フクロウじいさん17
「宝物庫なんて、どこにもないぞ。」
確かに今一通り見た限りではどこにもなかった。
この城の城主は、相当用心深い人物だったんだろう。
簡単にわかる場所にはないってことだ。
「アラン、もう一度見に行くぞ。」
「でも、さっき見たじゃないか。」
これだから素人は困る。
俺は、アランを無視して歩き出した。
アランはそれに慌てて着いて来た。
一通り、歩いたことで、この地下の様子はだいたい頭に入った。
それを頭の中で地図に起こす。
不自然な場所はないか…
頭の中の地図をゆっくりと辿っていく。
「アラン…こっちだ。」
俺はあることに気が付いた。
貯蔵庫のあたりに、違和感を感じたんだ。
俺は、その場所へ急いだ。
「ここならさっき見たじゃないか。
これはきっと貯蔵庫だ。」
「そんなことはわかってる。」
けっこう広い貯蔵庫だ。
地下の広さから考えても、ここはかなり大きな城だったんだろう。
住んでた者も多かったはずだ。
壁一面には大きな棚が置いてあり、ところどころにほこりをかぶった酒瓶や干からびた食べ物らしきものが乗っている。
俺は、貯蔵庫の奥の壁を慎重に調べた。
(あった…!)
壁の一部につなぎ目のようなものをみつけた。
どっかにこの壁を動かすスイッチのようなものがあるはずだ。
「ステファニー、何をしてるんだ?」
「……ちょっと、な…」
スイッチ…スイッチ…
あたりを調べると、壁の一部に不自然なでっぱりをみつけた。
俺は、そのでっぱりを押し込んだ。
「ああっ!!」
鈍い音を立てながら、壁の一部が動き出し、その奥に細い廊下があるのが見えた。
人二人がどうにか並んで歩けるくらいの廊下だ。
「隠し通路じゃないか!」
アランが大きな声を上げる。
「ステファニー、なんでわかったんだ?」
「カンが良いだけさ。」
俺は、前に立ち、細い通路を歩いて行った。
少し先に、何かがあるのが見えた。
人だ…!
かなり前に死んだであろう人間の亡骸だ。
「ステファニー!ひ、人が死んでる!」
アランがそう言って、亡骸に近付こうとした時、シュッという小さな音がした。
「危ないっ!」
俺は、アランを突き飛ばしてその背中に覆いかぶさった。
少し先で、からんという乾いた音がした。
「ど、どうしたんだ?
何があった?」
俺達は転がった松明を拾い、起き上がった。
「見てみな。」
俺は亡骸を指差した。
亡骸のすぐそばには、矢が落ちていた。
「おそらく、これは毒矢だ。
ここを通ると、発射されるようになってるんだ。」
「えっ…それじゃあ…」
アランがかすれた声を出した。
本当に危ないところだった。
あのままだったら、アランは間違いなく毒矢にやられてた。
たとえ、毒が塗られてなかったとしても、あんな至近距離でやられたら、間違いなくお陀仏だ。
この先にはこういう罠がいくらでもあるのかもしれない。
気を引き締めていかなくては…
それからしばらく歩くと、廊下の端に、先ほどのものと思われる矢がぽつねんと落ちていた。




