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黒ひげ危機一発

 深夜、周りはすっかり静かになり、外から聞こえる虫の無く声がしか聞こえなくなった頃。


 セヴンもグッスリと眠って夢を見ていた。しかしその夢の内容はヘラルーに襲われる夢で、軽くうなされている様だった…。しばらくうなされた後、夢の中でハードなプレイを強要された時、セヴンは目覚めてしまった。

 寝ぼけた目を擦りながら、横に並んでいるベッドを確認してみると、バニアもヘラルーも可愛い寝息を立てながらしっかりと寝ていた。やはり夢だったのかとホッとしたセヴンだったが、どうも中途半端に起きてしまったので、直ぐには眠れそうになく、静かに音を立てない様注意しながらローブを羽織り部屋を出て、少し夜風でも浴びて来ようと下へと降りて行った。


 セヴンが突然目覚めて部屋を出て行ったのをバニアは浅い眠りの中感じて、こちらも静かに服を着替えセヴンを追って部屋を出て行く。階段を降りて行くと、夜の番の従業員に連れが「夜風に当たって来る」と一言残して外へと出て行った事を聞き、バニアも外へと向かった。

 宿屋の外に出ると、宿屋のバルコニーにロッキングチェアが何脚か置かれている所があり、そこにセヴンがギィギィと椅子を揺らして座っていた。声をかけず、目だけで合図を送りその隣へと座るバニア。


「起こしちゃったみたいだな」


「ううん、丁度眠りが浅かったから気になっちゃって」


 その後、会話無く2人のイスを揺らす音だけがしていた。どうも気まずいと感じたセヴンは話しを振る。


「バニーは記憶が戻ったらどうするの?」


 少し時間を置いてからゆっくりと話し出すバニア。


「私が以前どんな人間だったのか、今は全く分かりません。どんな生活を送っていたか、両親はまだ存命なのかも…。でもね、記憶が戻ったとしてもセヴン君と一緒に色々な冒険をしてみたいかな。あ、あとヘラルーさんもね」


「そっかぁ…」


 そしてまた静かな時間が始まり、しばらくの時間椅子の音だけが宿屋のバルコニーに響いていた。


 ドォォーーーーーーーーーーンッ!!!


 突然激しい爆発音が静けさを打消し、何事かとお互いが顔を見合わせる。






 セヴン達が部屋を出て行った時と同時刻。

 宿屋の裏口にある扉の前に怪しい人影が2つあった。


「おい、本当にやるのか?」


「ああ、あんな事をされて黙っちゃいられねぇや」


 怪しい人影は、数時間前にセヴンにこっぴどく撃退された酔っ払いの冒険者達だった。


「ランク3まで上がった冒険者様が、あんなガキに良い様にされたとあっちゃ、良い笑いものだぜ」


「そりゃそうなんだがよぉ…」


 どうやら1人はどうにか仕返しをしてやろうとやる気満々なのだが、もう1人はそうでもない様だ。


「あんな魔法初めて見たし、何かアイツ等ヤバイ気がするんだよなぁ」


「テメェ、ガキに何ビビッてんだ?おら、しゃべってねえで行くぞ」


 そう言って2人は宿屋の裏口から中へと侵入した。

 中に入るとそこは厨房の裏手だった様で、そこには朝の仕込みなのだろうか?作業をしている1人の従業員の男の姿があった。気づかれ無い様に背後に忍び寄り、腕を後ろに捻りあげて喉元にナイフを当てる。


「大声出すなよ、あのガキはどの部屋に泊っていやがる?」


 突然喉元にナイフを当てられ、恐怖で顔が真っ青になりながらも従業員は口をゆっくり開く。


「ガ…ガキですか?」


「あのえらいベッピンさん達を連れた白いローブのガキだよ、どこにいやがる?」


 凄い力で捻りあげられている自分の手と、喉元のナイフの恐怖に負け、従業員はセヴン達の居場所を白状してしまう。

 3階にある大部屋に宿泊している事を聞き、命が欲しければ騒がない無い事だと念を押した後、静かに厨房を後にする2人。そして階段を登り3階へと進んでいく。


 3階へと登り切った所でバッタリと従業員と遭遇してしまい、慌てて口を塞ぎ拘束する。そして先ほどと同じ様に喉元にナイフを刃を押し当てて脅すと、従業員は何も喋らず1つの部屋を指さして目標の部屋を教えてくれる。下に降りて何も見なかった事にしろと命令し、遂に目標の部屋の扉に手をかけ、ゆっくりと開く。

 中を覗いてみると静かで、微かに寝息の音が聞こえて来る。しっかりと寝ている事を確認し、起こさない様にベッドの前まで歩を進める。

 2つあるベッドの内、1つには誰も寝ておらず、もう一つのベッドにも布団の中には1つしか盛り上がりがない。目標は3人だったはずなのに嘘の部屋を教えたのか?っと2人が思った時、布団が下からめくり上げられ、肝心な部分しか隠して無い、とても際どい下着を着けた浅黒い肢体が姿を現す。


「「ゴックッ…」」


 目の前に見えるのは間違いなく自分達に散々な事をしたガキの連れだと認識し、そしてそこに見える肉感的な肢体に2人同時に生唾を飲み込む。そして目標が1人しか居ないことを残念に思いながらも、静かに軽く拳を振り、同時に手の形を変えて自分の前へと突き出す。1人は指2本を開き残りは握りこんでいて、もう1人は手のひらを開いていた。

 何かの勝負だったのだろう、指を2本出していた方が小さく拳を上げ喜んだ後、目の前にある魅惑的で肉感的な双丘に手を伸ばす。


 ムニュゥゥゥ…


 横になっても型崩れしていなかった双丘がゆっくりと掴まれ、指の間に肉をはみ出させる。動かすたびに肉が波打ち、なんとも柔らかい感触を男の手が感じる。


「ん…んんんぅ…」


 妖艶なうめき声が聞こえて来て、男達の体は一気に熱くなって来て、感情は振り切れる寸前まで来ていた。


「も、もう我慢できねぇっ!」


 遂に双丘を鷲掴みしていた男が我慢できなくなり声を出してしまう。

 すると眠っていたヘラルーはパチリッと目を開ける…。


「わらわの眠りの妨げをする者は何者ぞ…」


 その口から聞こえて来る声はいつものヘラルーの声とは違い、地の底から響く様な恐ろしい声を出してゆっくりと体を起こす。


「下等な存在がわらわの眠りを妨げるとは良い度胸じゃ…天罰と言う物を知るが良い…」


 ドォォーーーーーーーーーーンッ!!!






 凄まじい爆音が聞こえた場所が宿屋の上の方だった事もあり、セヴンとバニアは残してきたヘラルーの事が心配になり直ぐに宿屋の中へと戻り3階へと駆け上がった。

 そして部屋の入口の扉を押し開け中へと飛び込むと、そこには凄まじい光景があった。


 部屋の半分以上が吹き飛び、天井には夜空がしっかりと見えるほどの穴が開いており、木片が四散して床の部分は大きく穴が穿たれていて下の階まで突き抜けている。そしてその穴の中央付近に両手を広げてフワ~ッと浮いているヘラルーの後ろ姿があった。


「お、おいヘラルー!大丈夫?か?」


「ヘラルーさん!」


 セヴン達の声に反応し、ゆっくりと浮いたままこちらに向きを変える。目は真っ赤に光っておりとても恐ろしい表情をしていたが、次第に目の光りは治まり、何かに気が付いた様に声をかける。


「あらぁ?旦那様にバニーちゃん、どうしたのぉ?そんな驚いた顔してぇ」


「い、いや…周り見てみろ……」


 そのまま浮いた状態で言われた通りに周りを見渡すヘラルー。


「なあにぃ~これ?どうしたのぉ?」


「お前がどうしたんじゃいっ!!」


 セヴンの突っ込みが夜空に響き渡った。




 1夜開けて早朝、寝る場所を失ったセヴン達は部屋を出て1階の食堂に居た。

 昨日の夜の番をしていた従業員達の話しで、セヴン達の部屋を襲った犯人が昨日の酔っ払い達だと言う事が解り、黒ひげの店主はその2人を冒険者ギルドに指名手配をかける事にした様だ。

 そして破壊された部屋に関しては、宿泊していたセヴン達には被害が無かったとの事に安堵し、「奴ら捕まえたら目一杯コキ使ってやる」っとセヴン達にはお咎めが無しと言う事になった。破壊したのは間違いなくヘラルーなのだが、これもセヴンの持つ[幸運]の効果なのだろうか…。


 そして軽く朝食を済ませ、宿屋を出て旅を続けようと歩き始めた時に、後ろから声がかかる。


「あんさん等待ってちょうだい」


 声をかけて来たのは昨日見事に酔っ払いに吹き飛ばされた玄界であった。エプロンは外し、背に鞄と杖を持って旅の装いをしている。


「黒ひげさんから聞いたんや、あんさん等がワイの借金を肩代わりしてくれたゆう話しをな」


「ああ、その事か。別に助けてもらったお礼をしただけの話しだよ。ありがとうな」


 礼の言葉も伝え、そのまま後ろを向きその場を去ろうとしているセヴンにさらに声がかかる。


「ちょっちょっちょっと待って~な!ワイはみっともなく吹き飛ばされてノビてただけや!あんさん等に助けてもろたんはワイの方やで」


 だから?と言った表情で振り返るセヴン達に困った様な表情で話しを続ける。


「どこまで行く旅かは解らんけど、コレでも冒険者やっとるんや。回復魔法もある程度なら使える。だからあんさん等の旅の手助けをさせてくれ!恩を返したいんや!」


 面倒だからと断っても断っても引かない玄界に、セヴン達はとりあえず同行する事を許可し、やれやれと言った表情で関所の街[パウエル]を後にした。


 可笑しな訛りを持つどこか頼りない冒険者が旅の仲間に加わったのであった。



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