第十八話 禁忌の術式
--不可解ナ人間ガ、アノ人間ノ傍ニ行クトハナ。
--エエ。ソノヨウデスネ。
都築を上から見ている彼らが、忌々しいと言った口調で漏らす。
その視線には、都築共々、他のメンバーも気づかない。
「てかよー~~本当に、手前が倒したんかよ? 嘘くせェ~~ぜ!」
入江が唇を突き出しながら、都築に言い続ける。
横から言われ続けることの、都築も無視する。
彼が、都築が話したいは、この入江出口ではない。
同じ容姿の彼を、どつきたくなる。
「っち。ギャーギャー、と。よく、喋るな。お前は……」
短く言い返す都築に、入江も。
「お! 起きてたんか?? 全く喋んねェからよー~~」
上目づかいで、都築を見上げた。
「寝てんのかと思ったぜ!」
「……歩いてんだろ? 馬鹿かよ」
冷淡に、切り返す都築。
表情も、どこか優れない。
(つぅか。戻ってこんなとか、人格設定が、可笑しいんじゃないのか?!)
沸々、と怒りが込み上がるのが分かる。
(っくそ! どういう仕組みなんだよ!)
ただ、横で喚くだけの入江に、沸々と。
(てか。武器だしてたよな)
都築の眉間にしわが寄る。
「あんだよ! やんのかァ?!」
入江が、都築の前で拳を振るポースで、煽る。
(こいつの時じゃ、恐らく出せねぇだろな)
顎を手で押さえつつ、ものふける都築。
「しょうがねぇか……おい、ポンコツ」
都築が背中に居るミウに声をかけた。
急に都築から声をかけられたミウの身体がビクつかせた。
「っな! なんだい?? 急に~~♡」
ミウの表情が緩む。
「俺にも、なんか魔法とか、武器が欲しい」
横目で都築は、ミウを睨んだ。
睨まれるミウの顔は、喜びの表情のままだった。
都築は憮然とした表情のまま。
「そうだねー~~こっちの人間の、君には難しいかもね♪」
ぺちぺち、と都築の背中を叩くミウ。
何気に、その筋肉に触れられることが嬉しかった。
「っち。このポンコツが」
舌打ちし、正面を向く都築。
「あ!」
「? 何だよ。あんのか?」
「……--ないです」
「っち」
背中で項垂れるミウを、アデルがほくそくむ。
「おれ、出来るよ」
アデルが、そう都築に言う。
都築は、勢いよくアデルの方を見た。
「おい。アデルーーそいつぁ、本当なのか??」
少し、強張っていた表情が、和らぐ。
(っぐ!)
アデルが、平静を装いながら頷く。
「あるわよ。おれは《呪術者》だからね」
「ふぅん。どっかのポンコツも、んなこと言ってたんだがな」
背中に居るミウに、都築も言う。
「あうち!」
ミウは、わなわなとアデルを見た。
(こここ、この野っっっっ郎~~‼)
一応、あるにはある。
だが。
それには大きな代償を背負うことになるのだ。
大なり、小なりと。
ミウは、都築のために知らないことにしたのに。
なのに。
アデルは、それを行おうとしているのだ。
「アデル!」
ミウは、都築の背中から。
アデルの名前を叫んでいた。
--シカシ、コノママデハ。アノ人間ヲ、手中ニ収メルコトハ困難ダナ。
--ソウデスネ。アア、ソウダ。
--? ドウカシタノカ?
男の声に、女の声は。
--一旦、アノ人間達ヲ《クリア》サセテ、出シマショウ。
--一体、何ノ考エヲシテイル? オ前ハ、昔カラ……。
女の声が続けた。
--成長サセタ、ソノ分ダケ《贄》ニモ、ナリマショウ。
男の声が、黙った。
少し、考えて居る。
それを他所に、アデルは都築に。
「欲しい力と、その代償をーー払う気はあるか?」
都築も、押し黙ったが。
すぐに。
「ぐだぐだ、と。いいから、早く、教えろよ」




