惑わしの森5
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「はぁ…疲れた。」
喉に流し込んだ水筒の水が、身体に染み入るようだ。
森の中をしばらく進み、少し拓けた場所がみつかって、俺達はやっと休憩することが出来た。
「ここは確かに良くない森だ。」
岩に腰掛けたユリウスが、険しい顔でそう呟いた。
「どういうことだ?
やっぱりここには魔女の呪いがかけられてるのか?」
「それは私にはよくわからんが、これほど入り組んだ暗い森では迷うのも頷ける。
それに、危険なものが多い。
さっきの毒蜘蛛もそうだし、口にすると危険な薬草や木の実がいくつもあった。
しかも、今のところ、泉や小川をまったく見掛けない。
森の中で道に迷い、毒蜘蛛に刺されたり、腹が減って毒のある木の実を口にしたり、喉が渇いて水を探しながら死んだ者もいるのかもしれないな。」
ユリウスの言うことは確かにどれも納得できることばかりだった。
きっと、その通りなんだろう。
この森に、魔女の呪いがかけられてるかどうかはわからないが、かかっていないとしても相当危険な森だってことだ。
こいつは、気を引き締めていかなくては…
「それで、アレクシスはどっちに行ったんだ?」
「向こうだ。」
ユリウスはそう言って、一定の方向を指し示した。
「なんとかここで捕まえたいところだな。」
「……そうだな。」
やけに素直な答えだった。
奴にどんな心境の変化があったのかはわからないが、いつもこんな風だと助かるのに…
「さぁ、ではもう少し進むか。
今夜、野宿する場所を探すとしよう。」
「あぁ、そうだな。」
俺達は、また歩き始めた。
アレクシスのいる方角はわかっている。
少しでも追い付けるように、進めるだけ進んでおきたい。
「くそ…歩き辛いな。」
予想していた通り、進んで行く度に木々は生い茂り、さらに森は暗くなり、ランプを灯さないと進んで行けないような有様だった。
もしかしたら、もう陽が沈んだのかもしれない。
空の様子がわからないから、そんなことさえもよくわからない。




