よろれいほ~
新章突入です。
エルフの国クリスタニア。アズガルドの南部に位置する、地面に穴が開いている様な大きな滝[ナラク]の周りに街々を形成し発展した国である。
同じ耳長族であるが、ダークエルフ族の信仰する闇の女神ヘラとは違い、エルフ族は狩猟の女神アルテミスを信仰し加護をもらっている。と言っても、そのダークエルフ族の信仰対象である闇の女神様は、今ダークエルフの国を出てエルフの国へと向かっている一団の中に居るのだが…。
そして一行は着々と歩を進めダークエルフの国最南端に位置する霊峰の洞窟の前まで来ていた。
まずダークエルフの国からエルフの国リスタニアへ行くには、この霊峰にある洞窟を抜け、ヒューマンが統治する場所を通過し、更に南下していかなければならない。他にもエルフの国に行く手段はあるのだが、この霊峰の洞窟を抜けるのが一番近いのである。
だがしかし、この洞窟の難易度は低くなく、ある程度の実力のある冒険者や、屈強な傭兵を雇った商団ではないと抜けるのには危険が多すぎる為、一般的には遠回りしても別の道から向かうのが無難である。
「よぉ~し!まずはココを抜けて行くか!バニー、ヘラルー、覚悟と準備は良いか?」
「はい!よろしくお願いします!」
「いいわよ~ん、旦那様こそ私のお尻に見とれ過ぎて転ばないようにねぇ」
道中何度かモンスターとの戦闘を経験して来たのだが、基本的陣形として、セヴンとバニアは後方支援をして、ヘラルーが前衛でモンスターの攻撃を避けつつ魔法や格闘で倒すのが、このパーティの立ち回り方となっていた。
ヘラルーなのだが、女性型の遠距離魔法職の様に見えて実は、回避力が高い近接職の様な動きでモンスターを翻弄し、徒手空拳での格闘もなかなかの物だった。
まあ実はこの高い近接能力のおかげでセヴンは夜に無抵抗でなされるがまま犯りたい放題されている訳なのだが…。
実際戦闘中に身に着けている紺色のマントの端から、動く度にチラチラとほぼ丸見えの巨大な桃尻が見え隠れして、夜の出来事を思い出し、動きがぎこちなくなるセヴンを、世の男性の誰が責める事が出来るのであろうか。
「と、とにかく中へ進もう」
洞窟の中へと入ると、そこは試練の洞窟とは違い暗く、明かり無しには進めそうに無い。目の前に光源を発生させる魔法など使えるのならばそれを明かりにすれば良いのだが、現在このパーティには使い手がおらず、セヴンとバニアは手持ちのランタンに火を灯す。
「私は闇属性だからぁ、暗視能力があって真昼くらいに見えるから平気ねぇ」
「俺も一応種族特性で夜目は利くほうだけど、この暗さはちょっと無理かな」
「私とセヴン君で後方から照らして進みつつ、ヘラルーさんに先頭をお願いすると言うので良いのでしょうか?」
「うん、それで行こうか。ヘラルー前頼んだよ」
「おまかせあれぇ~」
布陣も光源の容易も済み、洞窟内を進んでいく。洞窟内部は広さだけはかなりのものがあり、馬車や軍隊なんかも余裕で通過する事ができそうな広さはある。
しばらく道なりに進んで行くと暗闇に気配がする。
「旦那様、バニーちゃん、来るわよぉ」
進行方向からズルズルと大きな何かを引きずる様な音が聞こえて来て、注意をうながすヘラルーに、鞭の様に体をしならせてまず襲い掛かる。
巨大な体躯を持つ爬虫類型モンスター[バイトバイパー]である。そしてその後方から3体同じ蛇が体をうねらせながら近づいてきている。
「噛んじゃやぁよ~」
すかさず[バイトバイパー]の噛みつき攻撃を右へかわし、そのまま体を正面に戻す勢いで正拳を大蛇の咢に叩き込む。魅力的な肉体のどこにそんな力が秘められているのか謎だが、自分の体の3倍はあろう先駆けして来た[バイトバイパー]は、大きく吹き飛び壁に打ち付けられる。
ズドーーーーーンッ!!
「お、おいヘラルー!あんまり激しいのは洞窟がやばくないか?」
「えぇ~?激しいのは夜だけにしろってあんまりじゃな~いぃ?」
「ゆっとらんわっ!!」
轟音と共に壁が大きく揺れ、吹き飛ばされた巨体は四散した。過剰とも言えるヘラルーの行動に注意をし、魔法を詠唱し始めるセヴン。
【ウィンドカッター!】
灰色の杖の先から風の刃が発生し、後方に居た[バイトバイパー]の1体に飛んで行く。
バシュシュシュッ!『グエエェェェェッ!!』
頭部の下、首に当たる部分に命中し、綺麗に切断された首は宙を舞いながら断末魔の叫びを上げる。
【ダブルショット!】
後方から狙いを定めていたバニアの、大きく引き絞られた弓から一対の光る矢が放たれ、残りの2体の正面に来た時に綺麗に二股に別れてそれぞれの眉間を撃ち抜く。
そしてベールによって顔は見えないが、口元が緩んで体を微かに震わせながら、眉間に矢が刺さり悶えている2体の大蛇の矢筈を次々と踏みつけ、矢尻を奥深くへと突っ込むヘラルー。
「アァ~ン、悶えてる物に止めを刺すのってぇ、何か良いわよねぇ」
「バニーお見事っ!やっぱその弓なかなかの威力のようだな。おっちゃんも良い仕事しやがる」
「はい、依然使っていた物よりも何倍も攻撃力が上がっている様です」
「ひどぉ~い、私も頑張ったんだからぁ褒めて褒めてぇ」
洞窟自体を崩落させかねない先制のカウンターを放ったヘラルーを、一応良くやったと頭を撫でて褒めてみる。正直仮にも女神様の頭を撫でるなんてどうかとも思ったが、本人は喜んでいる様なので大丈夫なのだろう。喜んでいるヘラルーをどこか羨ましそうに見つめているバニアに気が付き、バニアの頭もそっと撫でてみるセヴン。
「ふ、ふ、ふえぇぇえぇ、ありがとうございましゅ、あっ、しゅ~」
こちらも仮にも自分より1つ年上なはずなのだが、なにやら顔を真っ赤にしながらも喜んでいるので、これからは何か褒める事があればこの方法で良いだろうと心に刻むセヴンであった。
「とりあえず中のモンスターも、このメンバーなら問題なさそうだな。それじゃぁこのままサクッと進んで抜けちゃおう」
通常であれば洞窟内はランク3の冒険者パーティでも危険を伴うほどの物なのだが、色々と規格外のサモナーと、その使い魔。また規格外の装備を手にした少女にとっては大した事では無い様だ。時々襲って来るモンスターを難なく瞬殺しながらセヴン達は洞窟を進んで行った。
ほどなくして遠くに洞窟の出口とおぼしき明かりが小さく見えて来た時、突然先頭を歩いていたヘラルーの動きが止まる。
「旦那様、醜悪な気配がするわぁ。多分数は6ねぇ」
そう言いながら本道から外れた横穴を指さすヘラルー。ベールで表情は見えないが、語気を強めている事から、何やら怒っている様子だ。
「盗賊の類だと思うんだけどぉ、どうも微かに聞こえて来る女性のすすり泣く声がかなり不快ねぇ」
「女性が囚われているのでしょうか?」
険しい表情で聞き返すバニア。
「バニーちゃん。正直貴女はココに残っていたほうがいいかもしれないわよぉ?決して気分の良い物じゃない事が行われているはずねぇ」
「よし、バニーはここで少し待っててくれ。モンスターには一応気を付けろよ」
そう言いながら横穴へとヘラルーを伴い入って行くセヴン。
人が1人通れるくらいの横穴を通り進むと、木製の扉があった。どうやら盗賊の類の隠れ家か何かなのだろうか、その扉越しに下卑た笑い声が聞こえる。
そして大きく深呼吸して気合いを入れる。
「おっしゃおらぁっ!」
ドーーーーーーンッ!
扉を蹴破り中へと突撃するセヴン達。中は大き目の空洞となっており、何者か達の隠れ家と言って間違いない様子だった。
そしてそこには2名のダークエルフ族の女性。そしてその女性達の体に覆いかぶさり貪っている薄汚い盗賊の風貌をした人間の男5名が居た。そしてその集団から少し離れた所に、その様子を腕を組み窺っている1名の小奇麗な恰好をしたダークエルフの男が居る。
「なんだぁ貴様らは!?」
薄汚い盗賊の風貌の1名が曲刀を手に近づいて来た…。
ちょっとシリアス成分多めかな?
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