災難3
「ああっ!」
「どうしたんだ!?」
「コンパスが…!」
俺が下を覗き込んだ時には、コンパスはもうどこに行ったのか、皆目わからなかった。
「な…なんていうことを!!」
ユリウスが鬼のような顔をして、俺に詰め寄る。
「わ、私はただフクロウのことを言っただけで…」
「おまえが余計なことを言うから…」
ユリウスは、唇を震わせた。
まったく…なんでも俺のせいにするのはやめてほしいもんだ。
コンパスを手放したのは自分のくせに…
「コンパスを探して来る!」
「ユリウス、無茶を言うなよ。こんなとこ、降りられるわけないだろ。
焦っても仕方ない。
向こうから回り込んで降りよう。」
アランが穏やかな声でそう言った。
俺達は急ぎ足で山道を下り、さっき、コンパスが落ちたと思われるあたりを探すことにした。
「あったか?」
「いや、ない。」
俺達は手分けしてそこらを探しまくったが、コンパスはどこにもみつからなかった。
コンパスは小さなものだ。
しかも、かなり高い所から落ちている。
もしかしたら、見当違いの所を探してるのかもしれないと、捜索範囲をずいぶん広げて次の日も探したが、やはりコンパスはみつからなかった。
「…ユリウス、諦めた方が良さそうだ。」
「しかし、それなら魔女の家はどうやって探すというのだ?」
「だいたいの方角はわかってるんだ。なんとかなるだろ。」
「おまえは本当にいいかげんだな!」
確かに、僅かなズレも進んで行くうちには大きなズレになるかもしれない。
そうなりゃ、魔女の家はみつからないだろう。
でも、なくしちまったものは仕方がない。
ないものはないんだから、
いつもよりさらに不機嫌になったユリウスは、暗い顔をして、一番後ろをとぼとぼと歩くようになった。
*
「しかし、本当に困ったな。これからどうしよう。」
焚き火の前で、地図を広げ、現在の場所を確認する。
「あれ??俺達、また戻ってきてるんだな。」
地図を覗き込みながら、アランがつぶやく。
「そういうこと。もう少し進んだら、以前、立ち寄った町だ。」
「あぁ、酒好きな魔女のことを教えてもらったあの町だな。」
それを聞いて、俺の頭の中にある思いが浮かんだ。




