第2話 はぐれました!ゾンビです
(俺はどこにでもいる普通のゾンビ!)
(初めましての方も、そうでない方も、どうぞご贔屓に!)
(さて、今目の前で燃えているこの豪邸!)
(派手でしょう!?)
(炎!)
(そして、それに群がるゾンビ!!)
(そこのお兄さん!お安くしときますよ!!)
翔平は、ドンドンと炎の中へ入っていくゾンビたちを、呑気に眺めていた。
すると――
一体のゾンビに気がついた。
そのゾンビは炎をじっと見つめたまま、微動だにしない。
(なんだ、あいつ?)
(……ちょっとちょっかい出してみるか)
翔平はそのゾンビに近づき、手を振った。
(おーい)
もちろん声には出ていない。
出ているのは、
「ゔゔ……」
という、謎のキモいうめき声だけだ。
すると、そのゾンビがこちらを振り向いた。
そして――
驚いたように見えた。
(え!?)
(今なんか反応したよな!?)
(驚いたよな!?)
(腐ってて表情分かりにくいけど!!)
翔平はそのゾンビに必死に話しかけた。
もちろん、声では会話できない。
そこで翔平は、震える手で地面に文字を書いた。
『あなたも転生者?』
ゾンビは文字を見つめる。
そして、地面に文字を書いた。
『そうだ』
(マジかよ!!)
そのゾンビの名前は――
鈴木銀次。
67歳。
趣味――
まさかのゾンビゲーム。
しかも、ゲームセンターによく置いてあるタイプのゾンビゲームである。
(いや、日中ずっとゲーセンにいるジジババいるけどね!?)
(大抵メダルゲームじゃないの!?)
(なんでゾンビゲーム!?)
とりあえず、二人は意気投合した。
まさかの転生仲間。
しかも、意思疎通までできる。
(いやぁ……)
(意思の疎通ができるって、いいもんですなぁ!)
(ね!銀次さん!)
翔平は銀次に向かって手を振った。
(……)
銀次は反応しない。
(おーい!)
ブンブンブンブン!!
手がもげそうなくらい振る。
(…………)
銀次は動かない。
(…………)
(ていうか)
(あれ?)
翔平は銀次の顔を見る。
(あれ……)
(銀次さんじゃなくね?)
周囲を見渡す。
どいつもこいつも――
腐っている。
顔も似ている。
服も似ている。
そして、全員ゾンビ。
(…………)
(分かるわけねぇだろ!!)
どうやら翔平は――
銀次を見失った。
(はい!)
(最初の仲間!)
(はぐれました!!)
(どこ行ったんだよ銀次さーん!!)
こうして翔平は、人生で初めてできたゾンビ仲間を――
一瞬で見失った。
また再会できる日を祈っ




