第十五話 入江と都築
「お前てそうだよ! いっつも、そうだ!」
入江が戻って来てから、ずっと都築は恨みつらみを言っていた。
無表情の面が割れ、表情豊かになっている都築を、他の仲間が見ている。
ガーナにアデル、ミウは顔を朱に染め。
そのやり取りを遠目に見ていた。
「勝手に決めてやって、周りを振り回して!」
「『手前、子供じゃないんだから、癇癪起こすんじゃねェよ。マサル』」
「おおお、お前が悪いんじゃないかよ!」
全員が全力で走っている。
理由は、背後に迫るものが居るからだ。
「いつだって、そうだよ! 本当にそうなんだよ!」
都築の言葉に、入江は唇を突き出させ。
「『言ってる意味がワカリマセーン』」
都築に言い返す。
「っこ、の゛!」
そんな二人の間に、ガーナが割り込んだ。
「ちょいと、ちょいと? 旦那」
「『ん? なんだよ』」
「なんだよ、じゃないだろう?? この状況を、どうにかすることは出来ないの?! あんたが原因みたいっぽいじゃないか!」
ガーナが、入江に詰め寄る。
それに押される恰好になる入江。
少し目を泳がせる。
「何か、案あるの?」
アデルが入江に聞く。
それに都築が言う。
「あったら言うだろう? 言わないってことはないってこーーおい、ポンコツぅ??」
ぎく!
ギクギク。
「っな、何かな?? マサル?!」
「--……ゲージは回復したか??」
仏頂面で都築は、ミウに確認する。
ミウは落胆の顔をするも、都築には伝わらない。
「うん! 少しだけね!」
「……少しじゃだめなんだよ! 少しじゃ!」
都築は額を手で押さえた。
「『おい。マサル』」
「? なんだよ! 元はと言えば、お前が壁に手を置いたから、こんなのを解放して、追われてんだかんな?!」
都築は背後を見た。
そこには。
巨大なダンゴムシが、転がっていた。
触覚に、足が見えるため。
それが岩なんかじゃないと、目に見えて分かる。
それは、入江が触った壁をぶち破り、出現したのだ。
「あれは《百足鎧》と言って、身体の殻と、肉が高値で売れるんだぜぇ~~♡」
嬉々として語るガーナに、
「うっせぇ! 黙ってろ!」
都築が、強い口調で諫めた。
むぅ、っとガーナは口を閉じた。
「『手前も、少し黙ったらどうだ。マサル』」
「だから、元はと言えばだな!」
「『手前にも協力してもらいてェんだよ』」
真剣な入江の面持ちに。
都築も、押し黙った。
「『俺だって、いつまでこのままで居られるか分かんねェし! やっつけるにゃあ、今しかねェんだよォ!』」
入江の気迫に。
都築の顔からも表情が消えた。
元の顔に戻る。
「ああ。それも、そうだな。お前役立たずになるしな!」
「『おい、一言余計だぞ。手前は! ったくよォ!』」
二人は顔を見合わせ。
口を大きく開きーー笑った。
「さ。殺っちまおうぜ」
「『血気盛んだな、手前は。顔に似合わず』」
「お前も、一言多いじゃねぇかよ! この禿!」
「『禿じゃねェし!』」
二人は立ち止まり、迫る《百足鎧》の前に立ち止まった。




