俺の幼馴染は子供が苦手らしい
「薫-」
そんな夢を見た日の昼間。日曜日なのもあり、散歩がてら美玖のおやつをスーパーに買いに行った帰り道。
ちょうど、裕子の家の前を通りがかったところで裕子から声をかけられた。
「どうしたんだ?」
「ちょっと庭に入ってきてー。」
俺は慌てて家の中に入ると、着物姿の裕子が3人の少年に囲まれていた。
「何だ。この状況は?」
「いやー。近所の子たちを集めて、お茶教室をやってるんだけどこの子たちが飽きちゃったみたいで。遊んであげてくれない?」
裕子の言葉に少年の一人がこっちを見もせず、裕子の着物を引っ張った。
「やだー。お姉さんと遊びたいの。」
裕子は困った様子で、かがむと少年の目を見る。
「ちょっと。女の子の着物を引っ張っちゃだめじゃない。」
しかし、今度は他の少年が裕子の着物を引っ張る。
「ちょっと何するのよ?」
「うるさい。俺のこと無視するなよー。」
裕子は、ひどく困った様子で助けを求めるようにこちらを見る。
はあ。裕子の奴は分かってないな。少年というのは誠意の通じる相手じゃないんだ。
まあ、裕子は子供が苦手だと前に言っていたし、助けてやることにしよう。
「おい。このチョコ欲しいやついるか?」
俺が袋から取り出したのは戦隊ヒーローのカードの付いたウエハースチョコだ。
少年がもっとも好むものであるこれを示すと子供たちの反応が変わった。
「えっ。欲しい。欲しい。」
「欲しかったらこっち来い。30個あるぞ。」
「えー。うわー。すげー。」
少年たちは、3人とも裕子に対して興味を失ったようで一目散に俺のところへやって来る。
裕子はそれを見てほっとした様子で部屋に入って行った。
俺は庭にある池の前の石に座るとビニール袋からウエハースチョコを取り出す。
「そうだな。なんか勝負しようぜ。それで勝った奴から好きなの開けるんだ。カードは欲しかったらやるよ。」
「お兄さん。まじかよ。」
「うわー。激熱だぜ。」
子供が興奮している。
良かったな。美玖。どうやらお前の趣味は少年と同じらしい。
「ただし、このキャラのカードだけはよこせよ。俺の妹の推しなんだ。」
「推しって何?」
「子供は知らなくていいことだ。ただお前たちの好きな戦隊ものを不純な目で見ている人がいることは忘れるなよ。」
「不純って何?」
「気にするな。それよりも勝負の内容だが鬼ごっこでどうだ?この庭の中で俺を追いかけるんだ。俺を捕まえた数、ウエハースチョコをやるよ。30個を誰が何個もらうかが決まったら開封式をやるぞ。」
「うおー。面白そう。」
「兄ちゃん覚悟しろよな」
なっ。子供って簡単だろ。
おやつやって走らせとけば大人しくなるんだ。




