第10話 2日目(午後)
会合を始める10分程前にAR(Alliance Room)に入ると、まだ誰も到着していなかった。
「まだ、誰も来ていないか。待っている間に同盟コアのチェックでもするか」
そう考えると、ソファーに座ってコアに手を置いた。
「コア、AP(Alliance point)の使い道を表示してくれ。」
『了解しました。』
すると、いつも通り視界に画面が現れ、そこには『調度品購入』と『レベルアップ』の二つの項目が存在していたが、レベルアップの項目は半透明になっており、昇格条件を満たしていないからか、現在は使用できない事が理解できた。
「やはり、今使えるのは調度品購入か。あとで、時間が有ったら、皆と話し合ってみるかな」
そう、同盟について思考ひと段落置いた所で真奈美が他の二人よりも先んじて現れた。
「海斗君おはようございます~」
「おはよう真奈美。昨日は一人で寂しくなかったか」
「ええ~、私のダンジョンボスになってくれたレイアちゃんが居ましたから~」
「真奈美のとこのボスモンスターの種類は何だったんだ?」
「え~とですね。私のボスは、ヴァンパイアでした~とっても可愛い女の子でしたよ~。昨日も二人でBL団談gi……色々お話しました~」
……ああ、また哀れな犠牲者が現れてしまった。
きっと、真奈美のダンジョンは阿鼻叫喚なのだろう。
障らぬ神に祟りなし。アーメン、ハレルヤ、ピーナッツバターである。
「そ、そうか。楽しそうで何よりだよ」
これ以上話を続けると更なる業が飛び出してきそうで困っていると、丁度残りの2人が同時に飛んできた。
「おはよう。二人とも」
「おはようだぜ。三人とも顔を見る事が出来て内心ホッとしてるぜ!!」
「二人ともおはよう、隣のバカは如何でもいいけど、私も内心、此処に来てももう会えないんじゃないかって、少し不安だったわ。」
「おはようございます~ツヨ君、楓ちゃん。私も皆の顔が見れて嬉しいですよ~」
やはり、皆も俺同様心の中では少し不安だった様だ。
しかし、それも仕方ないだろう。いきなり異世界に連れて来られて、親とも友達とも引き離され、ダンジョンを作れなんて言われたら不安になるに決まっている。
「俺も皆とまた会えて嬉しいよ。さて、全員が集まったところで、『第1回報告会』を開催します!」
このまま感傷に浸っていても暗くなるだけだと判断した俺は、朝の挨拶もそこそこに会合を始める事を告げる。
「まず、少し真奈美と話してたんだが、まず皆のボスモンスターを教えてくれ。まず俺からだな。俺のダンジョンのボスモンスターは『オーガ』で、名前を付けたら鬼人という種のモンスターになった」
「ほう~鬼か。やっぱりゴブリンは兄弟の召喚モンスターだったんだな。俺っちのダンジョンのボスは『マンティス』っていう唯のでかいカマキリだったぜ。んで、名前を付けたら『エンペラーマンティス』っつうおっかないモンスターに変貌しちまった。ちなみに、喋れない」
やはり、剛史のダンジョンのモンスターの知能レベルは総じて低いようで、モンスターの誰も喋れないようだ……。
まあ、剛史ならしょうがない。然も有りなん。
「そう言えば、あんたの召喚モンスターのキャタピラーって何なのよ。何の役にも立たないじゃない!……アホは放って置くとして、私のボスは『ミスリスゴーレム』よ。名前をつけたら『ミスリルゴーレム・ギア』っていうモンスターに進化したわ」
加奈子のボスは魔法金属のゴーレムのようだ。だが、名前を付けて進化してもゴーレムだからか、材質に変化は無いようだ。
「皆強そうな子達ですね~。私の子はですね~。最初『レッサーヴァンパイア』だったんですけど~レイアちゃんって名前を付けたら『ヴァンパイア真祖』って言うのになりました~」
(((なんでレッサー(劣化)から真祖にまで進化するんだよ!?腐の伝道師恐るべし!!)))
三人の心が一致した瞬間であった。
「まあ、全員強力なモンスターを手に入れたから良しとしよう。そういば、全員ナチュラルに名前をつけているが名前を付けたらパワーアップするっていうのは、全員の共通認識でいいな」
「ああ大丈夫だぜ。だけど、名前付けたらいきなり光からビビっちまったよ」
「そうか、なら次の議題に進もう。次は各々どんなダンジョンを作ったかだ。これも順々に発表していってくれ」
そして、各々1時間位掛けて自分の作ったダンジョンを説明していった。
結果、やはり皆自分のダンジョンの初期召喚可能モンスターを主力に添えるようだ……剛史以外。
剛史のキャタピラーは30日で成体になるかも分からないので、現時点では戦力に数える事すら出来なかったのである。……憐れ剛史。
「よし、それぞれのダンジョンも理解することが出来たな。これで、今日話し合う事の最低限は終了だ。他に誰か何かわかった事はあるか。」
「あ、私あります~」
それは、以外な申し出だった。
昨日はダンジョンを作った以外はずっとボスと一緒にBL談義しかしてないと思ってたのに……。
意外と失礼な奴である。
「昨日レイアちゃんに魔法の使い方を教わったんです。」
そして、真奈美が言ったその情報は今俺が最も知りたい情報だった。
「な!?本当か真奈美!!お前魔法が使えるようになったのか!?」
「落ちつけよ兄弟。そんなに魔法が使いたかったのか。まだまだ厨二は治って無かったってことかね~……ヘブッ!?」
隣でバカが戯言を垂れ流しているが、全力で顔面にパンチを食らわせて黙らせる。
「な、何か…い…つもより、力が…つよ…いぜ……」
そういって剛史は気絶した。
スキルの格闘4が原因なのだが、興味が魔法に行っている海斗には何の疑問も感じなかった。
「はい~。『マスターは貧弱だから、魔法の一つも覚えて強くならなきゃダメですよ』ってレイアちゃんが言って教えてくれました。まだ、これ位しか出来ませんけどね~」
そう言って、指先にピンポン玉位の水玉を作る。
「凄いわね……本当に魔法何てあるんだ……」
「すごいじゃないか!どうやるんだ!?」
俺が何故ここまで、興奮しているかと言うと、戦力の増強が急務であったからである。
また、昨日酒天に魔法について聞いたみたのだが、酒天は完全な前衛型で、魔法については何も知らなかったのである。
「え~と、体の中にある魔力をグ~ルグ~ル体中を移動させて、その魔力を指先に集めて、こんな魔法が使いたいってイメージすれば出来ますよ。」
すごい抽象的な説明を受けたが、ようは魔力とやらを感知して、それを体内の使いたい場所に移動させて、魔力を変換させるのだろう。
そう納得した俺と楓は一先ず体の中にある魔力を感じる所から始める。
「ん~分からん……ん?これか?」
暫く瞑想しながら体内に集中していると、何か温かい物が丹田の辺りうにある事に気がついた。
その温かい物を手まで動けと念じると、鈍くはあるが徐々に動いて上に上がって来るのが分かった。
そして、それを手にまで持ってきて水が出るイメージをすると、何と手の平から水が溢れ出た。
「出来た。こんな簡単に出来る物なのか」
「何でそんな簡単に出来るのよ!」
隣の楓は未だ魔力を動かす事が出来ないようだ。
多分これは、ステータスのINT辺りが関わっているのだと思う。
「普通の人間には結構難しい事の様ですよ~。レイアちゃんに聞いた話だと、人間が魔法を使う時は、一々呪文を唱えないといけない見たいですね~」
「成程、確かに俺たちは、イメージが曖昧でも、何となく出来たな。」
「何となく出来ないわよ。この裏切り者!!」
「悪かった悪かった。なら、自分で呪文を作って魔法を使ってみたらどうだ?」
「自分で呪文を作る?……そうね、やって見るわ」
そう言うとブツブツと佳奈美が何かを唱え始めた。
そして、10分位すると、俺と同じように手の平から水を出すことに成功した。
「やった~出来た!!」
「おめでとう。ところで、何て呪文を唱えたんだ?」
すると顔を真っ赤にして、「そんな事言えるわけないでしょ!ばか!」といって俺を殴って来た……理不尽だ。
そしていつの間にか復活して鍛錬に参加していた剛史が結構簡単に成功しているのを見て、剛史にも俺のより強い攻撃を加えていた。
「全員、使えるように成りましたね~。良かったです~」
「ああ、これで全員の戦力アップが叶った。ありがとう真奈美」
「いえ~、皆のお役にたてるなら全然いいですよ~」
そして、全員の練習がひと段落ついた所で、今日の会合はお開きとなった。
マスタールームに戻ると誰もいない様だった。多分酒天は、ボス部屋で訓練しているのだろう。
そう思い、マスタールームを出てボス部屋に向かうと、そこには酒天が一人ポツンと立っていた。
何をしているのだろうと、声を掛けようとした瞬間。酒天がカッと目を開き刀を抜き、そのまま振りかぶった。
まさに早業だった。まるで居合いの達人の奥義を見ているようだった。
「いや~凄いね~流石酒天だ。伊達に武将の職を持っていないね。」
俺がパチパチと拍手しながら近づくと、流石に酒天も気がついたようで。
「あ、主様お戻りでしたか。お恥ずかしい物をお見せいたしました。直に夕食の準備を始めますので、お待ちください。」
どうやら、あの出来では酒天的には満足できないらしい。恐るべし武将である。
いつか『またつまらぬ物を切ってしまった』とか言うんじゃないかと睨んでいる。
そして、酒天はすぐにマスタールームに入ってしまった。
俺も酒天の後を追ってマスタールームに入る。
「主様はここで、お待ちください。すぐに夕食を作りますので」
「いや、俺も手伝うよ。流石に任せっきりでは悪いし」
「いえ、私の役目ですから……」
渋る酒天を強引に押し切り。一緒に調理をする。途中酒天が何度も「ありがとうございます」とお礼を言ってきたが、直に慣れて欲しいと思う。
そして、二人で作った夕食を二人で食べた。
そして、夕食後今日の午後あった事をお互いに報告し合うことになった。
「本日の午後、何事もなく午前中のまま訓練は滞りなく進みました。新たなモンスターが生まれるわけでもありませんでしたので、大丈夫です。」
「そうか、なら大丈夫だね。こっちは、魔法の使い方を覚えた。後で、酒天にも教えてあげる。」
「それは重畳で御座います。主様が身を守る術を身につける事は良いことです。」
そんな風にこちらでの報告会は過ぎていった。
そして、夜も更け始めたころ。俺たちは、就寝するのだった。
あ、今日もお楽しみは無かったよ!!
2日目終了
残りDP60p
クリアまで残り99'999'999'940p
本日の更新はここまで。
11話以降は明日更新します(多分80%くらいの確率で)。




