やられた!
お互い惹かれるように近づくと、初めて出会ったという感覚がなく
以前から付き合っていたかのようなオーラに包まれていた
「一緒に飲まないか?」
自然に出た言葉
「うん でもまだおわってないから、、、」
と笑顔がより親密感を増す
ホステスだなということは、すれ違う前から分かっていた
「どこの店?」
「あ、名刺渡すから」
と言ってポシェットから急いで出した
俺はその名刺を見て、
「じゃあ、先に行って待ってるよ」
「うん あとから行くから」
と、言った時の笑顔は商売の笑顔じゃなく、プライベートのそれに違いなかった
ホステスの営業用のつくり笑顔なんて百戦錬磨の俺にはすぐわかる
俺の偏見だが、若い時にモテナカッタ男が飲み屋で騙されるのは、男が経験不足だからとも言えるかもしれない
そう交わし、お互いにすれ違う前と同じ方向に歩き始めた
(今日はラッキーデーだな^^ めちゃくちゃいい女だ!これ、一目ぼれってやつか?まして、同時に振り返るなんてドラマみたいじゃん!)
そもそも、俺は面食いで硬派だから、何かきっかけが無い限りナンパすることは無い
あの時、同時に振り向かなかったらなんでもない一日が終わっていたはず
俺は最上階までエレベーターで上がり、名刺に書いてある店の前に着いた
中に入ってみると、クラブ風の感じを漂わせていた
周りを見ると社長風の客一人にホステスが2人付いている
(なんだ、あんまり流行ってないのか?)
で、俺もでかいソファーに座るとホステスが3人付いた
俺の目当てはさっきの女と仕事抜きで飲むことだから、3人のホステスはどうでもいい
(とりあえず女が来るまで適当に3人を相手にするか、、、)
ま、初めての客にホステスがすることは大体決まってる
飲み物やら、フルーツやら、なんやらを可愛らしくおねだり
そして内容のない会話
で、俺も気分がいいから彼女らの欲しいものを注文する
ホステスは飲んで売り上げを上げ、客は飲んで楽しくなる
飲み屋を百戦錬磨と言えるのは、自分が楽しむだけじゃなく、飲ませる方の立場も分かってるということだ
3人ともそこそこいい女だったのでそれなりに楽しく飲んでいた
調子に乗ってボトルを1本キープ
(それにしても、さっきの女、まだこないのか~~)
って思い始めたころ、
「お客様、閉店でございます」
と、ニヤケ顔の紳士ぶった頭悪そうなオッサンが言ってきた
「閉店?」
(おいおい!まだ、30分も経ってないのに!)
「はい」
と、またしてもにやけている
そして、お会計の伝票を差し出された
その伝票には、なんと6万円と書かれていた
「6万!?」
「はい」
「たった30分で6万かよ?!」
「はい」
「はい!じゃね~よ!明細!見せろ!」
納得できない俺は怒鳴った
ニヤケ顔が引きつって、シラケ顔で黙ってフロントの方へ行った
すると、入り口のフロントからテレビドラマの悪役にはもってこいの顔をした支配人だか雇われマスターだか分からん男が明細を持ってきた
無言でテーブルに置かれ、俺はそれを見た
明細には、
ビール1本・・・5000円
フルーツ1盛・・・5000円
ボトル1本・・・20000円、、、
(やられた!)
店がビール1本5000円と言ったら5000円だし、見た目高そうなボトルで中身が安い酒でも
20000円と言ったら20000円なんだ
俺はすし屋の時価のようなもんだと思ってる
飲み屋なんて、値段なんてあってないようなものだと心得ていた
だけど、まさかボッタクリにあうとは、、、
「たっけえな!」
「・・・・」
「ぼったくりか~?」
「違います」
「ビール1本5000円って!」
「当店は5000円なんです」と、悪役顔の支配人が言う
「それが、ぼったくりだと言ってんだよ!」
「・・・・」
「払ってもらいます!以外しゃべれないのか~~~~!」
悪役顔の男は平然と俺の怒りを受け流していた
散々文句を言ったが、、、
払うつもりではいた
結局、俺は観念して伝票持ってフロントに行った
で、財布から金を出そうとしたら、
(やっべ~~~~~~~~~~!!)
財布の中には45000円しか入ってなかった
つづく




