきぶりは別物ですよ。 見た目も行動もほとんど同じなんですけどね、Gは叩き潰すと金色の霧(マナ輸送体)を放出します。 モンスターである証というわけですね。 これに対してゴキブリは叩き...」


チンチンチンチンチン!(ストーーップ! はいそこまで。 それ以上は禁止!)


立て続けに鳴らされるエリカのベルの音に、シバー少尉は人差し指を両耳の穴に差し込んで抗議する。


「そんなにチンチンチンチン鳴らさなくてもいいじゃないですか!」


チン(あんたねえ、言って良いことと悪いことがあるでしょう? おまけに、あのクリーチャーの名前を3回も口にしちゃって)


「クリーチャーって? ゴキブリのことですか?」


4回目である。 もう耐えられない。 エリカはリビングから退散した。


                  ◇❖◇


自室で気力を回復したエリカはリビングへと戻ってきた。 シバー少尉に聞きたいことがまだ残っている。


チン?(客を追い出したんならアリスちゃんも一緒に逃げちゃったんじゃないの?)


「彼女はチョコレート・ケーキで痺れていたはずです」


チン(痺れ薬ってわけ? あんたたち、そればっかりね)


突き放すようなエリカの言い方に、シバー少尉は少し傷ついた表情を見せる。


「『あんたたち』だなんて言い方はよしてくださいよ。 エリカさんも仲間じゃないですか」


シバー少尉の抗議を無視して、エリカはさらに質問する。


チン?(《支配》の呪文の途中で邪魔が入ったというのは?)


「クーララ王国のエージェントだそうです」


(クーララ王国...? あー、前に私もスカウトされたっけ。 今度はアリスちゃんに目をつけてたのね)


チン(じゃあ、いまアリスちゃんの居場所は...)


「不明です」


シバー少尉の返答に、エリカはホッと胸を撫で下ろした。

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