労働3
「信じられない…本物だ…!」
イザベラは、目を見開き、ユリウスのことをじっとみつめていた。
きっと、エルフに出会ったのはこれが初めてだったんだろう。
「ステファニー…何が本物なんだ?」
アランが小声で囁いた。
「さ、さぁな…?」
今はまだ本当のことを言うことは出来ない。
俺は、小首を傾げて、知らばっくれた。
「イザベラ、頼む。
アレクシスを返してくれ。」
ユリウスは、強張った表情で、イザベラに懇願した。
「……さっきも言った通り、私はあのフクロウが気に入っている。」
「それはわかっている。だが……」
イザベラは大きく頷いた。
「わかってる。
あんたにとってもあの子はきっと大切なフクロウなんだろう。
だから、譲ってやらないとは言わない。」
「ほ、本当か!」
「あぁ、本当だよ。
だけど、あれを譲るには、条件がある。」
「条件?どんなことだ?
私達に出来ることなら、なんでもしよう。」
イザベラは再び大きく頷いた。
「あたしゃ、今、酒造りで最高に忙しいんだ。
いつも手伝いに来てた弟子が、こんな時に手伝いをすっぽかしやがってね。
どうしようかと途方にくれてたところだよ。
だから、まずひとつめの条件は、これから一週間、酒造りの手伝いをすること。」
「そんなことなら、お安い御用だ!いくらでも手伝おう。」
「一生懸命働いてもらうよ。役に立たなかったら、あの子は渡さないからね。」
「もちろんだ。」
「それと、あんたの精気ももちろんいただくよ。」
「あぁ、構わない。」
「よし、話は決まった!
それじゃあ……」
「ちょっと待ってくれ!」
「何なのさ?」
イザベラの眉間に不機嫌なしわが宿った。
「まずはここにいるフクロウを見せてくれ。
それが、私のアレクシスかどうかを確認したい。」
イザベラは小さく舌打ちをした。
「わかったよ…こっちだ。」
イザベラは、先頭に立って歩き始めた。
家の隣には大きな樽がたくさん並んでいた。
においからしても、ここで酒を作っていることは間違いない。
つまり、ここは酒蔵だ。
そこを通り抜け、さらに少し回り込んだ場所に鳥小屋があった。
「アレクシス!!」
網の中をのぞいたと同時に、ユリウスが大きな声を上げた。
中にいた白いフクロウが、その声に反応するかのように羽を羽ばたかせる。
「ユリウス、間違いないのか?
こいつはアレクシスなのか?」
「あぁ、そうだ!間違いない!」
ユリウスの声は興奮のためか、少し震えていた。




