第4話 木こりの女神?いや、ゾンビです
(私は今!)
(すごい発見をしちゃいました!)
翔平は物陰から、一体のゾンビを観察していた。
(なんと……)
(走るゾンビを見つけました!!!!!!)
ダダダダダダダダ!!
一体のゾンビが、とんでもない勢いで道路を駆け抜けていく。
(ゾンビにも色々いるんですね!)
(ノロノロゾンビとか! 異形型とか!)
(そして、こいつは!)
(俊敏型ゾンビ!!)
ダダダダダダ!!
(いやー、まさかこの世界にも走るゾンビがいるとは!!)
翔平が感心していると、俊敏型ゾンビが突然進路を変えた。
その先には――人間がいる。
(おっ!)
(あいつ、人間を見つけて向かっていったぞ!)
翔平のテンションが一気に上がった。
(俊敏型ゾンビVSこの世界の強い人間!!)
(どっちが勝つ!?)
(これは大作の予感!!)
翔平は安全な場所から、その戦いを見守った。
俊敏型ゾンビが猛スピードで人間へ迫る。
ダダダダダダ――
ブチンッ!!
首が飛んだ。
「…………」
地面に転がるゾンビの頭。
見ると、道には細いピアノ線が張られていた。
(…………)
(えぇ……)
(対策されてるのかよ!!)
(せっかく大作の予感がしたのにぃぃぃぃ!!)
だが――
翔平は諦めなかった。
(でも!!)
(俺は見つけたんだ!!)
(走れないゾンビを、走れるようにする方法を!!)
翔平が取り出したのは――
棒。
そして、その先端に吊るされた肉。
翔平はその棒をゾンビの背中に固定した。
ゾンビの目の前に、肉がぶら下がる。
(完璧だ……)
(行けぇぇぇ!!)
(走るゾンビ軍団!!)
「ゔゔ……」
ゾンビは肉を追いかけ――
ノロ……
ノロ……
ノロ……
歩いていった。
(…………)
(まぁ……)
(分かってたけどね)
翔平は静かに棒を捨てた。
(じゃあ俺は?)
(もしかして、頑張れば走れるんじゃない?)
翔平は足に力を込める。
(よいさ!)
ドタッ。
(ほいさ!)
ドタッ。
(頑張れ、俺の足!!)
ドタドタドタ――
ポロッ。
何かが落ちた。
(…………ん?)
翔平は足元を見る。
そこには――
丸い球が二つ。
(…………)
(取れたぁぁぁぁぁぁ!!!!)
(え!?)
(取れた!?)
(これ……あれだよな!?)
(えぇ!?)
すると。
「ゔゔゔ……」
近くにいたゾンビたちが、その二つの球へ群がった。
(あ)
むしゃむしゃ。
(ああああああああ!!)
(食われたぁぁぁぁぁぁ!!!!)
翔平は頭を抱えた。
(こんなのって!!)
(こんなのってないよ!!)
(たまったもんじゃない!!)
(腐ってて、溜まるもんも溜まらんけどな!!)
(…………)
翔平は自分で言って、ちょっと笑った。
そして思い出した。
(……まぁ、そもそもこの身体、元は他人の身体だし)
(気にしないことにしよう)
その時、一体のゾンビが翔平の横を通り過ぎた。
翔平はそのゾンビを見る。
(…………)
そして、なぜかオネエ口調になった。
(あらやだぁ♡)
(おにぃさん、かっこいいわぁ♡)
(その腐ってデロンデロンの大胸筋、最高だわぁん♡)
「ゔゔ……」
(…………)
「ゔゔ……」
(…………)
翔平は少し虚しくなった。
(何やってんだろ、俺)
そして――
そのゾンビから球を奪った。
補充完了。
(ふぅ!)
翔平は満足そうに頷いた。
そして、どこかで聞いたことのある昔話を思い出す。
(あなたが落としたのは――)
翔平は右手を見る。
(銀の玉ですか?)
左手を見る。
(それとも――)
(……金の玉ですか?)
「ゔゔ……」
(…………)
返事がない。ただの屍――
(いやゾンビだわ!! 動いてるわ!!)
今日も翔平のゾンビライフ?は続く。




