魔女、再び4
明日の朝、さっそくこのことをユリウスに教えてやろう。
魔女の家の方角と、コンパスの指し示す方向が同じなら間違いないってことだ。
「なぁ、もうそろそろ帰らないか?」
アランが眠そうな顔をしてそう言った。
酒はほんの少ししか飲んでないが、弱いからもう酔ったんだろう。
「まだ来たばかりじゃないか。
なんなら、あんた、先に戻ったらどうだ?」
「何言ってんだ。
あんたが帰らないなら、俺だって帰らない!」
今までにもしつこい女に惚れられたことはあったけど…
女の場合は、まだ可愛いげもある。
だが、男に惚れられても困るばかりだ。
俺はいずれ男に戻るんだから!
男に戻って、エリーズと幸せに暮らすんだからな…!
そんなことを思ったら、エリーズの顔が頭に浮かんだ。
大きな黒い瞳、つんとした高い鼻、ふくよかな赤い唇…
あぁ、俺はまだあの魅力的な唇に触れることさえもなく、こんなことになっちまったんだ。
本当になんてことだ。
酒を飲んだせいか、洗いざらい我が身の不幸をぶちまけたくなった。
だが、そんなこと話したって、誰が信じてくれるっていうんだ。
それに、話したら俺はカエルに変わっちまう…言えるはずがない…
「くそーーー!」
俺は、グラスの酒を一気に飲み干した。
周りの男達から拍手がわきあがり、空になったグラスにはまたなみなみと酒が注ぎこまれた。
「今夜は飲むぞーーー!」
俺は、再び、酒を飲み干した。
そうだ、今夜は思いっきり飲もう!
滅多にないことだ。
しかも、俺達は、生死の淵から生還したばかりなんだ。
今夜くらい羽目をはずしたって良いだろう。
「もう一杯!」
俺は注がれるままに、次々と酒を飲み干した。




