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惑わしの森9
その時、俺はおかしなものを耳にした。
人の声のようなものを聞いたんだ。
ふと、あたりを見回すと、小さな明かりが移動しているのが見えた。
「おーい!誰かいるのか~!」
「ここだ~!」
それは幻聴でも幻覚でもなかった。
確かに、この森には俺達の他に誰かがいるようだ。
「おい、大丈夫なのか?」
「大丈夫って…何が?」
「どんな者かわからんのだぞ。
そんな者に私達の居場所を教えて…」
「教えるも何も、焚き火を見ればここの場所はわかるだろう。
今、俺達はとてもまずい状況なんだ。
誰かに会ったくらいで、これ以上悪くなんかなるもんか。
それどころか、助けてもらえるかもしれないぜ。」
「しかし……」
「ここだ~!」
俺はユリウスを無視して、再び声を張り上げた。
今の俺の声は高いから、けっこう遠くまで聞こえるんじゃないかと思う。
相手は、間違いなく俺達の方に近付いて来る。
ユリウスも、それ以上何かを言うことはなかった。




