~衣食住足りない邪な巫女=遊行女婦(うかれめ)は礼節いらず?~
キキョウはモデル事務所と仮契約をして、学校優先で出来る仕事を少しずつやっていくことになり、急に人生の選択肢が少し増えてきた。
ある日曜日、ティーンエイジャー向けカタログショッピングの撮影の仕事で3人のモデルのうちの一人になったキキョウは100着分撮影をすることになった。
3人のモデルはもちろんパンティ1枚の姿で次々に服を着せられたり脱がされたりして撮影していったので上半身裸になることに抵抗感のないキキョウがすぐ事務所と契約できた理由もわかってきた。
事務所から付き添ってきているのは30代後半のミドリさんだ。
‘キキョウ、あと2キロ痩せると雑誌の専属取れるかもよ。歯並びキレイで良かったわね、200万円は浮いたわね‘
‘200万?あ、じゃあ、ダイエットは、やってみます…’
’168cmじゃステージには小さいし女優とかタレントには大きいし、ねぇ‘
‘あんまり伸びたくないです…’
’ダンスとウォーキングと演技のレッスンは毎週受けたほうが良いわよ‘
‘はい、あ母さんと相談してみます…’
若いモデルたちのためのレッスンは種目がたくさんあって皆いくつも受講しているようだが、週一回でひとコマ1万円から2万円の費用は習い事としては破格に高額で高校生のキキョウの場合は親に頼まなければならない。
ちなみにミドリさんは元々モデルなのか、ウォーキングクラスの先生だ。
キキョウはいずれ隆鼻術を受けることになっているがそのための30万円の費用は事務所報酬から相殺ということで、まずそこそこ仕事をこなしてからという選択肢を希望したため親からの支払いは要らない。
事務所が次々に仕事を取ってくれるのでまた、来週の日曜日、カップルでデートをするシーンを撮影するために神奈川県の遊園地に朝7時集合時間だと告げられてこの日の仕事は終わったが、まだ午後7時なのに目が開いていられないほど眠い時がある。
撮影の仕事では自分の周りに髪、化粧、服、カメラ、場所のコーディネート、などの仕事をする者たちがたくさんいてずっと張り付いているので結構緊張して疲れてしまい、
気分転換が必用になり家に帰る前に本屋に立ち寄って今夜の夢のために女の子の写真か絵を探すことにした。
今回気に入ったのは巫女の本で、二人の巫女が神社で神楽を舞っていてその横には男と部屋にいる巫女たちも書かれていたので、一応写メるのは舞っている方の巫女にしておいた。
帰宅するとまだ午後7時過ぎだったのにキキョウはもう眠くて眠くて、ご飯もシャワーもなんとかギリギリ頑張って、という有り様で主夫の父を少し心配させていた。
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その夜キキョウがいつものように夢に落ちて目を開けると、着物と袴の上に透けるような衣を羽織って髪飾りを揺らして、つい今しがた舞った後のような風情のキキョウがもう一人の巫女と茶のようなものを用意された神社の奥の間に歩いてきて、座ろうとしていた。
すぐ隣にいるもう一人の巫女が話しかけてきた。
’キキョウ、私は今夜武家の男が参るが、どうする? 帰るのか?‘
‘えっと…’
’また今宵も山ほど菓子を持参するだろうのでキキョウにも明日お裾分けいたします‘
‘ありがとうございます’
’武家の方々の中には手軽でお安いうかれめ巫女としかできない男が増えているそうですよ‘
‘うかれめ達も神楽を舞われるのですか?’
’うかれめらは貧しい出自で舞いなど知りませんから舞わずに汚れた臭い着物で夜伽するだけですよ‘
‘よとぎ?’
’あちらの者たちのは神との交わりなどではないのです’
’私達もするのですか?‘
‘私達ではなく、神がこの身体を使われるだけなのです’
’巫女には子供はできないのですか?‘
‘巫女には子はできません’
’本当に?‘
‘もうじき来られますので香が炊けているか気になります…私はこれで…’
遊行女婦は世間でも認知されているが偽物巫女で、金儲けに走って性的サービスだけをする邪まなシステムで働かされている巫女の様子を取り入れた貧しい飲まず食わずの家から売られてきた女の子達だ。
神との交流ができる本当の巫女は当然地位が高く価格も高いので誰でもが簡単には会えず、そこに目をつけて巫女のふりをして男性に性サービスをすることで金儲けをする輩がたくさん出現していったということだった。
どちらにしても正式な妻やフィアンセでなく、この時代の売春ではないのかとキキョウが思った時、若い男の子が入ってきた。
’キキョウ、今夜はどなたも来ませんよね? やり方を教えてくれませんか?‘
‘え…?’
’私は殿の元で生きることになりますので、一度だけ女としておきたいのです‘
‘結婚しないの?’
’妻を取るのは兄です…‘
‘そんなこと…’
よく顔はわからなかったが頬を付けてキキョウに抱きついているその男の子から、ふんわりとラベンダーに似た匂いがした。
どうせ裸にされてキスするところくらいしか意識がたもてないのに、まあいいか、この男の子は好きな感じだしな…、
と思いながらキキョウは自分からも若い引き締まった背中をそっと優しさが伝わるように気を遣いながら何度も撫でた。




