↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
リインカネーション  作者: 岐塔
学院生編
29/64

27. 図書館の魔術陣



ゴゴゴ…と音をたて、本棚が動く。

アルフが触っていた本棚だけでなく、周囲の本棚が全て。


「うわっ、な、何?」

「アルフレッド、お前何をした!」

(えええー!?俺!?)


うろたえて辺りを見回すマリウスと、アルフの腕を、はぐれないようにしっかりと握ったガードがアルフを睨みつける。

その視線に、アルフは心外だと首を横に振った。

アルフの行動の中にきっかけがあったとしても、アルフには何の意図もなかった。それを責められても困る。

そうして揉めている間にも本棚は動き続け、遠くから司書のものであろう避難を促す声が聞こえてくるが、もはや周囲を囲まれてしまっている三人はそれに応えられない。

上から抜けられるだろうか、とアルフが本棚を見上げたとき、その本棚の動きが止まった。

遠くからはまだ動いているらしい音が聞こえるが、それも間もなく止まる。


「と、止まった…?」

「…終わったのか……?」

「……」


マリウスとガードが辺りの様子を窺う側で、アルフはじっと上空を見つめていた。

「――!!」

アルフの見つめる先で、魔力の光が空をはしる。

その魔力の光はあっという間に巨大な陣を描いた。

(マズイ……!)

魔力が動いた、とアルフが感じ取った時には、もう陣は発動していた。

陣の種類だけをかろうじて読み取ることが出来たアルフが、二人の腕を掴み自分たちの周りに結界を張る。



陣が発動し光を放ち、その光が収まった後には、三人の姿は何処にもなかった。




------------------



「行方不明?」

「も、申し訳ありません!!」


地を這うようなマースの声に、怯えた司書が深く腰を折って頭を下げた。

マースが異変があったという図書館に駆けつけたのは、そこにアルフがいたと知っていたからだ。

周囲からすればマースの役目はアルフの護衛なので、アルフの側を離れていたことが問題になりかねないが、アルフに護衛は必要ないので実際の役目は付き人だ。

付き人としても、アルフは少々特殊で、登下校に付き添うくらいしか基本的に仕事はない。

マースはアルフに付き添って登校した後は、一時間事に学院の警備の確認をする以外は使用人控え室で待機している。

所在は常に把握しているが、呼ばれるまでは待機している。

学院内にアルフに危害を加えられる者などいないと、知っているからだ。

しかし今回は、それが裏目に出てしまった。

側にいれば、護るか、もしくはどこかへ行ってしまったらしいアルフに同行することができたのに、とマースはため息をついた。

そのため息を、自分に対するものと誤解して、頭を下げたままの司書が体を震わせる。


「今は謝罪は結構。それよりも、詳しい説明をしてください」

「は、はい!」

「あ、ちょい待ち。その話俺にも聞かせて」


いつまでも怯えられていては話が進まないと、声の調子を戻して先を促すと、若い男の声が割り込んできた。


「クエンティですか。では、ウィンガード殿下も図書館に」

「いや~、図書館って武器携帯禁止だからねぇ。面倒だからここに残れって、殿下に置いて行かれちゃったんだよ」


アイオーン・クエンティ。ガードの護衛騎士である。

少し長めの赤毛頭をかきながら困ったように笑う様は、細身の体と合間ってとても王子の護衛騎士には見えないが、腕前は確かだ。


「で、司書さん。一体何があったのかな?」

「っ!そ、その、突然本棚が動き出しまして、とにかく利用者を避難させたのですが、その中にウィンガード殿下とアートライド様、ご友人のレインフォール様のお姿がなく」

「本棚が動き出した理由は?」

「ちょ、調査中です」

「図書館の中、今どうなってんの?」

「今は、静かです。現在職員総出で調査中です」

「――ふむ。つまり何も解っていないということですね」

「~~っ」


二人の質問に、明確な回答を出来ず調査中としか返せない司書は、生きた心地がしなかった。

最初にマースから感じた威圧感こそないが、だからといって安心できない。

学院内で生徒が消えるなど、あっていいことではない。

しかもそのうちの二人が、よりにもよって王子と公爵子息。

俺クビかも、と意識が遠くなる。比喩的な意味でのクビならともかく、本当に首が飛ぶかもしれない。


「では、仕方ありませんね。私どものほうで調査をするとしましょう」

「だな~」

「し、しかし、まだ何か起きるかも……」

「我らの主が行方不明だというときに、我が身の危険をかえりみろと?」

「待ってるだけだと怒られそうだしな~」

「そ、そう、ですか……」


どうしよう、と困った様子の司書をその場に残し、二人は図書館に足を踏み入れた。


「……変な並びですね」

「あっち、二階に行ける階段あるよ」


アイオーンが見つけた階段を登り、一階を見下ろす。

「……円形、ですか」

上階から見ると、本棚が大きな円を描いているのがわかる。他の本棚には動いた様子はない。

「なんか、本棚の上に付いてるね」

マースは無造作に、二階から本棚の上に飛び降りた。

何の変てつもない、小さな突起。

それに僅かながら魔力の残滓を見つけた。

そうなると、日頃からアルフの魔術陣を見慣れているマースには、自然と導き出される答えがある。

二階に戻って、もう一度全体を確認する。

本棚だけでは歪だが、突起を繋げれば滑らかな円になる。


間違いないだろう。

この図書館では魔術陣が展開されたのだ。

アルフたちが消えたというのだから、転移系の陣が。


問題は、どこに転移されたか、だ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。