表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

160/173

第158話 守るための覚悟③

 アルテンシアの皆を真央に託し、来た道を戻る。


「・--・---・・・」


「■■■■■■!!」


「あぁっ、もう何言ってるかわかんねえよ!」


 だが、複数の世界が合体したのだ。

 数千万という数の人が街道にのみ居るはずもなく、他の場所に転送されていた異世界人が襲いくる。


戦士装備レッドフォーム!」


「・-・・-・-・-・・・!?」


「◇◇◇◇◇◇!?」


 咄嗟に赤き鎧兜を顕現し、迎撃する。

 流石に足止めにしかならないが、今はそれでいいはずだ。


「真央のようにはいかないな……」


(アレを基準にしたら終わりでしょ)


(人類の敵じゃなかったことが奇跡なレベルだよ)


「人の彼女に対して酷くない君たち?」


 そう、古代からの二人に小言を放っていたときだった。


「フッ」


「っと!?」


 音も、風のうねりも無かった。

 だが直感で危機を察知した俺は、迫り来る刀と首の間に盾を入れ、死を弾き飛ばす。


「良き反応だ。戦場をくぐってきただけはあるか」


「貴方は……真央の御先祖様!?」


 てっきり、俺を狙う異世界人だと思っていたため動揺してしまう。

 気高き白い髪を持つ侍の名は、藤原宿禰城山獅狼道真ふじわらすくねしろやましろうみちざね

 ヒノワ皇国第一皇子シゲシゲ直属の転生者であり、アルテンシアでも指折りの猛者だ。

 だからこそ、理解ができない。


「どうして剣を向けるんですか。敵はフォタァザでしょう!」


「確かに、そうなのだろうな。神殺しを成し得れば、この動乱も収まるだろう」


「なら!」


「然し」


 一族を束ねてきた頭領の眼光に威圧され、思わず、すくんでしまう。


「我が宿願は子孫の繁栄。拙は此の眼で、羅刹にも勝る子孫を目にした。故に」


「……っ」


「試させてもらう。御前が我が子孫と釣り合うか!」


 御先祖が踏み出すと同時に、既に距離は全く無くなっていた。

 すぐさま再び防御の体勢をとる。だが二度も通じるはずもなく、盾越しに正拳を喰らい吹き飛ばされてしまう。

 左腕に走ったのは痺れではなく、槍で穿たれたかのような激痛。道を極めた武人は、防具越しに筋肉や骨を破壊してくるのか。


(どうしてアルテンシアの人同士で……!)


(マオを呼び戻してくる。こんな暇はないはず)


「手を出すな!」


 だが関係ない。ここで引いたら、俺は彼女に顔向けできない。


「これは俺一人で越えなきゃいけないんだ。真央を守るための覚悟を、御先祖様に示さなきゃいけない!」


「よくぞ言った! さあ拙を乗り越えてみせろ、中嶋尋ッ!!」


 だからこそ、今こそ発現す時なのだろう。


最強装備アルティレッドフォームッッ!!」


 玉虫色に輝く、救世の装備を!


「更に輝きを増したか、其の意気や善し!」


「真央に誇れない自分が嫌なだけだ!」


「なれば我が全てを以て、御前の首を落とすまで!!」


「越えてみせる。越えなきゃ、男が廃る!!」


 極限の集中を以て、無限自在に延びる虹の剣を振るう。

 だが、届かない。否、ヒノワ皇国のときは殆ど手も足も出なかったのだ。やっと届いたと思わなければ気合で負ける。


「ゲガギバベベ!」


「uparyaaa!!」


 互いに目にも留まらぬ速さで打ち合い、教皇国の地を、建物を斬り伏せているのだ。

 当然、待ち構えていた異世界人も加勢してくる。


「邪魔だッ!」


「失せろッ!!」


「ブプゥウウ!?」


 そんなものは関係ない。

 いまは、眼前の強者を倒すのみ!


「ッ!?」


 体感にして数分。限界まで空気を張り詰め合い、ようやく侍に隙ができた。


「終わりだッ!!」


 そして俺は虹を数弁這わせ。

 自らの覚悟を示すべく、首を取った。


「やった……ッ!?」


 だがシロウの剣は鈍りを見せない。


「良き反応だ。然し一拍遅れたな!」


「くっ、でも!」


 すぐに復活した首を再び取る。

 それでも、奴は倒れない。


「甘い!」


「くたばれ!」


「まだ逝かぬ!」


「倒れろ!」


「滅びるものか!」


「終われぇええッ!」


「見えたッ!」


 今度は俺の首が飛びかけた。

 すんでの所で極彩色の剣身を入れて防げたが、このまま打ち合ってもキリがない。


「……能力。そうだ、御先祖も使っているはずなんだ!!」


 見落としていた。本当の能力と最強の装備を手に入れて、自分が優勢だと勘違いして慢心していた。

 観察しろ。相手の能力は何だ?

 超回復? 違う、肉片が無くなろうが再生していた。

 不死? これも違う、ハルマやニグアスが能力無しで再現していた。

 驚異的な身体能力、そして肉体の不死性。


「本体は、別に居る?」


 結論が出た。いま打ち合っているシロウの肉体は人形のようなもの。

 操っている本体を倒さねば、勝ち筋はない!


「迷いが生じたか、なれば!!」


 目線を横に逸らしてしまったのがいけなかった。

 俺は完全に的外れな読みをしてしまったのだ。

 眼を見れば一目瞭然だった。思念の類は無いし、なにより己の肉体を熟知し、偽りなき自信を持っているじゃないか!

 躱せない。慢心を捨てられない。


「ぐ、ぅううああっ!」


「首は繋がったか。然し、左腕は貰った」


「ッ……!」


 痛恨のミスをしたが左腕だけで済んだ。まだ首も、右腕も残っている。

 再生を待っている暇はない。出血が多くなれば勝ち筋も細くなってゆく。

 ならばこそ。

 俺は深く息を吐き。


「何の真似だ?」


 最強の装備を、解除した。


「……驕りを捨てられないのなら。装備も能力も、捨てればいい」


「安物のなまくらと白地で、拙を断つと?」


 馴染みの道具屋で買っている普段着に、プロキア兵に馴染み深い鉄剣。

 当然、防御力も攻撃力も俺の装備には極めて劣る。加えて、侍の剣技を全く見切れなくなるだろう。

 一撃貰えば即死。だからこそ。


「これが、お前を倒すための最適解だ!」


 極限を数段越えた覚悟を以て、古強者を斬り伏せる!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ