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アラホラサッサ~

少し長めです。

 関所の街[パウエル]を出て、セヴン達は街道を南下していた。ヒューマン領には、商人達が通行しやすい様に整地され多くの街道が出来ており、ほぼ道無き道を歩く事は無い。その整地された道を色々と自己紹介やなんやと話しをしながら進んでいく。


「そいで、セヴンはバニアちゃんの故郷をとりあえず目指してるっちゅう事なんやな」


「っで何時まで付いて来る気だ?」


「そない冷たい事言わんといて~や、なんかおもろそうやし、エルフの国にも行ってみたいし、何より恩をしっかり返さんと[ナニワ]の国の人間として立つ瀬が無いなってまうがな」


「いやいや、恩なんて感じなくても…」


 玄界は話しに聞く限りヒューマン領の西の地方にある小さな国の[ナニワ]出身らしい。その国の大半は商人になる人間が多く、金銭面には凄くシビアな国ではあるのだが、人情に溢れ信用第一で、貸し借りはしっかりと返すのがモットーといった国民意識を持っているらしい。

 そんな商人の国である[ナニワ]出身者で、危険でリスクもある冒険者を目指すのは凄く稀であり、何か冒険者になった経緯があるのかもしれないが、今はそれを聞くほどの仲でも無いしおのずと解るであろう。


「しっかし歩いてトロトロと進むのにも飽きて来たな…」


「あらぁ?結構こう言うまったりとした旅も楽しいものじゃない?」


「それもそうかもしれないがな、やっぱ早くバニーの記憶を取り戻させてあげたいんだよな」


「すみません…でも急ぐ必要はありませんので、無理しない様にお願いします」


「バニーが謝る事は無いよ、俺が急ぎたいだけだからな。よっし、ちょっと試してみるか」


「「「???」」」


 何を?と言った顔をしている他のメンバーの疑問を余所に、セヴンは杖を取り出し魔力を込める。


「アレをこうして、コレをこうして…こうなったら…」


【クリエイトサモン!】


 ここで一つそろそろ説明をしておこう、セヴンの持つ創造魔法[クリエイトサモン]とは何か!


 まず創造魔法とは、既に失われている古代の魔法で現在この世界で使用できる者は、唯一1人である。まぁこの辺りはファンタジー世界のこう言ったお話しではお約束なのだが…。

 次に魔法の効果についてだが、文字通り[無から有を作り出す]魔法で、物体であれば術者の頭に思い浮かぶ物を召喚できると言った物だ。無機物、有機物関係なく、生物以外なら努力次第(魔力の上昇や自身のレベルアップなど)で何でも作り出せてしまうチート魔法である。しかしながら、現在のセヴンの魔力量では作り出せる大きさに限度があり、某異世界の有名な単位である[東京ドーム何個分]と言った大規模な物はまだ作り出す事は出来ない。

 因みに説明は不要だと思うが、生物を作り出したければ普通に召喚魔法の出番である。実は今のセヴンは、魔力量さえ増えれば要するに何でも出せちゃうチート野郎なのである。


 そんなこんな説明をしていると、街道のど真ん中にセヴンの作り出した物が、地面に魔法陣が現れニョキニョキと生えて来る。

 それは乗り手自身の人力を主たる動力源として、2つある車輪を回転させるすることで推進力を得て、歩くよりも遥かに早いスピードで移動する事が出来る乗り物である。


「なんですか?これは?」


「ん~わっかんないけど、なんか適当に歩くよりも早く移動できて、簡単に操縦できる乗り物を想像したらこう・・なったんだよね」


「は、はぁ…」


 セヴンは創り出されたその乗り物の座席部分になるであろう椅子に腰かけてみる。何か股間がグリグリと違和感を感じるが、後でもう少しクッション性の高い素材に変えてみるのも良いかもしれない。そして車輪に人力を伝える駆動部に足を置き、歩く様にクルクルと回転させてみる。


「お?おおぉ?進んだ進んだ!」


 駆動部の回転のスピードを上げると、乗り物自体のスピードも相乗して上がって行く。


「あっひゃっひゃ、こりゃ良いや!歩くより楽でしかも早い!」


 セヴンは暫くその乗り物に乗って、子供の様にはしゃぎまわった後、路面のデコボコした部分を走ると股間に強烈な痛みを伴う事や、ちょっとした荷物が運べる様にした方が便利だと言う事を考慮し、その改良点を反映させ、座席部の素材の変更とその下にクッションとなる大きなバネを2つと、進行方向を自ら決める為の車輪の上部に連結させていた棒状の手で持つ部分の前にカゴを召喚して取り付けた。


「良し出来た!コレで快適だ快適!おひょひょひょひょ~、自分で運転して車輪が付いてるから…自転車と名付けよう!」


「ちょっと旦那様、1人で遊んで無いで私にも乗せてよぉ」


「セヴン君、私も乗ってみたいです!」


「なんやけったいな乗り物やなぁ、でもなんや面白そうや」


 子供が玩具を取り上げられたかの様に渋々と言った表情で、他のメンバーにも試乗させてあげる。

 バニアとヘラルーは抜群の運動神経で、軽々と乗りこなしてみせた。しかしどうも運動神経があまり良く無いのか、玄界は何度か転びそうになりながらフラフラと運転していた。


「わ、ワイが下手くそなんやないで!こないなもん簡単に乗れる方が可笑しいんや!」


 などと良い訳を言っていたが、こんな物ファンタジー世界の住人なら物語の進行スピードを考慮して簡単に乗りこなせてしまう物だ。

 その後1台しか無いのでは全員で移動する事も出来ないので、新たに召喚する事にしたが、今度のはもう少しアレンジを加える事にした。


「数人で乗る事が出来て、運転が苦手な人でも運転しやすい設計…こうだなっ!」


【クリエイトサモン!】


 そして新たに創り出された乗り物は、3人乗りの自転車で、手で操縦する部分は前方に1つだけ、後2つ掴まる為の湾曲した棒があり、車輪は3つにそれぞれ駆動部があり、3人で回転させ自走する。お気づきだろう、某異世界のアニメのタイムボ○ンシリーズに出て来る悪役達愛用のアレ(・・)である。


「コレで玄ちゃんも問題無く乗れるはずだな。最初の一つは一番運転の上手かったバニーにあげるよ。俺とヘラルーと玄ちゃんはコッチで移動だな」


「やったー!ありがとうございます!」


「えぇ~旦那様、私も1人用が良いわぁ~」


「わ、ワイは悪ないで?1人でも問題あらへん!」


「まぁまぁ。俺のシックスセンス(第六感)が…いや、セヴンセンス(第七感)がコレを乗る場合はこうでないとと言ってるんだよ」


「なんやねんそのセヴンセンスって…」


 そしてヘラルー、セヴン、玄界の順で3人乗りの自転車に乗り込み、移動を再開する事にした


「アラホラサッサ~!」


 訳の分からないセヴンの掛け声が街道にこだまする。






 移動時間の短縮を大幅にする事が出来たセヴン達は、道行く人々の奇異な物を見る視線に晒されながらも、1日とかからずに次の目的地であるヒューマン領とエルフの国の境目にある国境の街までやって来ていた。

 通常歩いての移動であれば途中で野営して移動するか、道中に何個かあった町や村で1泊するのだろうが、回せば回すほどスピードの上がる疾走感や、その時に顔に当たる風の心地よさ。何時もの倍以上に早く流れる景色に目を奪われながら楽しんでいたら、あっと言う間であった。

 なぜか道中大きな髑髏型のモンスターに「オシオキダベ~」と鳴き声を上げながら追いかけられたのだが、セヴンの働かせたセヴンセンスが反応し、「コレは決して戦ってはいけない!」と3人で力を合わせて必死に逃げたのは、今回語るのを止めておこう。


 そうこうしながら辿り着いた国境の街[キュブラ]に入り、今晩はこの街で1泊してからと考え、先に宿屋を探し2部屋確保した後冒険者ギルドへと来ていた。


「エルフの国に入る前に軽く情報収集しとこうか」


「そやな、何も知らんといきなり行くのは三流のやる事やな」


 まずはカウンターへと行き、各自ステータスの確認である。セヴンのステータスについては何度か登場しているので割愛する。



●アクエリアス・バニア(17歳)

 [種 族]:エルフ  [クラス]:ファイター

 [レベル]:34    

 [スキル]:エレメントヒール(光)ピアシングショット(技)ダブルショット(技)アローレイン(技)スコープ(技)?????(?)?????(?)

 [称 号]:冒険者ランク2、彷徨いし者、幼女の悪戯、????



●ヘラルー

 [種 族]:使い魔  [クラス]:使徒

 [レベル]:12

 [アビリティ]:魅了、念話    

 [スキル]:ダークボール(闇)ポイズンミスト(闇)ダークボルテックス(闇)ロアー(闇)ダークプリズン(闇)ジャドーバインド(闇)チックタック(闇)



●玄界(20歳)

 [種 族]:ヒューマン  [クラス]:クレリック

 [レベル]:36    

 [スキル]:ヒール(光)グループヒール(光)バーニング(火)シールド(土)ウィンドウォーク(風)

 [称 号]:冒険者ランク2、関西風、使えない正義



 玄界の職業は神官クレリックで主に回復と補助魔法に優れた職業である。年齢も20歳とセヴンやバニアよりも上で効果不明の称号が2つ付いていた。各自が今後旅を続けて行くメンバーのステータス確認を終え、各々の特性を把握する。


「ヘラルーはんは使い魔やってんなぁ、気が付かへんかったわ」


「そうよぉ?私は旦那様の所有物なのよぉ」


「所有物って…まあええわ。そんでバニアはんはファイターやな、これからは回復はワイに任せてくれてええからな?」


「はい、よろしくお願いします」


「てか玄ちゃん、[使えない正義]って大概だな…」


「そやねん…昨日あの後目が覚めたら頭にピコーンゆ~て表示されたねん…」


「ほんと身も蓋も無いわねぇ…」


「それでギルド職員のおっちゃん、エルフの国に行きたいんだけど、何か情報はあるかい?」


 カウンターで業務をこなしていた男性職員に何か変わった情報は無いか尋ねる。


「え?ああ、今この街からエルフの国には通行禁止になっているぞ?」


「「「ええぇ~~~~~?」」」



ステータス更新。

話は進みませんでした…。

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