まさかの
『リディア、帰ってきていたんだ。』
私達と同じ歳のウィルフリッド・ラドフォード。
ラドフォード家の若き侯爵だ。
この前先生が言っていたのもこの人。
『ご無沙汰しておりましたわ、ラドフォード侯爵。』
『久し振りだね、ウィル。』
『・・・久しぶり。・・・・リディア・・・・猫かぶりと言うか
・・・令嬢かぶりやめてくれ。他人行儀にも程がある。』
まぁ・・・家関係で付き合いがあったから、此方ではレナードの次に付き合いが長い。
『挨拶ぐらいちゃんとするわよ。』
『それでこそ、リディアだ。』
笑いながら言っているウィル。
バカにしているのかな?
『はいはい。で? 兄さん、此処には何をしに来たの?』
『・・・・ウィルも攻略キャラだからね。』
『はい!?』
本人の前でいう言葉!?
そう思って口をあんぐり開けてるとウィルに頭を撫でられた。
『ウィル? どういうことなの?』
『ああ・・・リュシアンと同じだ。』
兄さんと同じ・・・・ということは・・・
『ウィルも転生者・・・ってこと?』
『知らなかったのか・・・。』
話が違うという感じで兄さんの方を向いている。
兄さん、ちゃんと教えてよ・・・・
ってことは・・・他にも転生者?がいるかもしれない。
『兄さん、ウィル。』
『どうかした?』
『他にも転生者・・・っているの?』
『僕が知っている限りじゃいないかな。』
『わたしが知っているのはリュシアンだけだが・・・。』
『ご歓談中申し訳ありません。』
ラドフォード家の執事さんが来ていた。
それより・・・ウィル・・・一人称が変わった?
前は・・・俺だったよね・・・?
『あれ? ・・・リディアどうかしたの?』
『・・・えっと・・・ウィル・・一人称変わった気がして・・・。』
『ああ・・・前当主が亡くなって侯爵を継いでから変わったね。
・・・何かしらのケジメだと思うよ。』
成る程・・・ということは去年当たりからかな。
そう思うと執事さんが出て行った。
『ハァ・・・』
『ウィル、どうしたの?』
『面倒くさいことになっただけだ。』
『面倒臭いこと・・・かい?』
そう思うとドタドタと五月蝿い足音がした。
なんとなく分かった。
『ウィルフリッド様、ごきげんよう。』
部屋を遮るドアが開いていい身分っぽいご令嬢がいた。
そう言いながらウィルの腕に嬉しそうに抱きついている。
気づこうよ・・・ウィルが顔をしかめていることにね・・・
『あら? そちらの黒髪の方は・・・確か・・ランズベリー家の・・。』
私の事は一瞥もしないで兄さんの方を向いていった。
『・・・悪いが、わたしは忙しい。
帰ってくれ。』
そう言って冷たくあしらう・・・。
『わたくしは・・・ただ、ウィルフリッド様に・・・』
『また、夜会の時にでも。』
そう言って部屋から追い出した。
『いいの? ウィル。』
『ああ、わたしと同じ侯爵家だが・・・・あんなことを上級貴族によく言ってるからな。』
『聞いたことある・・・ブラウンズバーグ侯爵家のシャーロット嬢だよね?』
『ああ、はっきり言って・・・しつこいな。』
『だったらさっさと婚約者探したら?』
兄さんの厳しすぎる言葉。
『身分、容姿、頭・・・の三拍子が揃ってるんだから、募集でもすればすぐに見つかるよ。』
『・・・だったらリディアはどうだ?』
人の悪い(腹黒い)笑みで聞かないでください!
そう言っても無駄だろうし、丁寧に断ろう。
『まさか・・・相応しい身分の方がいらっしゃいますよ。』
『よく言うな・・・・地位的にはラドフォード家のほうが上だが・・・
権力から言えばラドフォードより上だろう?』
私の祖母の家・・・ランズベリー家は昔々に公爵にならないかとまで、
言われたけれど・・・その時の伯爵・・・がひどく変わった人らしくその商談(?)を蹴ったのだ。
実際、祖母の母・・・私の曾祖母は王族の第一王女で、身分差があったけれど反対されなかった。
(だからと言っても・・・怖そうだし・・・婚約者にはなりたくない。)
『オブラートに嫌だって言ってるんだよ。』
ストレートに言う兄とは逆なのかもしれない。
『まぁいい。話を戻そう。』
やっと本題に入ることになった。




