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危機一髪!でもない

ちょっと短めです。

 エルフの国は目と鼻の先だと言うのに、冒険者ギルドの職員から語られた言葉。セヴン達は詳細をギルド職員に求める。


「いやぁ、つい先日なんだがね、この街の東にある小さな村が壊滅してしまってね。その原因はその近くにある荒地に生息するモンスターの仕業らしいんだが…」


 ギルド職員の話を説明するとこうだ。

 この街の東側にある現在荒地となっている地域に強力なモンスターが発生し、その荒地の近くにあった小さな村がそのモンスターの大群に襲われ壊滅したとの事だ。この街の近辺でもそのモンスターが少数だが目撃されており、国境を越えてモンスターの大群が隣の国であるエルフの国になだれ込む可能性を考え、現在通行が禁止されていると言う。これまたお約束な展開でもあるが…。


「はぁ、仕方ない…っちゃうか?」


「そうねぇ、面倒だけど仕方ないわねぇ」


「いやいや、村1個壊滅させるくらいなんやで?こないな人数でどないもならんやろ?」


「でも悪いモンスターを討伐するのも冒険者の仕事ですし、セヴン君なら大丈夫ですよ!」


「バニアはん、もっと常識的に考えなあきませんで…」


 ギルド職員が追加でくれた情報によれば、現在そのモンスターを討伐する為に冒険者に募集をかけ、討伐隊を結成している途中だと言う。それへの参加を提示されたのだが、大人数での団体行動となると、セヴンの能力の説明や、またヘラルーが暴走しないとも言い切れないので、討伐隊とは別に、独自で討伐に行く事にした。

 もちろん玄界は反対したのだが、「使えない正義の称号が泣くぞ」とのセヴンの言葉に憤慨し、「ほなやったるわ!」っと先にギルドの建物から出て行ってしまった。ちょろいもんである。


 詳しい場所を聞き、セヴン達も冒険者ギルドの建物から出たら、目の前で膝を抱えてうずくまって座っている玄界の姿があった。


「ほんまに行くん?」


 そう泣きそうな顔でセヴン達を見上げる玄界に、全員爆笑しながら宿屋へと向かった。






 次の日の朝、セヴン達は昨日着いたばかりだと言うのに[キュブラ]の街を後にし、早速東方面に向けて自転車を走らせていた。まずは壊滅させられた東の村を目指してみる事にする。何か痕跡でも見つけれれば良いのだが…。


 暫く走り何個か街道の分かれ道を東へ東へと進み、街道の先が明らかに舗装されていない場所まで来た。どうやらこの先が例の荒地なのであろう。荒地の入口は渓谷になっており、大きくそびえ立つ崖の間を進んで行く様だ。ここから先は流石に自転車での移動は無理だと諦め、自転車にセヴンがそっと触れて「戻れ」と言うと、黒い渦になって自転車は消えて無くなった。


 パラパラと時折小石が落ちて来る音が渓谷に響き、そんな中をセヴン達は進んで行く。あまりこう言った所では大きな音を立てたく無いものだ。頭上に細心の注意を向けながら進んで行くと、ゴツゴツとした岩肌から少しだけ見えていた空が大きく広がる。どうやら危険な場所は無事抜ける事が出来た様だ。


 目の前にはいたる所にゴツゴツとした岩山が数多くあり、地面には草木が一切生えていない本当に荒れ果てた地が広がっていた。


「ふぃ~どうにか抜けたようやな」


「それにしても村が見当たらないな、当たり前だが人の気配も全然しないし」


 そう言いながら周りを見渡してみると、自分達の抜けて来た渓谷の横手に何やら規則正しく並んでいる小さな岩山の群れを発見する。興味からそちらへと皆で足を進める事にした。


「ああぁ~こりゃヒデェなぁ…」


 近づいてみると、遠くからははっきりと確認出来なかったが四方を囲む木の柵は完全に倒され、土を盛って固め、穴を開けて中を補強した住居と思しき物もいたる所が破壊され倒壊していた。規模としては本当に小さな物だが、確かにソコには以前開拓民か何かの村があったのだろう。


 しかし不思議な点が何個かある、小さな穴の様な足跡がいたる所にあり、人1人這って進める様な大きな穴が地面の何か所かに見られる。そしてこの場所で生活していたであろう人々の亡骸が一つも無い事だ。

 無事に逃げ出す事が出来たとしても、コレだけの被害を受けて破壊されつくしているのだ、相当な数のモンスターに襲われたと思って間違い無く、一人も犠牲者が出なかったとは考えにくい。


「この穴はなんなんやろな?」


「穴に入りたい病とか?玄ちゃん入ってみる?」


「そんな病気聞いた事あらへんわっ!」


「掘った土が外に出ていないと言う事は、中は結構広く中から掘られてると思いますが…」


 所々にポッカリと空いた穴を調べる為に、中に向かって叫んでみるセヴン。


「中に誰か居ますかぁ!?」


『いますかあぁぁぁ…あぁ…ああぁぁぁ………』


 返事は帰って来ないが、セヴンの声が反響している事から考えて中は通路の様に深い様子だ。


「旦那様、多分コレはモンスターが地中からこの村を襲ったんじゃないかしらぁ?」


「まぁ現状から見てそれが一番考えられる事だな」


「まだ何匹か残ってるかもしれないわねぇ…」


【ダークボルテックス】


 ヘラルーが徐に1つの穴に向かって魔法を唱えると、黒い炎の渦が穴の中に吸い込まれて行く。


 ジュオォォーーーーーンッ!!


「うぉぉぉおおおぉっ!!」


「ひぃぃぃいいぃいっ!!」


 セヴンの目の前にあった穴から黒い炎が飛び出し、眼前をかすめて行く。

 そして後方では玄界の背後から黒い炎が飛び出し、背中をかすめて行く。


「どうやら中は穴と穴が通じているみたいねぇ…」


「「殺すきかっ!」」


 唐突に悲劇を巻き起こしかねなかったヘラルーは全然悪びれた様子も無く、セヴンと玄界の悲鳴にも似た突っ込みは華麗にスルーされてしまう。そしてそのやり取りを見ても通常営業なバニアが予想を立てる。


「この穴はモンスターの巣まで続いているのではないでしょうか?」


「う、うんそうかもしれないな、でも中に入って行くのは危険すぎるからな…玄ちゃ…」


「ワシは入らんでっ!!」


 食い気味で自分の身を守る玄界。危機管理能力はしっかりとある様だ。


「ヘラルー、相談なんだがこの中に何か音が鳴る物を入れたら地上からでもソレを感知できるか?」


「いけると思うわよぉ?そこまで深いわけでも無さそうだしねぇ」


「良し、そんじゃこんな感じでどうだ?」


【クリエイトサモン】


 召喚された物体はブリキ製の背中にゼンマイが取り付けられている小さなネズミ型の玩具であった。


「またけったいな物出しおってからに」


 ネズミの玩具のゼンマイをギリギリギリと回し…回し…回し…カチッと音が鳴り止まった所でそのまま穴へと投下する。すると無事着地したのか、ジーーーーーッっと音を立てて走り出し、その音はどんどんと小さくなって行った。巣までどれだけの距離があるか解らないが、ゼンマイが戻る力を利用してまたゼンマイを巻き上げると言うお得なリバーシブル機能付きである。


「ヘラルー聞こえているか?」


「えぇ大丈夫みたいよぉ、アッチねぇ」


 そして村を襲ったモンスターの巣を探す追跡が始まった。



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