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そんなタイプの芸術家。

翌朝、また早めに家を出る。またゴッホさんに会えるだろうか?私は朝靄(あさもや)の中で小川のせせらぎを聴きながらいつもの道で職場へ向かう。


「ゴッホさんはねえなあ。そんなご立派なもんじゃねえや。」

「その先輩がですね。楽器演奏だけでなく、昔やってた絵画をもう一度やってみたいんですって。どんな風に始めたらいいと思います?」

「そういう時ゃあ、ちょっとしたきっかけがありゃ出来ちまうから。」

「ちょっとしたきっかけ。」少し考える私。

「あれだな。その先輩はバスカーって人種だな。」

「なんです?それ。」初めて聞く単語。

「大道芸人というか、路上の芸術家というかそんな意味だ。楽器演奏も屋内の観客の前でしかやりたがらない。そんな連中のことだよ。ここで絵を描いてりゃ満足ってワシと大して変わんねえ。」ゴッホさんは遠くを指さす。

「あの向こうに原っぱがあるだろ。アトリエというには不細工だがワシの工房があんだよ。花屋用の畑があって、ちょっと待ってな。」

スケッチブックから1ページを破り取ると地図を描きこむ。あたしは立ち上がると背伸びをしてその紙を受け取る。

「その子に都合の良い時いつでも気軽に覗きに来いって伝えてくれ。勿論お前さんも歓迎するよ。」

穏やかな風が頬を撫でる。時間があまりないので職場まで走ることにした。

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