第十四話 遺跡の分岐点
「ガーナ、この《遺跡》は、どんな《迷宮》なの?」
アデルが小走りにガーナの横につき、状況を確認した。
金銀財宝も、目的だが。
アデルの目的は、また、別にあったからだ。
「んふふぅ~~♥ アデルちゃんが、好きな《迷宮》探索に命かけているのよ~~あたしは♥」
目元でピースをするガーナ。
「じゃあ。ツヅキの願いは叶うね」
「……--そぉだね」
ぐし。
都築は目元を指先で拭っていた。
(恥ずぃ)
耳まで真っ赤の表情をしていた。
「何? 手前、俺のこと好きなのかァ?? キモめェ~~なァ~~!」
吐き捨てるように入江が言えば、都築も。
「っそ、そんなんじゃねぇよ! 自惚れんな! 禿が‼」
歯をむき出しに言い返した。
「「ぁ゛あ゛あ゛っっ?!」」
いい歳した、男同士が睨み合う。
その様子を、ミウは背中から見ていた。
しっかりと、定位置のように都築の背中にミウは居た。
「みっともないとかさー~~思わないの~~君たちは~~」
ため息交じりに言う彼女に、
「女が、口挟むんじゃねぇよ! はったおすぞ!」
都築が強い口調で言うのを、入江も言葉を続けた。
「おい! 女の子に、その言い方はヒデェんじゃねェのかァ?!」
「あんたが言うとややこしくなるから! 黙ってろよ!」
「手前! やっぱり、一回ぶっ倒して、教育し直してやんなきゃダメかァ??」
とうとう、走っていた足も止まってしまう。
「ねじ伏せてやるよ! おっさん!」
「誰がおっさんだ! 誰が‼ 俺ァ、手前よか若けェんだかんなァ!?」
「うっせぇなぁ~~!」
「っふ、っふ~~ん♪ ざまァ」
「禿のくせして!」
「だから! 禿じゃ、ねェ~~しィ!」
顔を間近にして、いがみ合う男たち。
「少しも静かに出来ないの? 獣ね」
呆れたという声のアデルに、ガーナも微笑むように、
「男ってのは獣なんだよ。アデルちゃん♥」
ここは《ホロスカ遺跡》
都築マサルと、入江出口が初めて経験することになる《迷宮》
「しかし、困ったなァ」
ガーナが分かれた道に、顔を左右に振る。
映画や、小説なら分かれて行くだろうが。
世の中、あんなに上手くいくはずがない。
必ず、目的の場所で出会えるなんて、夢のまた夢でしかない。
「どっちに行けば、お宝ちゃんが在るのかな? かなかな??」
左右に顔を振るガーナに、都築も。
「間違っても、二手に分かれて探そう!とかは止せよ?」
苦言を申すも、
「‼」
唇を突き出すガーナの表情が、目の前にあった。
(まじか、よ)
都築は口許を、手で覆った。
言ってはいけないNGワードを、自ら《案》として言ってしまったわけだ。
「それどァあああ‼」
アデルも目を細め、都築を睨みつけた。
「--……馬鹿ね」
「っち!」
ばつが悪そうに都築も、顔を俯けさせた。
そんな彼を他所に、
「いや。そいつは危ねェよ。お嬢さんよォ」
入江がガーナを制止した。
「っ、なんでだよ! 二手に分かれないと、分かんないじゃないでしょう!」
ガーナも、入江に言い返す。
入江は壁面に手を置き、見たことのない文字に指先を触れた瞬間、指先が光った。静電気が見えた。
「『それでも分かれるべきじゃねェんだよ。お嬢さん、俺は。俺にも、そんな過去があんだよ。あれは辛かったなァ……』」
過去に浸る様子の入江。
その様子の異変に、都築が気づいた。
生唾を飲み込み、彼の名前を呼んだ。
「っで、出口サン?!」
都築の問いかけに、入江がはにかんだ。




