そしてその案内人は告げる。
「実は私、フランス生まれのハーフなんです。フランス語は話せないけど。」
案内人の彼女はそう言った。
四人は顔を見合わせる。『いやいやいや。どう見ても地球人離れしてるから、ありえへけど。』
そう、その部屋のガレージには明らかに小型の飛行物体が駐車してあった。誰も触れてはいけないと思い口には出さなかったが、もしかして、もしかしなくてもそれはそこに置いてあったから。疑惑は確信に変わっていた。
『気づいてないふりしないと折角の平穏な暮らしが台無しになる。』
家のそばに住み着いている猫たちが日除け代わりにやってきて飛行物体はまるでペットを飼っているかの様だった。
「どう?梅子さん。みんなと仲良くなれそうだし、ここの管理人やってみない?」
他の三人は、その提案に激しく同意し、首をたてに振った。
「まぁ、みんながそう言ってくれるなら、うちは別にいいですけど。」
案内人は鞄から契約書を取り出し記入の説明をはじめる。視線を三人に移すと、皆、安堵の表情を浮かべる。助かったといった様子だ。
私は書類にサインすると手続きを終えた。
「ところで、表のガレージに止めてあるあれですが…。」
私は勇気を出して尋ねる。どのみち毎日目にするのだ。これを機会にはっきりさせておこう。
「新車よ珍しいでしょ。」
…そんなこと察しが付くけど、そうじゃなくて。
「そうですよね。ぴかぴかして綺麗にしてるから、タイムマシンか何かですか?」
「そんな訳ないじゃない。スポーツタイプのただの愛車よ。」
「大切にされてるんですね。」
危険性がないか確認しようと思ったのだが、いきなり尋ねるのも感じ悪いと思いやめることにした。近所の猫たちが懐くのだから、大丈夫だろう。きっと。
三人は出されたお茶をいただき、外のソメイヨシノに目をやった。
夕焼けに染まる住宅地。
「では今日はこれでお開きにして、梅子さん明日からお願いしますね。」
私はこの部屋の鍵を受け取り、住人二人に挨拶すると、みどりと一緒に帰路につく。
近くのコンビニでアイスを買って姉妹で歩いた。
「梅ちゃんは、急にいろいろ決まっちゃうね。」
「そだね。就職難なのに、こんなにあっさり近所のアルバイト先が決まるなんてね。弟に何て説明しよっか。」




