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〈Genesis of Anomaly〉〜恩寵という名のデバフを盛るほど強くなるVRMMOで、盛れるだけ盛ったオンボロ機械兵器のお話〜  作者: 月麗 ジアマリ


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第5話『事前予約特典とランダムスキルチケット』

 ……冒険開始だなんて意気込んだばかりで恥ずかしいが、いやこの体、全く思い通りに動かない……!


 下階へと繋がる階段の途中に腰掛けること数十分。ああクソ、あまりにもキツすぎる。身体制御難易度上昇(超特大)、これやっぱりとんでもないマイナス補正だ。


 ここはあの箱に近いのでまだマシなはずだが、離れる度に少しずつキツくなっていく。


 少しでも歩こうものなら、転けて転けて転けまくって、全身の細かなパーツがポロポロ落ちまくって、いつの日か何も残らなず消えてなくなっててしまうだろう。


 パーツの枯渇は大袈裟じゃなく、本当に死活問題なのだ。


 「ふぅ、一旦休憩だな」


 一息つくと、先程バルから言われたプレゼントについて思い出した。そういえばあの穴を潜る前に何か言っていたような……


 はあ、良い時宜だし、休憩がてらその確認も済ませようか。


「たしか、えーと……オプションからプレゼント、これか……?うん、これだ」


 プレゼントの項目を開くと、このゲームを事前予約してくれてありがとう!という言葉を希釈して伸ばした内容のメールが一通と、このゲームを遊んでくれてありがとう!という内容のメールが一通の、計二通来ていた。


 それぞれ事前予約特典のアイテムとランダムスキルチケット×5枚を受け取ることができるようだ。なるほどね。


 とりあえず、事前予約特典の内容を確認していこうか。どれどれ。


 ▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼


 ▼アイテム▼

【UR】神捧珠シード

 ┗自身が信仰する神の名前を呟くと共に、この宝玉を天に捧げる動作を行うことで、この宝玉が砕けるのと引き換えに一時的に自身が信仰する神との交信を可能とする。何を話すも、何を語るも、何を求めるも、全ては偏に神の思し召し。


 ▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲


 なるほど、ふむ。


 果たして神々が恩寵を与える以外にどのような力を持っていて、仮に想像もできないような大きな力を持っていたとしても、それをただの個人に行使してくれるのか、という問には大いに疑問が残る。


 それに、以前にGoAの公式サイトを覗いた限りだと、かなりの数の事前予約があったはずなのだ。それもかなり前のことなので、サービス開始が今日であることを踏まえると、少なくない数を増やしていると考えるのが当然である。


 そんな彼ら彼女ら一人一人にとんでもないスーパーパワーを授けるような効果は、ゲームバランスを考慮して有り得ないことだろう。


 ただ、このアイテムの効果についてはあれこれ言えないけれど、少なくともこのゲームの世界観を鑑みた上で客観視するなら、とんでもないアイテムであることに疑いの余地はないだろう。


 この世界に生きる遍く人類の庇護者である神々と、一時的であるとはいえ交信することが可能になるというのは、どんな強力な武器やバフをも余裕で上回ってしまう、特別な効果であると言える。


 ただやはり、そうであるからして気軽に使うべきものではないと思う。使い切りとはいえ、時と場合はしっかりと選んだ方が良いのではないだろうか。


 そうだな、セーフティネットの様なイメージを持っておくことにするか。


 あ、これガチで詰んだ、無理だ……ってタイミングで使用することにするか。それまではメール欄に放置が安定である。


 機神様も、私が必死に祈った時の方が願いを叶えてくれそうな予感がするし。


 配布アイテムをそのままメールに紐付いた状態でアイテム化せずに塩漬け保存しておくというのは、遠い古の時代から現在に至るまで、フルダイブ系のゲームだけに限らず、あらゆるプラットフォーム、ジャンルのゲームで行われてきたゲーマー御用達の手垢塗れの小技だ。


 もちろんプレイするゲームによっては有効期限のようなものが設けられている場合もあるが、幸運なことにGoAにはその類の縛りは存在しない。だからとりあえず塩漬け保存安定で大丈夫だろう。


 また、今のところインベントリ含む様々な便利機能がアクティベートされていないということからも、いずれかの機会に開放されるものだと踏んでいる。それまでは、この朽ちた左手で持てるもののみが私の全財産なのだ。


 そういった点から考えても、配布物をメールに保存しておける小技は、少なくとも今の時点で大活躍である。


 さ、次はお待ちかねのランダムスキルチケットだ。


 ▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼


【UR】ランダムスキルチケット

 ┗メールから直接使用することで効果を発揮する。このアイテムの使用時、この世に存在するあらゆるスキルの中からランダムで抽選されたスキルを獲得できる。


 ※管理AIが様々なマスクデータを慎重に考慮した上で、ユーザーが使用するには非常危険であると試算された一部スキルに関しては、排出率に大幅な下降補正がかけられる。


 ▲▼♦▼▲▼▲▼▲▼▲


 いいね、理論上この世のあらゆるスキルを獲得可能であるらしい。こういう博打はやはり最高である。


 ただし、ユーザーが使用するには幾分危険であると判断された一部のスキルに関しては、入手できる可能性に大幅な下降補正がかけられている、と。


 この危険という文言が何を表しているのかは分からないが、ポラリスのことを考えると、どう考えてもろくな事ではない。


 それに本当にゲームバランスを崩壊させるほどの、あるいは世界を危機に陥れるような力を持つスキルが存在するとしたら、そんなものを態々ここに入れておくなんてことはしないだろう。隔離しておくはずだ。


 つまり、「プレイヤーが気軽に使用するには少し強すぎるかなと思ったスキルとかも遊びで入れておくけど、ただのチケット一枚で簡単に入手されたらつまらないから、バッチリ確率下げときます(笑)」といった感じではないだろうか。


 いや、実際の意図するところや、ポラリス側のテンションについてはハッキリとしないのだが。


「まあ何が出てもそれを上手に使えば良いのだ。とりあえず使用してみよう」


 メール欄のバーを左右に振ることで一度に使用する枚数の指定ができるようだ。残念ながら私は単発教なので必要のない機能なのだが、きっとこの機能を重宝するプレイヤーも多いことだろう。(機神様、すみません)


 さて、それじゃ一枚目いこうか!そい!


 ▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼


【SR】大地魔法

 ┗地魔法を極めるに至った先に辿り着く極地。大地に語りかけるように祈れば、きっと彼らはあなたの望みを叶えてくれる。


「決して大地魔法の研鑽を怠るなよ、いつの日かお前が神に縋った時、きっと助けてくれるのはこいつだから」

 ┗【大地の呻き声】グランカルドスの言葉


 ▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲


 おお、いきなりSRだ!レアリティの上がどこまであるのかが分からないが、少なくともURまではあるのが確定しているので目指すはURのスキルではあるが、なにやら強そうなスキルである。


 いや、あれはアイテムのレアリティだから、スキルにはない可能性もあるのか……いや、まだ分からない。オプションのヘルプで調べれば簡単に分かるのだろうが、なぜか使用できないのだ。


 まあそれは置いてといて、なんと言っても魔法だ!


 私のこの朽ちた体では接近戦に不安があったので、ここで遠距離で相手を攻撃できる力を得られたのは非常に大きいだろう。私には潜在的に遠距離攻撃を行える武装が搭載されているはずなのだが、一目見て分かるこのザマなので言うには及ばず、である。


 また、一番下にグランカルドスなる人物の一言コメントみたいなものが掲載されている。これはどんな目的があってなされているのか分からないが、もし全てのスキルにこのような文言があるのなら、コレクション要素もできて面白そうだ。


 次だ!


 ▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼


【SR】早替え

 ┗所持している装備品を、思うがままに素早く変更できる。強く念じれば念じるだけ、より素早く、それも瞬きする間もなく切り替わるだろう。


「インチキだ!アイツの短剣が俺の剣をすり抜けやがったんだ!瞬きする度に仮面が変わってるし……」

 ┗稀代の奇術師と対戦した冒険者の言葉


 ▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲


 これは……説明文を見る限り装備を素早く換装することができる強力なスキル、という印象に過ぎないが、下の呟きを見る限りそれだけではないように思う。


 物質をすり抜ける……たしかにそういった効果のスキルもあるのかもしれないが、この早替えですり抜けるのはどう考えても不可能だ。だから、そう見えるような工夫や仕組みがあるに違いない。


 試してないのでハッキリとはしていないが、念じることで素早さが上がるなら、何かしらでゆっくりにもできるはず……か?


 装備が切り替わる瞬間に武器を素早く振り下ろせば、すり抜けを再現できるかもしれない。


 ただ、まだスキルの詳細な検証ができていないので、その奇術師独自の謎技術や謎アイテムを使った可能性も考えられるが、まあここに記載されているということは、きっとこのスキル単体でも使い方次第では再現できるのではないだろうか。


 よし、次だ!


 ▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼


【SR】プランター

 ┗植物を生育する行為全般に大きな補正をかける。この蝕まれた世界では、自然と共に生きることの尊さを骨の髄まで理解できるはずだ。これがその一助になりますように。


「息子よ、よく覚えておくのだぞ。人は自然なしで生きることなどできないのだ。常に感謝を忘れずに、な!」

 ┗貧しい農民の言葉


 ▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲


 またSRである。三連続だ。もしかしてこのランダムスキルチケット、SR以上確定だったりするのだろうか?その様な仕様は書いてなかったはずだし、この世にあるスキル全て云々って書いてあったから……


 いや、スキルとはSR以上しか存在しない、のか……?こういったゲームには、ノーマルやコモンなどのレアリティがあってしかるべきだと思ったのだが、うーむ。まあまだ分からないか。


 それにしても、この荒廃した世界ならではのことが書かれているようだ。この世界での植物の価値は、想像以上に大きいのかもしれない。荒んでしまった人の心には、特に緑が刺さるのだろうか。


 効果も単純明快で非常にわかりやすい。植物を生育する行為全般に補正か、深く考えるまでもなく非常に強力なのは間違いないだろう。上手く使いこなせれば、とんでもなく有用なのでは?


 農民の言葉にも沁みものがある。人は自然なしで生きていくことなどできないのだ。意識していなくても、必ずどこかでその恩恵を受けている。


 この発達した科学技術の産物に囲まれて生きる時代では、なお深く考えさせられるテキストだ。これも良い機会だし、時間がある時に近くの自然公園に行くとするか。


 さて、次だ。


 ▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼


【SR】ファブリケーター

 ┗様々なアイテムを組み合わせることで、精密な部品や機構を作ることが可能になる。一見無価値に見えるガラクタも、工夫次第で精巧な機械に様変わりするだろう。


「おい、裏の資材置き場から手頃なガラクタ拾って来い。面白いモン、見せてやるぜ?」

 ┗名の知れたドワーフの名工の言葉


 ▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲


 またSRである!となると、やはりスキルはSR以上しか存在しないのだろうか。ああモヤモヤする。仕様が分かればこんなに悩まないのに。


 しかし、このスキルの効果はかなり面白い。複数のアイテムを自由に組み合わせることで、別のものに作り替えることが可能になるのか。


 一見ただのガラクタにしか見えない物でも、その組み合わせ次第で全くの別物に仕上げることができるようだ。


 ふむ。これは随分と私と相性が良さげではないだろうか。この廃ビルを探索して何かしらを見つけることができれば、それを使って面白いものを作るのも良いかもしれない。


 ある程度訓練をした上で、それでもこの体が満足に動かないのであれば、それを補助するようなアイテムを作るのも手だと思う。


 さて、最後だ。良いスキルよ、私の元に来るんだ!


 と意気込んでアイテムを使用したところで、突然どこからともなく強烈な気配と共に声が響いた。


『生涯一番の傑作である我が寵児よ、そなたにはこれを授けよう』


 流麗な女性の声を聴いた直後、獲得したスキルを表示するウィンドウにノイズが生じたかと思えば、その色が虹色に輝き始めた。


 その眩い光に思わず左目を窄めていると、再び女性の声が響く。


『寵児は我の切実な望みに応えて【エクス・マキナ・アポカリプス】の素体となった【絡繰兵】に生まれ落ちてくれたからな。これはほんの些細なお返しよ』


 耐え難い存在感によろめきながらも、注意深く辺りを観察する。しかし、変わったことなど全くないのだ。ただ不思議な声が響いているだけである。


『そう慌てるな……。ふふ。さて、今のそなたではそろそろ限界か。では、この贈り物を大いに活用することだ』

遅くなりました。


 世間はちょうど新生活に慣れ出した頃合いでしょうか、日中は以前よりも過ごしやすい気温になってきましたね。


 つい先日、Artemis II が無事に地球に帰還したということで、なんともめでたい話です。宇宙大好きジアマリもその様子をYouTubeでドキドキしながら見ていましたが、大変感動しました。


 チャレンジャー号やコロンビア号の悲劇、それから宇宙開発のために命を捧げてきた全ての存在が、きっと彼らを地球に届けてくれたに違いありませんね。


 今後もより発展的な試験を繰り返し行うとのことですので、今回生中継を見ることができなかった方も、是非次の機会に注目してみてください。もしかしたら新しい扉が開かれるかも……!

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