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リインカネーション  作者: 岐塔
学院生編
38/64

36. スキルとギフト



(?)


キョロキョロと辺りを見回すリオンに、アルフは首をかしげる。


『爺様?』


どうしたのだろう、と思いつつ、リオンの目の前に文字を浮かべる。


「え、あ、ああ。……ちびすけ、お前喋ってないよなぁ?」

『当然』


何をいまさら、と思いながらもアルフは答える。

しかし、ふと思う。


そう訊ねるということは、リオンにはなにかが聞こえたということだ。

ミルドとセセリアも、どうしたのかとリオンを見る。


「いやなぁ、今、誰かが爺様って言ったように聞こえたんだが……」

「僕は何も聞いてないけど?」

「あたしも聞いてな~い」

「俺も聞いてないな」

「俺もです」


はて、と顎に手を当てて首を傾げるリオンに、アルフ以外が聞いていないと声をあげる。

それをきいて、リオンはますます不思議そうな顔をする。


(ん……?)


しかしアルフは、リオンの言葉を訊いて考え込む。

リオンと同じように、顎に手を当てて首を傾げる。


「アルフ?」


アルフの様子に気付いて、マリウスが声をかける。

難しい顔をしたまま、アルフは板を取り出して文字を綴る。


『爺様が現れたときに、爺様、と頭の中で言った』


それを読んだ全員が、首を傾げる。


「――あ、図書館で覚えた術。念話、だっけ。あれ使ったとか?」


ふと思いついてマリウスが言ったが、アルフは首を横に振って否定した。

そして、ミルドも否定する。


「あのときに動いた魔力はなかったよ。だから術じゃない」

「そうですか……」


「……じゃあ、理由はどうあれ、あれはやっぱりちびすけの声ってことでいいんだな」

「まあ、今までの話をきいた限り、そうだろうね」

「てことは……ちびすけを調べるべきだな」


確か……と呟きながら、リオンは亜空間倉庫のリストを呼び出し目的のものを探す。


「あった。これだこれ」


リオンは取り出したカードを手に、アルフを座らせ、自分もその前に腰を下ろす。


「これはギルドカードにも使われてる術の、簡易版が込められたカードだ。この部分に血液を認識させると、その血液の持ち主の情報が表示される」


それをきいて、アルフは一切の躊躇いも見せずに指先に傷をつけ、カードに血を擦り付けた。

カードは数回光をはしらせ、やがて静かになった。

興味を引かれて、全員が頭を突きつけてカードを覗き込んだ。



   アルフレッド・ウィルト・エクス・シグサイ・アートライド(10)


   状態 健康


   スキル

   剣術 8 槍術 11 魔術 14 弓術 6 格闘 9 錬金 10 調合 9


   EX

   魂の書 蛇姫の加護 伝心



「ほーう」

「あららー……」

「うーん……」

「………………」

「………………」


表示された内容を見て、思い思いの声をあげる。


この世界には、スキルというものがある。

大抵のスキルは特別なものでもなんでもなく、努力しだいでは誰にでも入手可能なものだ。

尤も、スキルを覚えたからといって、何かしらの技が使えるようになるとか、そう言った類いの話ではない。

スキルとは、いわば熟練度のようなものだ。

一定の経験を積めばスキルを覚える。これが1。繰り返していけば2に上がり、熟練度が上がったということだ。

しかも、この熟練度。例えば剣術なら、ひたすら素振りを続けていけばいずれは上がる、というわけではない。

熟練度を上げるためには、相応の技量が求められる。


そして一般的な冒険者は、得意分野が5を越える程度だ。


つまり、表示されたアルフのスキルは、色々とおかしい。

リオンは流石俺の孫と喜んでいるし、ミルドとセセリアは流石シーヴの孫と感心しているし、マリウスとガードは流石アートライドの直系と呆れているので、誰も言葉にはしなかったが。


それ以上にとんでもないものがそのあとに続いていたので、10才でこの数値だという現実を、自分が受け入れやすい理由を引き合いに出して誤魔化した、とも言えるが。


スキルの次の項目。EX――エクストラスキルは、別名を恩恵(ギフト)と言う。

通常では手に入らない特殊なスキルのことだ。

例をあげると、毎日神に祈りを捧げ、神のための奉仕活動を行っていると、比較的簡単にその神の加護が得られる。奉仕活動の内容は、神によって違ってくるが。


「何だこれ。初めて見るギフトだな」


リオンも幾つかのギフトを持っている。だからアルフがギフトを持っていてもそこまで驚きはしないが、見たことのないギフトに興味を引かれた。

ポンポンと、ギフト名の上を二回続けて叩く。


『魂の書』

受け継がれし魂の証。その軌跡。


『蛇姫の加護』

蛇系の魔物から襲われなくなる。攻撃をすると解除される。下級の魔物なら従えることもできる。


『伝心』

任意の相手、もしくは不特定多数に声を届けることができる。魔術ではないので魔力消費無し。


「魂の証……?」

「いや、まあそれも気になるが、というか全部気になるが、取りあえず原因はこの伝心のギフトだな」


逸れそうになった所を、リオンが修正する。

周りの反応をよそに、アルフは口元がひきつらないようにするので精一杯だった。


(魂の書ってギフト扱いなんだ。 まあ、他の人には見えないんだから大丈夫だろ。それより伝心でうっかり心の声が漏れないようきをつけないとな)


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