第十九話 禁術の条件
「おっかしいな~~地図通り進んでるはずなのにな~~」
ガーナが、持っている手帳を上下にしたりして、首を傾げている。
真剣なガーナを他所に、アデルとミウがにらみ合う。
「そんな禁術、止した方がいいよ? マサル」
都築の背中を叩きながら訴えるミウ。
ミウの行動を、忌々しく見るアデル。
「本人が望んでいるのに、他人のお前が口を挟むことじゃないでしょう?」
「そうだな」
「! よっっっっく! 考えておくれよ?? マサル??」
ぺちぺち、と。
「うっせぇなぁ」
舌打ちする都築に、
「でもよ~~呪い?? とか、んなの受けたらよォ~~元の世界に還れないとか、そういう面倒なことになるかもしんねェよ?」
入江も続けて言う。
「ま。やりたきゃ、やりゃあいいさ」
にこやかに、吐き捨てるように。
「俺が、手前を守ってやるかんな!」
その入江に、
「守ってもらう《お姫様》じゃないんでね」
つっけんどんに都築が、吐き捨てる。
「だから、力が欲しいんだよ」
誰からも、守ってもらわなくていいように。
《入江出口》との、約束を守りために。
「あとは、どうにだってなんだよ」
都築の言葉に、ついにはミウも口を閉じてしまう。
こうまで頑なになった都築に、もう何も言うことは出来ない。
「つぅか。ポンコツ」
「……なんだよ、こんなときにさ」
無表情の顔が、ミウに向い笑顔になる。
「信用してるぜ。お前を」
はう!
はうはう!
ミウが、大きく顔を頷かせた。
何度も、何度も。
「……はぁ」
正面に戻った顔は、無表情に戻る。
額に手を当てて、ミウに言った言葉を、少し後悔していた。
機嫌を損ねて、居なくなられても困るから、とった手段だとしてもだ。
「で? その禁術ってのは、どうするんだ?」
◆
--彼ニ。アア、言エバ恐ラクハ聞キ入レルデショウ。私ハ、コノ子を守ラネバナラナイノデスカラ……イズレ来ル《セッション・ウインクノ夜》ノ為ニ!
◆
「おれを抱くの。そして、お互いの魂を分け合って、力の共有をするのよ」
都築はアデルの言う言葉に。
「抱く? そんなことでいいのか??」
あっけらかんと聞く。
「っそ、そんなことって……ま、ぇ、ええ、そうね」
アデルは唇をへの字にさせた。
「ふぅん、抱くね?」
「そう。お前がおれを抱くの」
都築に背中のミウは、顔を真っ赤に、蒸気させる。
(絶対! マサルってば、意味が分かってない~~っっ!)
首元で顔を擦るミウに、
「おい! くすぐってぇよ、ポンコツ!」
都築が頭を軽く叩いた。
「おっかしいなァ~~?? この突き当たりに~~扉があっ……た」
ガーナは、三人の痴話喧嘩を気にせずに、攻略を真剣に考えていた。
彼女について行く三人の目にも、丸く巨大な黄金の扉が目に映った。
キラキラ、と輝くそれに。
都築は。
「眩しいったらねぇな。ったく!」
とくに感動もなく。
忌々しいと言った口調で、吐き捨てた。
「ぇ、えー~~?? ええ~~?? ツヅキさん~~??」
都築に、さすがのガーナも突っ込んだ。
「おい、ガーナ。眩しいから、早くなんとかしろ」
「……ぅ、ううう」
泣くゝと、ガーナは手帳を見ながら、解除していく。
「で。ツヅキ、どこでおれを抱くつもりなの?」
「ん?」
「おれも、したことがないから。痛いのは嫌だ」
「ん?」
徐々に、都築の眉がひそめられていく。
そんな都築に、ミウが耳元で囁いた。
(--女の子を、女性にしたことはあるのかい?)
一気に、都築の顔面が紅潮し、蒼白になった。
「あ! 手前! 童てーー……」
ガシ!
ドッゴン!
都築は、どうでもいいことを言う入江の顔を掴み、勢いよく地面に、めり込ませた。
「うっせぇよ! 入江~~‼」
少し、上擦った声で、都築は入江に吐き捨てるのだった。




