表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
コミュ障、異世界転生で存在消失す ~透明人間はスローなライフも思いのままでした~  作者: 好きな言葉はタナボタ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

85/108

第85話 外出権

無性に散歩に行きたくなったエリカは、シバー少尉に外出の許可を要求することにした。


チン!(シバー少尉!)


「はいっ、ご用でしょうかエリカさん?」


ちん(お外に行きたいんだけど)


「外に何か用事でも?」


チン(特に無いわ。 けれど用事がないと私は外にも出られないのかしら?)


エリカはシバー少尉が相手であれば、かなり込み入った内容を「チン」の音1つで伝えられるようになっていた。 エリカのベル技術の向上はもとより、シバー少尉の側にベル音に対する感受性がはぐくまれたためである。


「うーん」


シバー少尉は頬に右手を添えて考え込んだ。


チン(ザルス共和国は人権の概念も無いような後進国なのかしら?)


「うーん、それは......」


チン(人を家に閉じ込めておいて、利用したいときだけ利用するのかしら?)


エリカの指摘はシバー少尉の良心を刺激したが、エリカに直ちに外出の許可を与えるには至らなかった。


「うーん、ちょっと大佐に問い合わせてみますね」


そう言ってシバー少尉はケータイをどこかから取り出そうとする。


大佐に連絡されると面倒だ。 エリカはベル音の雨あられを少尉に浴びせかけた。 チンチンチンチンチン!


あまりのうるささに、ケータイを操作しようとするシバー少尉の手が止まる。


「エリカさん、うるさ... 音を止めてください」


チン!(シバー少尉! ちょっとお聞きなさい)


「はい。 なんでしょう」


チン?(あなた、私が《支配》から解放された後のことも考えておいたほうがいいんじゃない?)


「エリカさんが... 《支配》から解放?」


そんな事態をシバー少尉は考えてもみなかったらしい。 エリカ本人も《支配》を解く方法を見出だせていないから当然かもしれないが。


チン?(あんた、ひょっとしてファントムさんである私がいつまでも《支配》に甘んじると思ってる?)


「そ、それは... そんなことは」


シバー少尉はガブリュー大佐と違って、ファントムさんが神秘的な存在だと信じている。 だから、エリカのはったりも効果てきめんである。


チーン(私はやがて《支配》から解放される。 そのとき、大佐は当然ブチ殺すとして、あなたはどんな目にわせてあげようかしら)


非道ひどいことは堪忍してください」


ちん(よろしい。 ではシバー少尉、あなたの上官として命令します。 私を散歩に行かせなさい)


「わかりました。 じゃあ、1時間だけなら。 あと寄り道は」


チンチンチンチンチン!(バカ言ってんじゃないわよ!)


「え...?」


チン!(散歩なんて、それ自体が寄り道みたいなもんじゃないの!)


「そう言えばそうですね。 では、1時間の散歩を」


チンチンチン(ノンノンノン)


「えと、何かご不満でも?」


チン(どこの世界に散歩を1時間で済ます人がいるのよ)


「散歩なんて30分ぐらいじゃないですか?」


チン(私は違うの。 最低でも2時間は散歩するの)


シバー少尉は難色を示す。


「2時間ですかー?」


チン(そう、2時間よ)


「ちょっと長くないですか? 他のスケジュールのこともありますし」


チン(だいじょうぶ)


「わかりました... 指輪(発信器)はちゃんと持っていってくださいね」


こうしてエリカは毎日2時間を自由に外出できるようになった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ