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11. 会議

「今までは・・・大雨が降った際に、近くの住民たちを避難させていました」


 アジリメッタ辺境伯の態度に違和感を覚えつつも、質問の答えを聞いたアリシアは更に疑問が浮かんだ。


「でも、大雨が降ったときに住民を避難させるだけで良いのであれば、治水工事はしなくても良いのでは? 実際に、それで今までしのげていたのでしょう?」

「で、ですが。他にも工事をしたいところがありますので、予算を増やしていただきたいのです。我が領にいただく予算を増やしていただければ、こちらで後は勝手にやりますから」


 思わず眉を寄せてしまいそうになるその言い分に、きゅっと唇を引き結び、アリシアは笑顔を浮かべてみせた。周りがはっと見とれてしまうような笑みを。


「そうなのね。ではひとまず、貴族会議の方で検討します。また、調査員を派遣しますから、それまで結果はお待ちください。それと・・・」


 言葉を切ったアリシアに、アジリメッタ辺境伯は訝し気にアリシアをみた。


「何でしょうか?」

「明日、必ず、来てくださいね」

「っ、分かっております」


 アジリメッタ辺境伯は少し不安げに頷いて、会議室を出て行った。


♢♢♢


「さて・・・先ほどのアジリメッタ辺境伯の話、どう思いますか?」


 貴族たちに問いかけると、う〜んと一斉に唸りだす重鎮たち。アリシアは先ほど感じた違和感や疑問は、間違っていなかったみたいねと内心安堵した。


「どうにもおかしいですな。予算だけ欲しいというのが解せません。必要ならば、国に工事自体をやってもらうということを選択することも出来るでしょうに・・・」


 真っ先に違和感の声をあげたのは、スワード公爵だ。


「それで自領の工事関係の仕事を募集したい、というのなら分かるけれど、どうもそんな感じでも無さそうですね」

「皇女殿下もやはり、違和感を?」


 アリシアに投げかけたのは、ルミシエ公爵だ。


「ええ・・・そうね。少し違和感は感じていたわ。けれど、明日になってからでないと詳しい話は分からないものね。それまでに、こちらの方でも情報を確認しておくわ」

「よろしくお願い致します」

「ところで、別の話にはなりますが・・・」


 そこで他の話題に話が移り、一日目の会議は無事終わったのだった。

まじめ回があと二三話続きます。

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