過去編②幼馴染は、大切なものを守るために涙を流す
次回、番外編を投稿して完結になります。
次の番外編は、気合を入れて書いているのでぜひ、読んでいただけると嬉しいです。
薫が進級試験を受けた夜、美玖の元には一本の電話が来ていた。
「どうしたんですか。裕子さんが私に電話してくるなんて」
「美玖ちゃん。今ちょっといいかな。」
「良いですけど。」
「その・・・。」
電話口の裕子にはいつもの歯切れの良さはない。
「何か言いづらいことなんですか?」
「言いづらい。そうだね。本当に情けなくて、どうしようもない話。」
裕子はまくしたてるようにそう言った。
「裕子さん。」
「何?」
「もしかして、今泣いてるんですか。」
「・・・。」
裕子は何も答えなかったがそのこと自体が裕子が泣いていることを明らかに示していた。
「何か辛いことがあったんですか?だとしたら私よりも親とかに相談したほうがいい気がしますけど。」
「帰ってきて」
「えっ?」
「お願い。帰ってきてよ。ずっと薫がおかしいの。でも私にはどうしようもなくて。やっぱり薫には美玖ちゃんがいなきゃ駄目なのよ。」
「それ本気で言ってるんですか?」
「おかしいこと言ってるのは分かってるわ。私が追い出しておいて、今度は戻ってこいなんて調子がいい話なのも分かってる。そのことについて私が責められるのは構わないわ。だからお願い。帰ってきてよ。」
美玖は裕子の言葉にため息をついた。
「私は裕子さんのことが嫌いです。だから裕子さんのいうことなんて聞きません。」
「美玖ちゃん。そんなこと言わないでよ。お願い。帰ってきなさいよ。どうせ本当は薫のことが好きなんでしょ。」
「すごいこと言いますね。そんなわけないって前から言ってるじゃないですか。」
「じゃあ薫がどうなっても良いっていうの?」
「兄さんはそんなに弱くないですよ。今がちょっとおかしくてもしばらくすれば乗り越えるはずです。」
「そんなのわかんないじゃない。戻んなかったら責任取れるの?あいつ、進級試験もさぼろうとしたのよ。」
「はあ。分りました。戻りますよ。」
「えっ?」
「正直、女子校は飽きましたし、勉強も厳しくて嫌になってたんですよね。だから兄さんは関係なく、高校は裕子さん達と同じところに行きます。」
「美玖ちゃん。本当にありがとう。」
「そんなに泣かないでくださいよ。大体、裕子さんの発言とは全く関係ないですからね。兄さんとかどうでもいいですし。」
こうして美玖は薫とその父親の住む実家に戻ることとなったのだった。




