昼休みの終わりに
昼休みが終わる少し前、マリナは教室に戻って来た。
食堂では、ラウルのピアノ演奏を聴いて、アレクセイと会って、しまいには王子様二人と一緒に食事をしてと、かなり濃い時間を過ごした。
そうそう、あの後アレクセイが戻って来て大変だった。
テーブルマナーに自信がないから、サンドイッチにしたのに『もっと栄養のあるものを食べなさい』と、肉料理を追加されてしまった。
(ホント、過保護なんだから)
それでも嫌な気はしない。アレクセイと会って、元気が出て来た。
(……よし)
マリナは教室の扉を開けた。
「来たわよ」
「ちょっとあなた、こっちに来なさい」
教室に入ったマリナは、いきなり数人の女生徒に囲まれてしまった。そのまま窓際の席まで連行される。
マリナは窓際に追いやられ、逃げ道を塞がれていた。
(これってまさかイジメ?)
腰に手を当てて睨んでくる女生徒たちに、内心焦りを覚える。
でも、初日から虐められる理由なんて……いや、ある。教室ではエイルラントの隣に座った。食堂では王子様二人と一緒に食事をした。思い当たる節は確かにある。
マリナは心の中で天を仰いだ。
女生徒たちは、互いに顔を見合わせて頷きあうと、マリナに迫ってきた。
マリナが思わず身がまえる。
「あなた、マールデル先輩の妹って本当?」
「……え?」
「何で言ってくれなかったの」
「入学式の先輩、カッコよかったぁ」
「声も良かったよね」
女生徒たちが夢見るような顔でウンウンと首を振る。
予想と違う問いかけに、マリナは目を白黒させている。
「ねぇ、先輩、好きな人いる?」
「どんな子が好み?」
「好きな食べ物とか教えて」
(うそ、お兄ちゃん、こんなに人気あったの?)
「ねぇ、はやく」
「さっさと教えなさいよ」
(……誰か、助けて……)
女子たちの口撃は、始業のベルが鳴るまで続いた。




