魔女、再び5
*
「いつまで寝てるんだ!」
「う…うぅん…」
俺の頭を何かが貫いた。
俺は痛さに顔を歪める。
「朝っぱらから大きな声を出すなよ。」
「大きなことはない。
いつもと同じだ。
そんなことより、早く起きたらどうなんだ?
出発するぞ!」
朝っぱらからがみがみ言われ、寝起きの気分は最悪だ。
痛む頭を抱えて、俺は仕方なく起き上がった。
「さぁ、行くぞ!」
「ちょっと待ってくれ。」
「なんだ?」
「昨夜、酒場でアレクシスらしきフクロウのことを聞いた。
それが…」
俺は地図を広げた。
「こっちの方角に飛んで行ったと言われているんだが…」
ユリウスは、コンパスを取り出し、蓋を押し開ける。
「確かに、その方角だ。」
コンパスの指し示す方角は、魔女の家の方角と同じだった。
「やっぱりそうか!
実はな、この山には魔女が住んでるらしいんだ。
だから、もしかしたら、その魔女がアレクシスを捕まえたんじゃないかっていう者もいてな…」
「残念だがアレクシスはとても機敏だ。
捕まることはないだろうな。
だが、一応、その魔女にも会ってみよう。
なんらかの手掛かりが得られるかもしれん。」
俺達は、町を抜け、山道を歩き続けた。
魔女が住む山とされているのは、ふたつほど山を越えた所にあるらしい。
魔女ってやつはどうしてこうも、面倒な場所に住むんだろう。
奴らは魔法で一瞬にして移動出来るのかもしれないが、俺達は徒歩だ。
険しい山道を汗だくになって行くしかないんだ。
愚痴のひとつも吐きたくなるってもんだ。
ただ、嬉しいことがひとつだけあった。
進むに連れ、コンパスが光り始めたことだ。
「なぁ、ユリウス…
やっぱり、アレクシスは魔女のところにいるんじゃないか。
だんだん光が強くなってるような気がする。
それはつまり、アレクシスがどこかに留まってるってことじゃないか?」
ユリウスはむっとした顔をして、黙っている。
きっとあいつも俺の言った通りだと思ってるんだろう。
もしも、そうだったら、今度こそアレクシスを捕まえることが出来るかもしれない。
魔女にエルフの精気をやるって言ったら、きっとフクロウの一匹くらいくれるはずだ。
(そしたら、俺は男に戻れる…!)
期待に胸が弾んだ。
あと少し…あと少しで、俺の苦難も終わりになるんだ!




