電話 イギリスにて
Purururururu
夏休み中で7時に電話をかけるのは1人しかしらない。
『はい、もしもし?』
《もしもし、兄さん?》
今日は不機嫌って言う訳ね。
何時もは最初だけ丁寧なお嬢様口調だけどそれがない。
余程何かがあったのだろう。
『今日は不機嫌だね、なにかあったの?』
双子の妹だけど、精神的に考えれば娘のようなぐらい違う妹に宥める様に言った。
《実はね・・・・・・》
ことの始まりをポツポツと話し始めた。
『・・・つまり、攻略キャラの佐久間透が此方に来るってこと?』
《うん、それで・・・どうしようか?》
確かに・・・まだ物語が始まってないとはいえ、攻略キャラかぁ・・・。
僕が説明すればいいかな・・・?
『いいよ、この際僕が説明するよ。』
《・・・有難う。
・・・・・・。》
電話のほうで何か悩んでいるようだった。
声、かけた方がいいよね?
『どうしたの?』
《・・・冬也兄さんに・・・。》
兄貴?
『あの人がどうかした?』
《ちょっと・・・教わりたいことがあったんだけど・・・迷惑だよね。》
祖母の跡を継ぐから言っているんだろうが、兄貴が・・・とても、
雪葉の言うことを聞かないなど思えない・・・妹溺愛者だから。
『大丈夫だと思うよ。
何を教わりたいの?』
気になってしまったので聞いたが、思っていたのと違う答えが聞こえた。
《・・・話術を教わろうと思って・・・・》
『やめなさい。』
あの人に話術を教わるとか・・・相手の心壊す気なのか、妹は。
あの人・・・元いい兄貴は・・・怖い。
話術とか言いながら商談を此方の有利にまとめたのはいい。
それはいいんだけど・・・誘拐された時に相手の弱い部分を突いて、
その誘拐犯を精神科の病院に3ヶ月入院させたことがある・・・それを教わるのは・・・。
『兄貴に話術を教わることは相手の心を傷つける行為だよ?』
《だって・・・この前誘拐された時・・・逆上させちゃったから・・・・》
成る程・・・精神的にダメージを与えて助けようと・・・あれ?
これはいいのか・・・悪いのか・・・悩みどころだ。
『兄貴にも事情があるだろうし、その件は此方に来てからね。』
それ以上反抗されないように電話を切った。
これは・・・困ったな。
この日は一日中、妹に犯罪を起こさせない様にするか、危機から守るかに悩んでいた兄だった。
大概この人もシスコンだろう。
初の双子のお兄ちゃん視点でした。
・・・・普段は結構楽しんでますが、案外一番の苦労人はこの人かもしれませんね。




