気がつくとそこは。
まぶたを開けるとそこは晴天。透き通る様な蒼と綺麗な雲が広がっていた。
心なしか素足が冷たく感じる。
「ねぇ、あなた大丈夫?」
浴衣の様な少し懐かしい服装の少女が私の顔を覗き込む。
「ここはどこ?」
「気がついた様ね。」
金色の瞳と綺麗な髪、あどけない表情とは裏腹に落ち着いた口調で少女は語り始める。
「ここに迷い込む人も久しぶりね。まぁいいわ。ここはあなたにとっては、夢の中みたいなところ。天国ではないから安心していいわよ。」
何もない広々とした空間で私はぺたんと座り込む。
「気分はどう?気持ち悪いとか、どこか痛いとか。」
「大丈夫みたいです。あたし、何かあったのかしら。」
「多分、突然気を失ったとか、その程度の事だと思うの…。」
少女は容器に入った水を手渡すと安心した表情でそう言った。
「初めての訪問者って訳じゃないから、説明するわね。大人が起きるまでの一時預かり所みたいな場所という認識でいいと思うのよ。まぁ、ゆっくりして行きなさいな。一度ここに来るとイメージが強くて、事あるごとに何度もここに辿り着くと思うわ。」
私は容器に入った水を飲み干し、辺りの様子をもう一度見渡した。
「目が覚めるまで、結構時間が掛かったから、疲れが溜まっていた様ね。何か心に負担のかかる事でもあったの?」
優しい声で彼女は私に問いかける。
「いえ。まぁ、あたしたち家族で引っ越ししたんだけど、行き違いというかいろいろあって。」
初対面の方に色々話しても仕方ないと思い、私は言葉を濁す。
そっと何もない空間に映像が映し出され、まるで私たちが住んでいる島を見下ろすかの様に広く眺めることができた。
「ここが、あなたの住んでいる場所。緑が多くて素敵ね。」
「思ったより結構大きいですね。」
「あなたは、島と呼んでいるけど、ちょっとした小国くらいはあるわよ。幾つかの島々が繋がっているから。」
私はふと気付く。私の知っている地図とは違い、世界地図を小さくした感じだった。こんな島あったっけ。
その少女は、クスリと笑うとこう言った。
「そろそろ、帰った方がよさそうね。あなたの家族が心配してると大変だから。」
私のこと何も話してないけど詳しく知ってるみたい。でも不思議と不快感はなかった。
「どうやって帰るんですか?」
「瞼を閉じて数を数えて眠る感じ。気がつくと家に戻れるから。私たちまた会えるからここで会ったことは忘れていいわよ。」
私は、少女に言われたとおり、横になって瞼を閉じる。
「今日は。あなたに会えてとてもよかった。」
その声が小さくなったかと思うと、やがて深い眠りについていった。




