ラビ・オウルの事件奇譚。
「──私のような悪党(魔女)が事件を解決したら、何か問題でも?」
かつて、強大な力を持ったがために疎まれ、人々から『悪』と断定された魔法使いは、十人の弟子をとり、それぞれに力を分け与えると数世紀の眠りについた。
数世紀ぶりに目が覚めた彼女は、家財道具一式、力を分け与えた十人の愛弟子すらも失っていた。
失ったものを取り戻すため、特異な事件を専門に取扱う探偵として、とある島国のとある町、福渡町で助手をとり、住み着くこと一ヶ月。
一人の旧友が訪ねてきたことから、奇妙な窃盗事件が幕を開ける。
「え? 探偵の敵は『怪盗』だって? ははは! 悪党(私)の敵は、『正義』だとも!」