幼女の悪戯
本日は2話連続投稿です。お見逃し無き様!
(ア、アルテミス様?)
《そうなのです、狩猟の女神アルテミスとは僕の事なのです》
(そ、それでアルテミス様がどう言ったご用件でしょうか?)
《今僕の友達とゲームしてるんだけど、バニアちゃんにもゲームに参加してもらいたいのです》
(ゲーム…ですか?)
《そうなのです、とっても面白そうなゲームなのです。》
『ちょっと邪魔するわねぇ、バニーちゃん、後ろ見てちょうだ~い』
別の声が聞こえて来て、言われた通りに後ろを振り向くと、ヘラルーが手を上げてヒラヒラと振っていた。司祭は目を閉じている様で気が付いていない。
《割り込みはズルいのですよヘラちゃん》
『あらぁ?アルテミスそんな事言ってると、この間の負け分直ぐに払ってもらう事になるわよぉ?』
《あうぅ、ヘラちゃんは強すぎなのですよ。ともかく僕もゲームを盛り上げる為に頑張るのです》
(あ…あのぉ…)
●スキルリスト
・エレメントヒール(光)
・ピアシングショット(技)
・ダブルショット(技)
・アローレイン(技)(new)
・スコープ(技)(new)
・?????(?)(new)
・?????(?)(new)
【称号:[幼女の悪戯] 称号:[????]を手に入れた】
《あうぅ、やっぱりこの神殿では力が発揮しにくいのです。でも一先ずはコレで我慢するのです》
『そうねぇ、この神殿はどうもゴチャゴチャしてて力が分散しちゃうからねぇ』
(あのぉ……)
《とりあえずエルフの国に戻ってから、僕だけの神殿に来た時に、もっと力を分けてあげるです》
『たまには私の部下の様子も見てあげてねぇ』
《勝手に降りて行っておいて面倒事押し付けるなんてヒドイです、僕だって※※※※※※》
『やっぱりココだと混線しちゃうわねぇ、何言ってるか解らないけどよろしくねぇ♪』
(えっとぉ……もういいです…)
戻って来たバニアはヘラルーと少し話しをして、セヴンとの関係やヘラルーの正体を聞いた時驚きはしたが、何か諦めた様な表情を浮かべ軽く溜息をつき、そしてセヴンの強さの秘密を知って納得の表情を浮かべた後、「2人だけの秘密だよ」とのセヴンの言葉に顔を真っ赤にして喜んだりと、コロコロと表情を変えた。
セヴン自体はレベルアップも無く特にスキルの更新も無いとの事と、ヘラルーは「ココは何だかガサガサして気持ちが悪いわぁ」との事で神殿を後にした一行は宿屋を探す為に街を彷徨っていた。
既に日も暮れ辺りは真っ暗だが、所々にある街燈や、未だ商いをしている店舗の明かりなどで、街の中は移動するのに問題が無い。
[黒ひげの宿]と言う看板を掲げている宿屋を発見する。ネームングセンスはかなり疑問が残りそうだが、木造のしっかりした外見をしており、中からは賑やかな声と光が漏れて来ている。どの宿が良いか情報収集するのも面倒だし、今日は歩き続けて疲れているので、セヴン達はその宿屋に入ってみる事にした。
「へいらっしゃい!泊まりかい?食事かい?」
声をかけて来たのはドワーフ族の男で、基本ドワーフ族は金髪や茶髪が多いのだが、この男は珍しく黒髪をしており、口元にはクルリと巻いた胡散臭そうな貴族に多い髭を生やしていた。セヴン達は(なるほど)との意見を口に出さず、お互いが顔を向き合わせながらうなずいた。
店内はかなり広く1階は食堂兼酒場と言った様子で、従業員らしき人物が走り回っている。そして上へと登る階段があり、上が宿泊施設となっているのだろう。
「泊りで頼むよ、あと食事も頼む」
「あいよぉっ!そんじゃま今は大部屋が丁度空いてるから、そこへ先に案内するとするか。おい、玄界お客さんを案内してやれや」
店主であろう黒ひげのドワーフが店の奥に向かって声をかけると、ヒューマン族の青年が出て来た。歳の頃は20前後だろうか、店主と同じく黒髪で黄色い僧衣の様な物の上からフリルの付いたエプロンをしていた。
「なんや泊まりの客かいな、ほな案内するさかいついて来てや」
聞いたことの無い訛りのある玄界と呼ばれた青年について店内にある階段を登って行く。3階まで登った所にある部屋へと案内され、中に入ると広さは10畳といった所か、ベッドが2つに大き目のテーブルとイスが4脚、湯浴み用の大きな桶が用意されていた。
「この部屋やがええか?それとも別々に…」
「「この部屋でいいです!」」
食い気味で答える女性陣に苦笑いをするセヴン。ヘラルーはまだ分かるがバニアまでもと言う事に驚く。
すかさず中へと入り、ベッドの具合を確かめる様に腰をかけ弾んでみるバニアはどこか子供の様だが、楽しそうな姿を見て自分もとベッドの上で弾んでみると、なかなか良い物なのだろうしっかりとした作りである様だ。
「気に入ってもろた様で何よりや、ほな下で食事でもしといで、湯浴みの準備しとくわ」
玄界の言葉に頷き、特に置いて行く様な荷物も無いのでそのまま部屋を後にし、元来た階段を降り食堂へと向かう。食堂は中々賑っており、様々な人々がテーブルに付き各々食事や酒を楽しんでいる。
席を探して彷徨っていると、従業員と思われるフリフリのエプロンをした女性に空いている席を案内される。案内されている最中色々な視線を感じるが、気にせず案内された席に腰をかけるセヴン達。
席に着くと2つ折りにされた木の板を開いて見せてくれる。中には文字が彫られておりメニュー表のようだ。じっくりとその文字を眺めて、従業員に注文をする。
「俺はカツカレー、チーズトッピングで。あとドクター○ッパーね」
「海老とキノコのアヒージョ、バゲット付でお願いねぇ。後飲み物は赤ワインを頂戴」
「私はオムライスにバナナジュースでお願いします」
従業員は注文を受け、奥の厨房へと引っ込んで行った。
「つか、使い魔でも食事必要なのか?」
セヴンが読者の疑問を投げかけてくれる。
「使い魔に食事もさせないなんて旦那様もヒドイ人ねぇ、食べなくても大丈夫なんてダレが決めたのぉ?」
「ヒドイですよセヴン君…」
なぜか悪者扱いされてしまったが、どうやら食事はする様だ。魔力に戻してしまえば必要無いじゃないとも思うのだが、この使い魔は戻ってくれそうにも無いし、むしろ使い魔かさえ怪しい。
食事と飲み物が各自届き食事を始める。
セヴンの頼んだ物は少し黒めのカレールウが、真っ白なライスの横に並々と注がれており、ライスとルウの境目に丁度3分の1程度ルウに浸かった適度に切られたトンカツが乗せられていて、その上にトロ~リと溶けたチーズがトッピングされている。スプーンを縦にしてトンカツに押し当てると、サクッと音を立ててトンカツが両断される。
ヘラルーが頼んだ物は小さな鉄製の鍋に熱せられたオリーブオイルがたっぷりと入っており、殻を剥かれた海老や、数種類のキノコがそのオリーブオイルの中に浸かっていた。海老とキノコとほのかなガーリックの臭いを閉じ込めたオリーブオイルの香りが鼻腔をくすぐる。そえられた厚切りのバゲットを鍋に浸すと、ジュワジュワ~っと旨みの閉じ込められたオリーブオイルが浸み込んでいく。
最後にバニアの頼んだ物だが、一般的な包み込むタイプとは違い、小さくサイコロ状にカットされたチキンやニンジン、タマネギなど具が入ったチキンライスの上に、黄金色のフワフワトロトロの卵が乗っかっており、その周りにはデミグラスソースがかかっている。チキンライスとデミグラスソースの香りが見事に溶け合っており、食欲をそそられる。
満足のいく料理を口に運びつつ今後の予定について話し合っていると、突然声がかかる。
「おうおうおう、兄ちゃんべっぴんさんを独占かぁ?」
顔から首の下まで真っ赤にさせた強面のヒューマンの男が絡んで来る。手に持ったエールの入ったジョッキから中身を零しながらフラフラと近寄って来て、ドンッとジョッキをテーブルに打ち付ける。正しくお約束の様な酔っ払いである。
面倒事はゴメンだとそのまま無視をして食事を続けるセヴンとヘラルー。バニアはオロオロとして困った顔をしている。
「シカトかよ坊主!テメェ良い女を連れてるからって調子こいてんじゃねぇぞコラァ!」
「ちょっとべっぴんさん達を貸してくれって言ってんだよ!聞いてんのか?」
最初の酔っ払いの仲間なのだろうか?また別の酔っ払い客が絡んで来る。先ほど感じた視線に妬みややっかみを感じたのだが、気にせず無視をしていたらコレだ。周りの反応を見てみると、「またか」と言う様な声がチラホラと聞こえ、常日頃から問題のある連中らしい。
従業員も気が付いている様だが、連中が怖いのか遠くで未だ様子を見ている状況だ。「やれやれ」とセヴンがスプーンを置いた時、連中とは別の声がかかる。
「あんさんらええ加減にしといてくれませんかね?お嬢さん達迷惑しとりますやん?」
助けに来たのは先ほどの部屋まで案内してくれた従業員の玄界であった。
幼女 の 悪戯です!決して に ではありませんっ!
間違えた方はアウトです!




