143.ベイル組・・・・組?の動き②
暗殺者はまずいよお。こいつら安地だろうが関係なく襲ってくる粘着野郎だもん、組合員だろうが回れ右して帰るレアポケモンと真逆の存在だ。欲かいてまずったなあ。いや、でもまだここから上手く立ち回ればワンチャン。
「お疲れっす。お仕事ご苦労様です。自分ちょっと通らせてもらうっす」
腰を曲げて手刀を切りながら先を目指す。なんか体形的に女の奴が俺を指差しながら、デカい斧持った奴と俺を交互に見ている。
やめろ、その動きはあんまり良くない結果になりそうだ。すんなり通してくれ。
デカい斧持った奴がコクリと頷くと、女がハンドサインを出し、周りの連中が俺の行く手を遮る。
おうふ、駄目かー。暗殺者に関わりたくないからどうにか説得できねえかなー。
「この人は関係ありませんわ!狙いは私達でしょう!」
前を塞がれたら、泣き叫んでいた女が助け船をだしてくれた。よし!いいぞ!もっと言ったれ、言ったれ・・・っておおおい!よく見ればこの女服装からして貴族じゃねえか!!あ!馬車にも何かマークが入っている。
おいおい、貴族はやべえよ。もしかして俺を捕まえる為の芝居・・・な訳ねえか。流石にそれぐらいで人は殺さねえはず。・・・だよね?故郷の連中思い出すと絶対無いとは言えねえー。いや、それよりもどうにかここから逃げねえと。
「自分、今、ここで何も見なかったし、聞かなかったっす。見ざる聞かざる言わざるには信頼と実績のある『三猿』の二つ名持っているっす。って事で前失礼するっす」
そう言って腰を曲げてチョップ、チョップで先に進む。誰も手を出してこねえ。こりゃあ、いけるか?と思って、前を塞ぐ奴の間合いに入った所で、そいつが剣を抜いて斬りかかってきた。
「だああ!!相変わらず暗殺者ってのは話聞かねえなあ!何も見なかった事にするって言ってんじゃねえか!」
斬りかかって来た奴の攻撃を後ろに下がって躱すと、そこに矢が飛んできたので、更に後ろに下がると、今度は横から魔法が飛んできたので、そいつも身を捻って躱す。折角前に行けたのに、暗殺者の囲みの中心、即ち貴族女の隣まで押し返されちまった。強引に抜ければよかった。
「やめなさい!この人は関係ないでしょう!あなたも早く逃げるんですわ」
「出来たらとっくにやっているっての!あんたからももっと言ってくれよ」
流石にこの状況だ、貴族に対する言葉使いを気にする余裕はねえ。
「あ、あなた、ベイル。コーバスのベイルですね?」
おお?何でこの貴族の姉ちゃん俺の事知ってんだ?俺は貴族に顔知られねえようにひっそりと生きてきたんだぞ・・・ってこの姉ちゃん、よく見ればコーバスで会った『嬢ちゃん貴族』じゃねえか!エフィルが俺の事紹介していたけどよく覚えていたな。
しかし今ので暗殺者に顔と名前、所属の街まで覚えられたから、戦るしかねえか。ったく、あの卑怯馬鹿、今度会ったら『摩訶不思議ゴブリン』改め『摩訶不思議エフィル』にして広場で見世物にしてやる!
いや、やめておこう。『先生、これはどういう卑怯技なんですか?敵の羞恥心を攻める卑怯技ですね!こんな方法思いつくなんて凄いです』とか言って喜んでいる馬鹿しか思い浮かばねえ。
おっと、馬鹿な事考えてねえで、集中集中。どうやら敵さんは、俺を警戒しているのか、ゆっくりと包囲を狭めてきている。このままじゃ、面倒くせえ事になりそうだから、まずはその包囲を突破する。
俺の前にいる暗殺者3匹に『絶無投』を3本投げてから、横の奴に距離を詰める。経験からこういう時は大抵、前後塞いでる奴が強いからな。弱い奴から狙っていくぜ。距離を詰めながら後ろに向かって閃光玉も投げておく。これで連中の目が眩んでいる隙に、横の暗殺者を殴って包囲を抜け、森に逃げ込んで各個撃破の予定だったんだ。
けど、俺が距離を詰めてぶん殴ろうとしたら、盾持ちの暗殺者がカバーに入り、俺の攻撃を受ける。閃光玉の光を見ないように、けど俺の動きはしっかりと見えるような絶妙な盾捌き、こいつ盾の使い方がゲレロやクワロ並みにうめえ。
攻撃を止められた俺の左右から、今度は短剣持った奴らが斬りかかってきたので、後ろに下がる。そこに今度は矢が飛んできたので、身を屈めて躱す。更に距離を詰めたハンマー使いが横殴りでハンマーを振ってくるので、こん棒でガード。このままハンマー持ちに蹴りいれようとしたら、今度は火球がこっちに飛んできたので、後ろに下がり『絶無投』を当ててハンマー使いの真横で爆発させる。これで一匹と思ったら、別の盾持ちが爆発からハンマー使いをガードしていた。そして俺は結局元の位置まで戻ってきた。
「ただいま」
「お・・・お帰り?」
そう言って、『嬢ちゃん貴族』に余裕ぶってみたけど、ちょっと、まずいな。こいつがいる前で『身体強化』や魔法は使いたくから、どうにか出来ねえかと考えているんだけど、良い手が思い浮かばねえ。取り合えず今分かった事で揺さぶりかけてみるか。
「おい!てめえら暗殺者じゃなくて組合員だろ!組合じゃそういう依頼受けた奴は除名って知っているか?」
「裏や闇みたいな組合の方ではございませんの?」
「違うな。そう言う奴らは仲間意識がなくて、標的を倒す事しか考えてねえ。それに暗殺者は自分や仲間の怪我とか気にしねえのが多い。盾で仲間を守ったり、なるべく怪我しねえような戦い方、こいつられっきとした組合員だ。しかも相当強え」
何て言っても俺が『身体強化』の使用を考えるぐらいだからな。よーし、俺の言葉に動揺したのか、何人か顔を見合わせている奴がいる。これならイケるか?
「私達が出る」
「他は周囲の警戒を!」
そう指示を出して、6人ぐらいが包囲から前に出てきた。もうね、ここで指示出している時点でこいつら組合員確定だ。暗殺者は基本、手信号使うから喋らねえもん。
「今ならまだ組合に黙っててやるから、引いてくれねえ?それか俺だけ見逃してくれよ。俺関係ねえだろ?」
『嬢ちゃん貴族』には悪いが、俺がここで戦う理由はねえんだ。って思ってたんだけど・・・。
「貴様も標的だ」
でかい斧を背負った男が驚きの発言だ。
「何でええ??」
え?俺も標的にされてんの?え?俺、誰かに暗殺依頼されるぐらい恨み買った?心当たりがありすぎて全然分かんねえ。一番怪しいのはウチのオーガだな。罪の無い俺をぶん殴るだけじゃ気が済まず殺しに来るとは、どんだけ器がちっちえんだ。
「理由は貴様が一番知っているはずだ」
・・・・・・
いや、マジで理由なんて分かんねえよ。それこそ故郷じゃ『私を笑った』って勘違いで暗殺者雇う貴族もいたからな。それこそ逆恨みの理由だったら検討もつかねえ。
「貴様は楽には殺さん、しっかり私達に謝罪させてから殺す」
訳分かんねえ事言った所で、おしゃべりの時間は終わりみたいだ。いきなり矢と魔法で出来た土の塊が俺に向かって飛んできた。不意打ちとか卑怯だろ!
飛んできた攻撃を後ろに下がって躱すと、さっきまで話していた斧持ちが、信じらねえ事に土の塊を斧の横っ面で叩いて、強制的に俺の方に曲げやがった。
「いて、痛ええ!」
叩かれた事で粉々になった土の塊は流石にこん棒だけじゃ防げねえ。空いた手も使って顔だけガードするが、それでも隙間から小石が顔に当たり、ガードしてない腹とかにはそこそこの石が当たり、めっちゃ痛い。
そこに距離を詰めてくる一匹。こいつ動きが速え。しかも足狙いとか嫌な野郎だ。俺の間合いに入ったので叩き潰そうとガードしていたこん棒を振り下ろすが、いつの間にか距離を詰めていた敵が、掬いあげるように剣で俺のこん棒を斬り飛ばす。
ああ!!俺のこん棒短くなっちまった、くっそ!この間、オーガから手に入れたばかりだぞ!
そのまま俺を狙ってくる剣と足元の攻撃を何とか身を捻って躱すが、躱しきれずに足を斬られちまった。感覚的に骨は無事だ。斬られたのは肉だけだけど痛いもんは痛い。けど痛みに叫ぶ暇も無く、矢が向かってきた。
躱せねえ!チッ!仕方ねえ!
体勢が崩れて直撃するぐらいなら!と、左手で受ける。矢は手のひらを貫通した所で勢いが止まってんだが、そこに盾使いが俺に体当たりしてきて、もろに食らって吹き飛ばされた。
こ、こいつらマジで強え。仕方ねえ。躊躇っている場合じゃねえ。『身体強化』使うしか・・・・チッ!!
弾き飛ばされた先には暗殺者が待ち構えていて、俺に向かってデカい斧を振り下ろす所だったので、慌てて横に躱す。
よし!このまま地面に振り下ろした所で、こいつをぶん殴る。
まだ『身体強化』使ってないがチャンスと思い、斧が俺の横を通り過ぎたのを確認してから、攻撃を仕掛ける。
が、俺の予想と違って、斧は地面に振り下ろされる事なく、その直前でピタっと止まり、刃を返して斬り上げてきやがった。
やべえ!と判断したので、攻撃中止して慌てて後ろに下がるが、間に合わなかった。
ザンッって音と共にこん棒持った俺の右腕が空を舞った。
「ああああああ!くそがああ!痛えええ!」
痛みに叫びながら、俺はそれでも後ろに飛びのいて、暗殺者から距離をとる。何故か追撃はしてこねえみたいだ。
それならと左の手の平に貫通したまんまの矢をへし折ってから、足で踏みつけて矢を抜く。そこからすぐに腰から布を出して、肘から先が無くなった俺の右腕の二の腕辺りを、口と左手を使ってきつく縛りあげる。
くそが、ボロボロじゃねえか。情けねえ。しかも右手は二回目だぞ!
「だ、大丈夫ですの?」
「大丈夫なわけねえだろ。痛すぎて死にそうだ」
『嬢ちゃん貴族』には悪いが、言葉がトゲトゲしくなる。流石にこっちも余裕がねえ。
「どうだ?謝る気になったか?」
ここまで俺をボロボロにしたら、大丈夫だと思ったのか、デカい斧持ちが俺に尋ねてくる。余裕そうにしやがって、てめえらマジでぶっ殺してやる。
「だから、何にだよ?こっちは受け答えすんのもキツイんだ。分かり易く簡潔に言え」
「私達の仲間と喧嘩した事だ」
そう言うと、デカい斧持ちが覆面を取って顔を見せてくれた。その顔はこの間王都で会った奴だった。俺と腕相撲引き分けたオッサンを名乗る男。名前?知らねえ?
「その腕じゃもう腕相撲で勝負はつけられないな。私の勝ちって事でいいな?」
「ふざけんな。この後、今の言葉、そっくりそのまま返してやるよ!」
「バトラー!な、何であなたが・・・いえ、何故あなた達が?」
嬢ちゃん貴族は知っているみたいだ。そうして気付けば周りの連中も覆面を外していた。その中には俺に突っかかってきた秘書みたいな女もいて、俺を睨みつけている。こいつが俺のこん棒短くした奴だ。絶対弁償させてやる。
「済まないな。サファガリア嬢。あなた達に恨みは無いんだが、仕事でね」
「仕事・・・ま、まさか!ボートレット候が?」
「さあ?依頼人は違う人だったがね。それにここで死ぬあなたが知る必要はない」
そう言って、嬢ちゃん貴族に近づこうとするオッサンの前に、俺が立ちはだかる。俺との殺し合い中に余所見してんじゃねえ!
「おお、意外だ、ベイルはそう言う事はしないと聞いていたんだが?」
「別にこの姉ちゃんを庇った訳じゃねえよ。俺との殺し合い中に無視すんなって言いてえんだ!」
ああ、くそ。立ってんのもつれえわ。けど、こいつら大分油断してやがるし、俺を謝らせたいみたいだから、殺されはしないだろう。少しだけ勝利気分を味合わせてやるよ。
「それじゃあ、話を戻そう。私達の仲間との喧嘩について謝ってくれるかな?」
「その前に何で組合内の喧嘩如きで、ここまでするんだ?別にあれは個人の喧嘩だから、お前ら関係ねえだろ?」
「お前たちのあの態度だよ。クタイッシュぐらい可愛ければ私達も何も言わないけど、流石にあの態度はクランとしてのプライドが許さない」
「クタイッシュ?あいつと俺ら何が違うんだ?」
どっちも多分同じ喧嘩だろ?
「クタイッシュは喧嘩はするが、最後は結局負けているからね。どこのクランもそれぐらいじゃ怒らないさ。ただお前らは駄目だ。仲間全員気絶させて金を奪い、更には私達がいるのに無視して酒を飲み始める。私達はこの国で4つしかないクランなんだ。流石に誇りを穢されて黙ってる訳ないだろ?」
その言葉に痛みでヤベエってのに思わず吹き出しちまった。
「アハハハハハハハ!馬鹿じゃねえの?オッサン。さっきから何言ってんだ?プライド?誇り?俺達は犯罪者一歩手前の組合員だぜ?何で貴族みたいな事言ってんだ?」
「貴様!!」
俺が大笑いすると、秘書女が怒ったのか剣を構えて前にでてくるが、それをオッサンが手を出して止める。
「ランバー。やめろ!・・・ベイル。ソロのお前にクラン運営について分かってもらおうとは思っていない」
「当たり前だろ、分かりたくもねえ。もうね、『運営』って言葉がおかしいんだよ!組合員は好き勝手やって、適当に生きるクズどもの集まりだ!そんなクズどもが集まって『運営』とかマジで馬鹿じゃねえのか?そんなに『運営』したけりゃ組合職員になるか、組合員やめて別の組織作ればいいだろ?」
こっちの世界じゃ聞いた事ないけど傭兵団とか、義勇兵団とかだな。
「・・・・・」
「団長!こいつはもう少し痛めつけましょう!四肢を斬り落とすぐらいは必要です」
よーし、秘書女!てめえ自分がそれされても文句言うなよ!
「ベイル、お前の言う事は良い考えだと思う。けどそれを成すにはかなり時間が必要だ。それこそここにいる誰も生きてはいないぐらいにはね。だから無理だ」
「諦めんのかよ。情けねえな。そんなんだったら、クランなんか解散しろ!」
「それは出来ない。私の夢はこのクランを国で一番にする事だからね」
「はあ?だったらその辺のクランと外で殺し合いしてこいよ。それで全てのクランに勝てばオッサンの所が一番じゃねえか」
俺の言葉に何故かオッサンは驚いた顔をした後、乾いた笑いを浮かべた。
「ベイル、お前は本当に単純だ、単純すぎて羨ましいよ。お前みたいな奴が王都にいれば少しは団長がいた頃の・・・いや、今更言ってもだな。もういい、お前と話すと決心が鈍る。それぐらい元気だともう少し痛めつけておくか」
そう言って斧を構えるおっさんの前に嬢ちゃん貴族が飛び出してきた。
「ベイル!私が足止めします!私これでも『身体強化』は使えますの!それだけの大怪我したあなたでも、まだ私より可能性があります!ここから逃げて助けを!父を!父の仇を!」
あーあ、ブルブル震えて、俺を庇うなんて、嬢ちゃん貴族は貴族にしては見上げた根性だ。その心意気は買うけど、流石に戦闘力1の奴が『身体強化』使って3になっても100の奴から見れば変わってねえのと同じだ。
「足止めにすらならねえよ」
そう言って嬢ちゃん貴族の腰をツンと指で押すと、「ひゃあ」とか情けない声をあげて、地面にへたりこんだ。その嬢ちゃん貴族の前に出てオッサンに向き直る。
「さーて、おっさん。始める前に少し時間くれねえか?時間稼ぎだと思ったら攻撃してきていい。ただ、待ってりゃ面白いもん見せてやるよ」
「フフフ、その状態でその強気な態度、面白い。何を見せてくれるんだ?」
「俺の本気だ」
・・・・・・・
「フフフ。アハハ面白い!やっぱりお前は面白いよ!ベイル。腕相撲した時にクランに誘っておけば良かった。本当に残念だ」
オッサンに釣られて周りの連中も、笑うが、オッサンと違い、こいつらは見下した笑いだ。まあ、すぐにその顔を絶望で染め上げてやるけどな。
「なあ、姉ちゃん。今からここで起こる事は誰にも言わねえでくれないか?」
オッサンたちは無視してぺたんと座る嬢ちゃん貴族に話しかける。俺を庇った姉ちゃんは出来ればここで殺したくねえ。でも貴族だから当然俺を裏切る事も考えている。そうなったらそうなった時だ。別の国に逃げればいい。ただ結構この国好きだから、なるべくなら黙っていてほしい。
「ここで死ぬ事が確定している私と約束なんて無意味ですわ」
「そう言うなって。ここからちゃんと生きて帰してやるから、それにあんたの親父の仇も討ってやるから、頼むよ」
俺の言葉が聞こえたのか周りの連中が笑っているが、無視だ。まっすぐ嬢ちゃん貴族の目を見る。呆れたように嬢ちゃん貴族が軽く笑った。
「・・・ふう、よく分かりませんが、分かりましたわ。今からの事は見ざる、言わざる、聞かざる『三猿』になりますわ。『三猿』のティガレットとは私の事です」
ハハハハハ、面白え姉ちゃんだ、俺の言葉しっかり聞いてやがったな。
「出来れば家の名前で誓ってくれねえか?」
この国の貴族にとっちゃあ家の名前は相当重いから、そう簡単に約束しちゃくれねえって話だ。故郷じゃそれすら信じられねえけどな。
「分かりました。サファガリアの名に誓いますわ」
「ありがとよ!」
そう言って嬢ちゃん貴族の頭を撫でてから、腰の隠しポケットから真っ黒のポーションをとりだし、飲み干すとすぐに、物凄いえぐみというか苦みというか酸味・・・取り合えず不味さが濁流となって喉に押し寄せる。
相変わらずまずいなこれ。二回目だけど、全然慣れねえ。
「があああああ!!!ああああああ!」
「ちょっと!大丈夫ですの?」
俺が不味さのあまり喉を抑えて地面を転げまわるのを嬢ちゃん貴族が心配そうに見守っている。
「ど、毒?飲んだ?」
「死んだか?あれだけ大口叩いておいて情けない」
「いや、あれだけ言っておいて、自分から毒飲んで死ぬって面白すぎ」
周りで俺の事を小馬鹿にした声が聞こえるが、不味すぎて誰が何言ったか確認している余裕はねえ。どうせあとで全員ぶっ殺すからいいか。
「は?ちょっと!あいつの手!」
「な、なんだあれは?」
「一体どうなっている?」
「わ、分からん、全員警戒!」
オッサンたちも気付いたか、けどここまでくれば俺も2回目だ、不味さに大分慣れてきたから腕をあげて、右手がもりもり再生していくのを見せつけてやる。
「ど、どうなってやがる」
「嘘だろ」
「斬られた手は?・・・あるって事は・・・何がどうなっているんだ?」
驚いて動きが止まっているおっさん達は無視して、回復した右手をにぎにぎして動きを確認する。当たり前だけど違和感はない。
まーた、クロに礼を言わなくちゃいけなくなったぜ。けどまだあの引き籠り怒ってるだろうから、何かいいきっかけがねえかなあ。
オッサンたちが動揺している中、そんな呑気な事を考えていた俺。そしてこの面子で一番早く、俺が飲んだ『クロの血入りポーション』の正体に気付いたのは嬢ちゃん貴族だった。
「・・・・う、嘘・・・・あ、あれは・・・ま、まさか・・・・『秘薬』」
おーい、『三猿』はどうしたー?




