新装開店!ーーうんうん!美味しいもんね!
お久しぶりです
また今日から頑張って書いていこうと思いますので、また足を運んでいただけますと幸いです
「いらっしゃいませー!」
お父様にポップコーンをプレゼンしてから早3週間。念願のポップコーン屋台が完成しました!やったね!ドンドンパフパフ
あれからお母様や他の使用人の人たちにも食べてもらって最初は見慣れないものに対して警戒してたみんなも一口食べたら今までにない食感の虜になってしまいました!おかげで我が屋敷では空前のポップコーンブームの到来です
屋台をするにあたり、私が譲れなかったのは屋台の収入を自分のものにすること。これがなかったら私は屋台をする意味がなくなってしまう
割合に関してはお父様達へのプレゼントという名目のお陰で必要資金以外は私の好きにしていいという言葉をもらった。なんとも甘い父親だ。そんなちょろい感じも可愛いと思うよお父様
次に屋台を運営する人。誰を雇うかという問題だけど、ここにで問題が生じた
屋台を公爵家の人間がするというのはレア中のレア。ブティックとか劇場への出資とかはあってもこの世界の貴族はあまり平民社会への奉仕というか関わりを強く持っていないところが多いみたいで、信用できる人間を雇うというのが難しいということが分かったのだ
あと、屋台は一家庭で運営しているところが多いのでそもそも人を雇うという考えが少ないそうだ
なので、目新しい屋台で人を雇うとなるとどうしても目立ってしまうことになる
良い方に目立つのならいいけど、この場合は悪目立ちである
貴族が何かするというだけで特異な目を向けられてしまう現社会、そうなってくると真っ先に避けるべきは『公爵家』というブランドだ
勿論、このブランドは非常に貴族社会においては使い勝手が良いものだけど、一度平民の世界に入ってしまうと余計なしがらみになってしまう困ったやつだ
なので、私はまずこのブランドを捨てることにした
有り体にいうと、平民家庭を装って屋台をしようと考えた
で、誰がするのかというのが次の問題
ポップコーンについてちゃんと理解していて家族を装える、それでいてちゃんと商売もできる…そりゃ、私しかいないよね?
という考えのもの、社会勉強かつ親孝行という名目で屋台を私が直接することを許可してもらいました
ちょっと説得するのに骨が折れたけど、結果オーライなのでオッケーオッケー
以上の流れにて、私は現在公爵家お屋敷のある街の屋台でポップコーンを販売しています
人数が多過ぎても動きづらいということで今は私とエミリー、そして執事のジョンの3人で屋台を切り盛りしています
ジョンはエミリーの先輩にあたる執事で麻色の髪をした口髭の似合うジェントルなオジサマだ。見た目の通り性格も温厚かつ平和主義、だけど仕事には笑顔で厳しいらしくてその話をしてくれた時のエミリーの顔は青かった
今回、ジョンはお父さん役、エミリーは姉役、私はその妹のルーナではなくルーとして屋台で仕事を始めている。お母さん役は適役がいなかったので今回はいない
最初にこの役割を作ったときにはお父様がワーワーうるさいし、お母様まで参加しようとしてきてそれを止めるのがまあ面倒くさいこと
何とか説得した日は次の日のお昼までぐっすり眠ってしまった
いい人なんだけど、長時間一緒にいるのが大変な人から飲みに誘われてそれを断るのと同じくらいに疲れた。うん、言ってみたけど例えが分かりにくいかな
何はともあれ、こうして私は夢のポップコーン屋台を開くことに成功したのだ
「ルーちゃん、今日も元気だね」
「はい!おばさんもげんきですか?」
「はは!元気さ!じゃあ、今日ももらって行こうかな」
「はい!お味はどうされますか?」
屋台を始めて今日で1週間、私の顔も覚えてもらってきたし、私自身も常連さんの顔を覚えてきました
「甘いのをもらうよ!沢山入れとくれ!」
「はーい!」
初日、見慣れぬ屋台を一定の距離から眺めてコソコソとする人々。その視線に少しおどっとするエミリーに何食わぬ顔のジョンとニンマリしている私
振り返ってみるとかなり異質なファミリーだと思う
ただ、硬くて美味しくもなさそうなトウモロコシの粒がポンポンと大きな音を立てて弾ける様子は子供だけじゃなくて大人も心を惹きつけられ、試しで振りまいた分はその食感に口いっぱいに広がる風味にあっという間にみんなポップコーンに夢中になってしまった
おかげで初日からポップコーンは大繁盛!リピーターもたくさん来てくれている
この向かいにある八百屋のおばさんもその1人。家にいる息子さんが気に入ってくれたらしく度々買いに来てくれるのだ
容器に気持ちオマケを乗せてキャラメル味のポップコーンを入れていく。それだけで甘く香ばしい香りが周囲に広がり、新しくお客さんがやってくる
「はい、どうぞ!」
「ありがとう!これ、お金とウチの野菜。よかったらみんなで食っとくれ」
差し出した容器をおばさんは受け取ると用意していた小銭を出し、その横に野菜が山盛り入ったカゴを置く。遠慮の言葉を聞くまでもなくおばさんは片手を振りながら自分の屋台へと帰っていってしまった
「そんな…!…ありがとうございます!みんなでもらいますね!」
おばさんの背中に向けて大声でお礼を叫ぶ
こういう、人と人とのつながりというのだろうか、温かみを感じて優しい気持ちになる
こういうつながりを大切にして生きていきたいと思いました、まる
「ルー、次のお客さんの分を装ってもらっていい?」
「はい、お姉ちゃん!」
姉役のエミリーも今ではすっかり私の姉として立ち振る舞えるようになっている。実際、私には姉妹がいないので本当の姉のようで(実年齢では私が姉なんだけど)嬉しくなってしまうのだ
こうして、今日も今日とてポップコーン販売に身を投じている私だった




