誘拐
「・・・私達どうなっちゃうの・・・。」
「分からない。」
「ほんま嫌わ!
俺まだやり残したことあるもんなぁ・・・。」
「・・・死ぬのかな・・・。」
私と佐久間君以外ちょっと不安定みたいだ。
そう思うと車が動き始めた。
「ちょ!」
「少し黙っててください。」
「なに言ってるんや・・・。」
・・・英語で・・・ヴィ・・・ン・・・ト・・・ディ
「ヴィント・・・ディ・・・・?」
「声が聞こえたのか?」
「全然わからなかった。」
「止まったな。」
「ホントだ。」
「オイコイコイ」
ついたのは薄暗い倉庫のような場所だった。
「グルグル・・・トルジユウ・・・モノ」
連れて来られた部屋にあるもので紐をとれと・・・。
身勝手な誘拐犯だ。
「どうやって取るんだ?」
「ガラス瓶とか・・・。」
色々物色しているようだ。
取り敢えず、自分の紐を縄抜けで取ろう。
確か・・・此処を・・・・っと、
「まだ、縄とれてない人、とるから来て。」
「え!?」
「なんで!?」
「縄抜け。小学校の授業であったから。
実際にやったのは5回目ぐらいだからすぐ終わったよ。」
そう言いながら、時間短縮のため近くにいた小野寺さんと佐久間君の縄を左右の手で外す。
佐久間君のを外したのは正解だった。
さっさと他の人の縄をといてしまった。
「大丈夫?」
「ああ。」
「・・・最悪、今日の夜には警察は動くと思うが、
それまでこのままなのもな・・・。」
「え?」
確かに夜には学校も変に思って警察に行方届けを出すはず。
そう思っていると扉が開いた。
『ちょっと君たち、連絡しろ。』
イギリス英語。間違いなく英国人。
もしかして祖母関係の人じゃないよね・・・?
そう考えると震えが止まらない。
『れ、連絡とは何処にでしょうか?』
震える手を押さえ込みながら言うとイギリス英語が喋れるとは思っていなかったようだ。
『英国の政治家だ。
俺たちが犯罪を起こせば多少は責任を取るだろ。』
そう言いながら小野寺さんの首筋にナイフを当てている。
「いや・・・やめて!」
『黙れ!』
「なんで・・・・なんで・・・。」
泣き叫んでいる小野寺さんをうざそうに刺そうとしていたので庇う。
『叫ぶのは正当な理由だと思いますが?』
『てめぇ・・・。』
『第一この状況で叫ばない中学生は居ないでしょう。
ましては平和大国日本ではなおさら。
そして、意味もわからない言葉で言われても・・・』
『うるせぇ!!』
『もしかして、理不尽なことを政治家に言われたんですか?』
『そんなもんだよ!!』
『貴方達がしていることは理不尽だと思いますが?』
相手は怒ったのか、わたしの事を突き飛ばした。
「ッ」
『お前なんかのんびり暮らしてて苦労もしねえで生きてた人間は全員死ねばいい!!』
『ぁ゛ぅッ』
思いっきり太腿を刺されている。
何度も・・・・多分相手の気が収まるまで刺されていたんだろう。
その後出て行った。
「雪葉ちゃん!!」
「大丈夫だから・・・・。」
はっきり言えば物凄く痛い。
でも、そんな事言っても意味がいない。
動ける自信がない。
「取り敢えず、止血だ。」
そう言って持っていたらしきハンドタオルを切って刺された部分にきつく巻いていく。
「っっ」
巻いている途中で傷に触れたのだろう。
鈍い痛みが伝わってきた。
「大丈夫!?」
「だ。大丈夫。」
「取り敢えず、止血をしただけだ。
治療をしていないから動くな。」
たしかにそうだ。
応急処置でしかない。痛みもある。
誘拐されるなんて・・・やっぱりこの前兄さんが言っていたこと?
「暫くは来なさそうだけど・・・・。」
「ならちょうどいいね。」
そう言って上着の内ポケットから薄型の携帯を出す。
こっちは兄達の連絡用・・・と言うか英国にいる人のための国際用。
コールがなり・・・5回目ぐらいで出た。
『はい?』
「夜中に御免なさい。」
〈どうかした?〉
誘拐されましたでいいのかな?
「一言で言えば誘拐されました。」
〈・・・・アッサリ言い過ぎ。〉
「位置は・・・・。」
〈GPSで調べる。〉
「うん、じゃあ。」
そういい切る。
クラクラしてきた・・・。
「さっき出してなかったのかい?」
驚いたように遠藤君が言った。
「・・・まぁ・・・セントマリアの教育方針上です。」
「え?」
「セントマリアには・・・誘拐対策として色々やるから・・・・。」
「・・・ちょっと悪いが触るぞ。」
そういい、額に手を当てる佐久間君。
手が冷たくて気持ちがいい。
「?」
「怪我のせいか、熱が出てきたな。」
なるほど・・・あんなに深く刺されたら熱も出るか。
ナイフも消毒してなさそうだし・・・。
そう思うと眠気が誘ってきた。




