第11話 ゾンビパニック
今回、初の戦闘です。
戦闘描写(言う程の物ではない)って難しい……
本格的に戦闘が始まったらどうしよう……
それは8日目のことだった。
配下のモンスター達も順調にスキルを上げて。ダンジョン運営も順調に波に乗って来た時に起こった。
その日俺はたまたま、マスタールームから全てのモンスターの様子を見ていた。
ゴーレムから、スケルトンまでは順調にスキル上げをしていて、良い感じだった。
しかし、次のゾンビを見た瞬間、俺は目を疑った。
何とゾンビが既にゾンビ収納スペースである特大部屋を埋め尽くしていたのだ。
まだ、1週間でこれである。
1か月後には、収納スペースを溢れるどころか、戦闘大部屋も埋まり、スケルトンの部屋まで、ゾンビが来ることに、成りかねない。
これに恐怖した俺は大至急酒天を呼ぶ。
「どうされました、主様。」
「酒天、これを見てくれ。」
俺が見ている画面を酒天にも見せると、酒天も目を見開いて驚愕していた。
「主様、これは不味いです。不味すぎです。」
「ああ、酒天もそう思うか。」
「はい、至急対策が必要と思われます。」
そして、酒天と俺で緊急対策会議が始まった。
「まず主様に問いたいのは、何故こうなったのかという事です。」
そう言われ俺は考える。そして、どんどん顔色が青くそして白くなって行くのが自分でも分かった。
それは、モンスターを召喚した時まで遡る。
ゾンビ設置したとき、俺は特大の部屋に何人入るのかっていう計算をした。
だが、その時召喚陣のカタログスペックで計算したのが間違いだった。
後でいざ召喚すると成った時、『腐の伝道師』でコストが2分の一になると喜んで、さらに2つ追加したのだ。
この時点で、生まれるゾンビは2倍。
そして、さらに悪い事に、後で気づいたことなのだが、『腐の伝道師』は生まれてくれ時間までも半分にするようなのだ。
つまり、カタログスペックでは
・ゾンビ自動召喚陣 (カタログ) :500p 1体/6h
こうなっていたのが、実際には
・ゾンビ自動召喚陣(固有スキル) :250p 1体/3h
こうなっていた訳だ。
なので、召喚されるゾンビは4倍。1か月かかって漸く特大部屋が一杯に成るはずが、1週間で特大部屋を埋め尽くしてしまったのだ。
「理由分かったわ……。」
ゾンビが異常に増えた理由を酒天に説明する。
「……なるほど分かりました。つまり、主様が何も考えずにゾンビ召喚陣を設置したのが原因であると」
「はい。そうです……」
何か今日酒天が怖い。いつもより刺々しい気がする。
「主様はバカですか!!これでさらにゾンビ召喚陣を設置していたらどうなっていたか!!もう少し考えて設置してください!!」
「は、はい!!すいません!!」
いきなり酒天に怒られる。だってしょうが無いじゃないか、腐の伝道師がここまで酷いなんて誰も考えないって。
だが、今の酒天には逆らえない。だって怖いもん。
そして、目を閉じて何かを考えていた酒天が何かを考え着いたようで目を開ける。
「……しょうがありません。討伐しましょう。」
そして、出てきた案は、案とも言えない超シンプルな物だった。
「え!?だって折角ここまで増えたのに……」
「主様はゾンビに逆にこのダンジョンを制圧される気ですか?」
そう言われると、賛成するしかないじゃないか……。
「……しょうがないか。よし、酒天。ゾンビ以外の全員をボス部屋に集めてくれ。全員で討伐する。この際だ、ゾンビには少し反撃してもらって、皆には戦闘経験を積んで貰おう。」
「そうですね、どうせなら有効利用しましょう。毒を食らわば皿までです。」
そう言って酒天がモンスターを呼びにマスタールームを出て行く。
そして、約15分後全員がボス部屋に勢ぞろいした。
内訳が
ゴブリン(雄)18体
スケルトン32体
ゴーレム4体
酒天1人
の計55体である。
「よし、全員集まったな。これより、ゾンビ掃討作戦の内容を説明する。今回討伐するのは作戦名の通りゾンビである。奴らは俺の想像を上回る勢いで増えた。ほっておくと、ダンジョンそのものがゾンビで埋まる。」
そう言うとゴブリンが少し顔色を変えた。多分スケルトン等も内心ではゴブリンと同じであろう。
ゴブリンって表情あるんだ。
……やはり失礼な奴である。
「そこで、事前にゾンビを間引く。だが間引くと言っても今回はゾンビを全て掃討する。そこで、今回は諸君の戦闘経験も兼ねるためゾンビにも反撃を許可する。勿論諸君を殺さないようには指示する。だが向こうも全力で攻撃して来るだろう。なので、諸君らはこれまでに培ったスキルを全力で駆使して。戦ってもらいたい。」
そして、俺は全員からスキルをコピーすると、そのコピーしたスキルを全員に配る。
「今、諸君らに新たな力を授けた。この力や、今まで訓練した得意な戦術を使い。ゾンビを屠れ!そして、駆逐しろ。ゾンビがこのダンジョンに存在する事を許すな!!総員戦闘開始!!」
「ウヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲ!!!」
「ガチガチガチガチ」
その言葉と共にそれぞれが雄たけびを上げながらゾンビがいる戦場へと向かって行った。
さて、スキルのコピーをした訳だが。現在のステータスがこちらだ。
名前 :鳴海 海斗
年齢 :17
種族 :ヒューマン
職業 :ダンジョンマスター
レベル :1
称号 :ダンジョンマスター・委員長・
ダンジョンレベル:1
HP :250
MP :600
STR :100
VIT :80
AGI :200
INT :300
DEX :200
固有スキル :異世界言語理解・鑑定・アイテムBOX・スキル管理・支配者の心得・武神の心得・腐の伝道師
戦闘スキル :射撃1・柔道4・剣術4・投擲5・逃走7・統率6・格闘技6・身体強化6・刀術7・・狂戦士化・身体修復5・斬撃耐性5・衝撃耐性5・疲労無効・弓術4・槌術4・盾術4・ナイフ投げ4・斧術4・槍術4・棒術4・隠密4・追撃4・索敵4・トラップ作成4・トラップ解除4・精神集中4・応援4・
魔法スキル :無属性魔法3・火魔法3・風魔法3・地魔法3・水魔法3・闇魔法3・光魔法3・魔力操作4・魔力探査2・瞑想4
生産スキル :溶接1・料理6・木工3・電子工作1・プログラミング1・裁縫4・石工3・楽器演奏3・
生活スキル :掃除5・洗濯4・計算7・数学5・文書作成3・
かなり、スキルは充実してきたと思う。だが、いかんせんまだ1週間しか経っていないので、スキルのレベルはまだ低い物が多い。
ここに載っているスキル以外はまだ、訓練を始めたばかりで、スキルレベルも1か2の物である。
しかし、ゾンビを倒すだけなら十分というか、過剰である。
そして、俺も戦闘経験を積むためにゾンビの待つ戦場へ向かう。
そこで目にした物はあまりにも過酷な本物の戦場であった。
ゾンビ256匹に対してこちらは、55体である。
圧倒的な数に対し怪我人も既に出始めていた。
そして、床には死体が転がり、流れ出た血で床は赤く染まっている。
そんな、本物の戦場に俺は不覚にも怯えてしまった。
立っているだけ足が震え、進む事も戻ることも出来なくなってしまった。
そんな時。
「主様!!何で来たのですか!!ここは戦場です!!」
「い、いや俺も戦って、せ、戦闘経験を積もうと……」
声が震えながらも酒天の問いに答える
「……まったく、主様大きく息をすってください」
酒天の言う通りに息を大きく吸う。
「そして、戦場をよく見てください。こちら、には怪我人は居ますが死んだ者はおりません。主様が殺さない様命令を出したからです。そして、床の死体や血は全てゾンビの物です。」
戦場を見回すと確かに、スケルトンの死体やゴブリンの死体は何処にもなく、怪我をした者は後方で光魔法が使える物に治療してもらっている。
そう認識すると、少し落ち着いてきた。
「ありがとい、落ち着いた。少し戦場の気に当てられてしまったようだ。では酒天、全軍の総大将の酒天としてお前に聞く。俺はどこで戦えばいい?」
「では主様は後方で魔法要員として、魔法部隊の指揮を執ってください。スキルを持っているからと言って、いきなり訓練もせず先頭に立って戦うと言うのは無理ですから」
「わかった。では戦闘に戻ってくれ、迷惑を掛けてすまなかった。」
「いえ、では戦闘に戻ります御武運を祈ります」
「おう、お前もな」
そう言って別れると、後ろで散発的に、魔法を撃っている集団へ向かう。
「魔法部隊集合!!」
その言葉と共に、全員が集まって来る。集まって来たのはスケルトン4体にゴブリン5体である。
「ここの部隊は俺が指揮を執ることになった。全員で味方の壁が薄い所に魔法をぶち込む!!また、負傷者がやってきたら、近くにいるものが治せ。それは、攻撃よりも優先せよ。では総員攻撃魔法用意!!放て!!」
その言葉と共に味方の壁が薄い場所に魔法を撃ちこむ。
そして、指揮官として、戦場を良く見ると、各々得意な方法で敵を攻撃しているのが徐々に分かって来た。
ゴブリンはまとめ役のゴブリンの指揮のもと、それぞれの戦い方で奮闘し、スケルトンも同様に、まとめ役2体の指揮のもと戦っていた。
そして、ゴーレムは全体の総大将を兼任している酒天が率いている。
3部隊それぞれが、それぞれの戦いを展開しているのが、後ろから見ると良く分かる。
「全体に通達する。怪我をした者は後方の魔法部隊まで後退しろ。そこで、治療を行う。」
そして、負けてはいられんと俺も魔法部隊の長として全体に風魔法を使って伝達し、また魔法部隊を操り、敵の塊へ攻撃を加える。
そして、除所に戦場に慣れてきて、アドレナリンが出て来たのか、俺自身もハイに成っていく。
「ハッハッハッハ!!圧倒的ではないか我が軍は!!」
戦闘開始から20分程経った頃にはこんな事を口走るようになっていた。
そして、モンスター達も訓練ではない本物の戦場に慣れて来たのか、更に効率が上がって来る。
あるゴブリンは格闘技でゾンビを絞殺し、またあるゴブリンはトラップを作成し、それにゾンビを嵌め、また別のゴブリンは鍛え上げた隠密で姿を隠し、ゾンビを暗殺したりした。
この様に、各人が効率よく相手を殺す方法を確立した頃には、ゾンビが凄い勢いで減っていくようになった。
そして、戦闘が終わったのはそれから約30分後のことだった。
戦闘が終わった戦場を見ると。床は血に塗れ、死体で埋まっていた。
そんな中酒天を見つけると近づいていった。
「ふ~御疲れ様酒天。素晴らしい指揮だったよ」
「有難う御座います。主様も初めての部隊指揮とは思えない位素晴らしかったですよ」
「そうか?ありあがとう……」
そして、さらに言葉を続けようとするといきなり何人かの個体が光った。
「何だ?」
「どうやら、進化したようです。」
「な、何!?進化だと?今回は別に俺は名づけなどしていないぞ?」
「いえ進化そのものは、成長すればするのです。ですがこの短期間でとなると……。多分、主の『支配者の心得』や『武神の心得』などで、ブーストがかかり、今回の戦闘で進化の引き金が引かれたのだと思われます。」
「成程……。よし、全員に通達!!進化した者は俺の前に集合せよ!!もう一度言う俺の前に集合せよ!!」
その言葉と共に、体格が少し変わった者達が集まって来る。
「よし、全員整列しろ。」
全員が整列すると。右から順番にそのステータスを見て行く。
すると、それは俺を十分に驚愕させるに値するものだった。




