第十七話 初戦、白星スタート
「『力いっぱい、拳を叩きつけろ!』」
入江の言葉に、都築も言い返した。
にこやかに。
「ああ! 分かってらぁ!」
力いっぱい、地面を蹴りーー《百足鎧》へと駆けた。
「っひゃ! ぅ、っひゃー~~だよ~~!」
「耳障りな声を! 言ってんな! このポンコツが!」
ダダダダ!
ひゅん!
都築は飛び上がり、拳を引き。
「っだ!」
腰を入れ、振り下げた。
「りゃあああああッッ‼‼」
その拳は《百足鎧》に押し当てられ、勢いよくめり込み。
ゴキキキ!
硬いであろう殻を割っていく。
その行動を行っている都築の表情をミウは盗み見た。
無表情ながらに、整った表情。
(わ♡)
視線に気づいたのか。
都築は、ミウを横目で見た。
(! おおお、起られるぅ~~)
目を瞑り、殴られる、なじられる覚悟を据える。
だが。
思いもしなかったことが起きた。
「ふは!」
ミウに向って、あの都築が笑ったのだ。
どうして、そのとき彼が笑ったのか。
ミウには分からない。
でも。
その笑顔は、ミウに向けられたものだ。
だから。
ミウも微笑み返した。
「しっかりと、掴まってろよ! ポンコツぅ~~‼」
そう言うと、都築は足で化け物の殻を蹴り、身体を宙に上げ。
足を蹴りの体制のまま、突っ込んで行った。
「っだ! りゃあああああァぁアア~~ッッ‼」
ゲシ!
『ッギャアアアアアアア‼』
ミシミシ。
ボッ、ゴォオオオーー……ッッ‼‼
巨大な《百足鎧》の身体が地面にめり込み。
都築の足もとが、押し込まれた個所から。
っぶ!
シュウウウウウッッ‼
勢いよく血が噴き出した。
都築は宙返りをし、地面に足をつけるも、がくん! と膝が折れてしまい尻もちをついてしまう。
「っだ! ァ、だだだ! くっそ!」
「『締まんねェなァ。手前は』」
「初めての戦闘なんだぜ? くそったれが!」
むくれる都築に、入江が頬を掴み。
「『上出来さ♪』」
面と面を向かわせ、都築を褒めた。
褒められたことに、都築の表情が崩れる。
「ふ、ふん!」
嬉しい表情の都築に。
「『ま。この調子でさ、やりやがれよ』」
入江がはにかんだ。
その言葉に。
「! まさか、あんた、また居なく、なっちまえ気じゃないだろうな!」
憮然とした顔で都築が、入江に言う。
「『そのまさかさ。しょうがねェだろォ? 俺あ、ここに居ちゃダメな人間なんだから♪ あ、そうそう。マサル、どんな手段使ってもいいから、魔術とか、色んなこと学んどけよ?? 命いくらあっても足りねェからよ!』」
入江を見上げる都築は、悲しそうな顔を向けた。
「『ま。また、来るさ。手前ンとこによ』」
行って欲しくはない。
でも。
無理強いは出来ない。
都築は、やきもきする。
でも、ただ一つ言えることは。
「絶対、来いよ! 出口サン!」
入江は口を大きく開け、親指を立てた。
そして、その身体が揺れ、地面へと倒れた。
「出口、サンーー……ありがとう」
でも、ただ一つ言えることは。
彼は嘘をつかない、と言うことだけだ。




