惑わしの森19
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「こりゃあ、どうしようもないな。」
次の日の朝早く、俺達は早速北の崖を見に行った。
崖っ淵からのぞいた景色は、まさに眩暈がしそうな高さだ。
「このくらいなら、なんとかなる。」
ユリウスは、相変わらず馬鹿なことを言って譲らない。
「俺…高いところは苦手なんだ…」
アランは、木の陰に隠れて、下をのぞこうとはしなかった。
「ユリウス…残念だが…」
「やってみなくてはわからないじゃないだ。
丈夫な長い綱を編み、それを垂らして一人ずつ下りていけば、きっと降りられる。
なんなら、私が最初に行こう。それで無事だったら君達も私に続けば良い。」
ユリウスの決心は強い。
何が何でも、考えを変える気はなさそうだ。
昨日と変わらず、コンパスは北を目指している。
アレクシスの奴…どこか違う方向に飛んでくれりゃあ良いものを…
家に帰るなり、ユリウスはアランに長いロープを編むように指示した。
ユリウスは自分も編むと言い出したが、それは命をあずけるとても大切なものだ。
素人が真似をして、その部分で切れでもしたら大変だ。
だから、俺はユリウスを誘って、材料を集めに行くことにした。
アランに、材料のある場所を聞いてそこに向かい、ユリウスと二人で材料をいっぱい集めた。
*
「このくらいでどうだろう?」
三日目の朝、アランが途方もなく長くて太いロープを編み上げた。
何本もの弦を複雑に絡めて編み上げたものだ。
だが、それでも足りるかどうかはわからない。
それに、そのロープが人の体重を支えられるかどうかもわからない。
俺達は、そのロープを持って、崖に向かった。
「では、私が…」
「待て…私が行く。」
「なぜだ?」
「この中で体重が一番軽いのは私だ。」
「だけど……」
「大丈夫だ。これだけ頑丈に編んであるんだ。
俺…じゃない、私はあんたを信じるよ。」
「ステファニー……」
アランは、俺を放心したようにみつめてた。
「大変なのは最初じゃない。最後だ。
最後の者は一人でロープをたぐりながら降りて行かなきゃならない。
一番、体力がいる。
ユリウス…あんた、それでも大丈夫か?」
「もちろんだ。私は体力には自信がある。」
ユリウスの決意は少しも揺るがない。
「それじゃあ、順番はこれで決まりだな。」
ロープの端を木にしっかりとくくり付け、もう片方の端を俺の身体にくくりつけた。
荷物はなるべく軽い方が良いが、松明と食料と水は持っていかないわけにはいかない。




