表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Snowy owl~幸せを探して~  作者: 神在琉葵
惑わしの森
39/120

惑わしの森10




「おぉ……」


俺達のところに現れたのは、俺よりも多少若く見える、無精ひげを生やした男だった。

体格も良いし、弱ってるような様子はまったく感じられない。

背中には木の実などが入った大きな籠を背負っていた。




「こいつは驚いた。

こんなところで、人に出会えるなんてな。」


「それはこっちの台詞だ。」


「あ…俺は、アランってもんだ。」


「俺……じゃない。

わ、私はステ…ステファニー…

そして、この人はユリウス…よ。」


ユリウスは、黙ったまま、なにも言わずに突っ立っていた。




「ステファニー……」


アランは俺の名を口にしながら、俺の顔をまじまじとみつめる。

どうしたんだ?

何か俺、おかしなところでもあるのか??




「あんた、別嬪だな!」


「えっ!そ、そう…?」


アランは、微笑みながら大きく頷く。




「それで…この人はあんたのいい人なのか?」


アランはユリウスのことをあごで示した。




「ま、まさか!」


「でも、あんたら一緒に旅をしてるんだろ?」




気色の悪い…

なんでこんな偏屈でわからず屋なエルフが俺のいい人なんだ…!




「あのね…この人、女には全然興味がないから…」


俺はアランの耳元にそう囁いた。




「えっっ!そ、そうなのか?」


アランはユリウスを見て、ぎょっとしたような顔をしていた。




「なんだ?何の話だ?」


ユリウスが怪訝な顔で口を開いた。



「な、なんでもないって。

そりゃあ、そうと、アラン…あんた、なんでこんなとこにいるの?

やっぱり、迷ったの?」


俺がそう訊ねると、アランは照れくさそうに笑った。





「まぁな。」


「そうか、実は俺…じゃない、私達もそうなのよ。

ランプの油もなくなって、水もあとほんの少ししかなくて、困ってたところ…なのよ。」


「だろうな、この森には水場がひとつしかないからな。」


「えっ!もしかして、あんた、その水場を知ってるの?」


「あぁ、もちろん…!」




助かった!

どうだ、やっぱり声をかけて正解だっただろう!

ユリウスにそう言ってやりたいところだ。

アランは福の神だったんだから。




「近くに俺のねぐらがある。

そこでゆっくり話そう。」


その言葉に反対する道理はない。

俺達は、アランに着いていくことにした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ