↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
3/7

第3話 私がやりました!ゾンビです

 (どうも! 翔平です! 今、私はゾンビを引き連れて行進中!)


 翔平の後ろを、何体ものゾンビがぞろぞろとついてくる。


(はい! 君はここに入って〜、君はここね〜)


 翔平はゾンビを一体、また一体とロッカーに詰め込んでいく。


(やっぱゾンビといえば、開けたロッカーからいきなり襲ってくる! だよなぁ!!)


 翔平は満足そうに次のロッカーを開けた。


 空。


 その隣も。


 空。


(この施設のロッカー全部見たけど、一体も入ってないんだもん! ゾンビとしてどうなんだ!! ここは俺がしっかり仕込みをしていかないとな!!)


 せっせとゾンビを詰めていく。


 そしてロッカーが終われば、次はトイレ。


(ほら、入った入った!)


 個室へゾンビを押し込んでいく。


 着々と進む、翔平によるゾンビ施設化計画。


 その時だった。


 パリパリ――。


 入口の方から、何かを踏みつけるような音が聞こえた。


(!?)


 翔平の動きが止まる。


(人間! 入ってきた!?)


 そして、すぐにテンションが上がった。


(まさか、仕込んだそばから引っかかるところが見られるなんて!)


 翔平は少し離れた場所まで移動し、物陰から様子をうかがう。


「おい! こっち来い! 何か音がする」


 一人の男が、仲間を呼んだ。


「なんだ? ロッカー? これ、いつものあれだよな?」


「あぁ。間違いなく中にゾンビいるな」


(……え?)


「全く、ロッカーにゾンビ入れる奴ってどこにでもいるよな。流行ってんのか?」


(…………え?)


 男はロッカーから少し距離を取り、武器を構えた。


 扉を開ける。


「ヴァァァァ!!」


 飛び出すゾンビ。


 そして――。


 あっさり片付けられた。


(…………)


 次のロッカー。


 撃破。


 その次。


 撃破。


(おい)


「こんなことする奴、一回見てみたいよ」


 翔平は悔しかった。


 せっかく。


 せっかく引っかかるところが見られると思ったのに。


(それをやったのは俺だぁ!!!!!!)


「ぐうゔぁぁゔぅあ!!」


 魂の叫び。


 人間たちは――。


 無反応。


 まだ距離があった。


(…………)


 そして翔平は我に返る。


 そうだった。


 この世界の人間。


 めちゃくちゃ強い。


(あー、これやばい!! 普通に勝てない! 子分を回収しに行かねば!)


 翔平は勢いよく振り返り、トイレへ急ぐ。


(トイレトイレトイレ! 早く! 早くしないと……漏れちゃう!)


 全力でトイレへ向かう。


(まぁ漏れるもの無いけどね!? ケツから腸は出てるけどね!?)


 トイレに飛び込み、個室の扉を開ける。


 すると――。


 ドサッ。


 ドサドサドサドサッ!!


 これでもかというほどぎゅうぎゅうに詰め込まれていたゾンビたちが、雪崩のように飛び出してきた。


(安! 心! 感!)


 大量のゾンビ。


 さすがの人間たちも、その数を見て後ずさる。


「おい、まずい!」


「行くぞ!」


 そして逃げていった。


(…………)


 翔平は思う。


 この世界の人間に、ゾンビもののベタが通じない。


 許せない。


(こうなったら! ベタな死に方する人間を一目見なければ……気が済まない!)


 そう決意した翔平は、沼を探した。


     ◇


(落ちろ落ちろ落ちろ!)


 翔平は次々とゾンビを沼へ落としていく。


(あれだ! 沼に落ちた途端ゾンビが襲ってくるやつ! あれをやる!)


 一体。


 二体。


 三体。


 まだまだ。


 どんどん入れる。


 しばらくして翔平は、完成した沼を眺めた。


 水面から腐った腕が突き出ている。


 その隣からも腕。


 さらに足。


 頭。


 手。


 手。


 足。


 手。


 そこら中で蠢いている。


 誰がどう見ても分かる。


 大量のゾンビがいる。


(…………)


 翔平はしばらく黙って眺めた。


(……入れすぎた)


 これでは引っかかるも何もない。


 近づく前から分かる。


 どう見ても危険な沼だ。


(…………)


 だが翔平は考えた。


 そして閃いた。


(……タイトル!)


 もう一度、沼を見る。


(『地獄の釜で茹でられるゾンビ』!)


 完璧だ。


(うん! いいアートが完成した! いやー! 仕事した!)


 これは売れるな。


 そう自分を納得させ、翔平は次の場所へと徘徊していく。


 その背後から。


 かすかに、人間の声が聞こえた。


「うわ、あれ見ろよ」


「なんだ?」


「あれ全部ゾンビか? なんであんなことになるんだよ」


 翔平は振り返らない。


 ただ心の中で、高らかに叫んだ。


(私がやりました!!!!)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。