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ちょっと予定とずれたけど、まあ問題なしーー口から出た言葉は取り返しがつかないので、ちゃんと貰いますからね




「いかがですか?」


もぐもぐと咀嚼するお父様。その顔は初めて食べるそれに対しての興味の色が滲んでいた


「不思議な食感だな…これは塩以外にも何かかかってるのかい?」


「バターですわ、お父さま。ぜひもう一口どうぞ」


ゲイブの持つボールを手に取り、お父様へと差し出す。先程とは違ってすんなりと手を伸ばしてきたお父様は一つ二つと口の中に放り込む


フワフワともサクサクともいえる食感を楽しむように何度も噛んでは飲み込み、また口に入れてを繰り返す

頃合いを見てゲイブに声をかける


「ゲイブ、そちらもお父さまに」


「はい、お嬢様」


ゲイブはキャラメル味のポップコーンが入ったボールをお父様に差し出す

お父様は疑うことなくそれを口にする


塩バター味とは違うグッとくる甘味に目を瞬かせると同じようにどんどん口へと運んでいく


その様子を見つめながら、確かな手応えを感じる



最初にゲイブがこのポップコーンの元になるトウモロコシを持ってきてくれた時のことを思い出す

甘味種とは違って調理しても旨味はほとんどなく、使い道と言ったらいざという時の保存食兼家畜の餌だったそれを選択肢から排除せずに用意してくれたゲイブには感謝しかない


最初は毒殺未遂での罪悪感から私のこのポップコーン作成に付き合ってくれていたゲイブだけど、何度も話をしているうちに仲良くなれたのも嬉しい誤算の一つだ

味方は多い方がいいし、何より料理人を味方につけるのは私の力にもなる。食べたいものを再現するときに手助けしてもらえるのは率直にいって有難いし、今回のような商品の開発にも力を注ぎやすいからだ


最初に話をしていたときには名前を知らなかったけど、ちゃんと名前で呼ぶようになるともっと親密になれた気がする



黙々とポップコーンを口にしていたお父様だったが、ある程度食べたところで落ち着いたのか手を止めた


「これは“ポップコーン”というたべものです。わたし、これでやたいをしてみたいんです」


ゲイブに私が持っていたボールを渡す。ゲイブも何も言わずに受け取り、ポップコーンが入ったボールをカートの上に置く


「これの原材料は?」


「とあるトウモロコシです。この国ではあまりにんきのないしゅるいなので、ひようはおさえられます。また、ちょうりをするのもかんたんなのでぎじゅつもそこまでひつようありません」


食いついてくれているのでプレゼン開始だ

費用が安いことに販売する手間も少ない、競合も恐らくいないとどんどん情報を重ねていく


こうして流暢に話しながら思うのは、こんな5歳児がいたら私は嫌だなぁという他人事な第三者目線な感想だった



「なるほどな。…これは、ルーナが考えたのかい?」


「はい!本の中でひらめいて、ゲイブにりそうのものをさがしてもらいまして」


本当は閃いたとか考えたとかじゃないんだけどね

ちょっとのズルは許してね



お父様は黙ってしまった。考え込んでいるのか俯いていてその角度の問題で表情がよくわからない


さっきまでの反応を見てると好感触だったんだけど、何か問題があったかな…



パッとお父様が顔をあげたかと思うと、次の瞬間には私の身体は宙に浮いていた。正確にいうとお父様にたかいたかいをされていた


「すごいぞ!ルーナ!お前は天才だ!!」


お父様は私を掲げながら顔を綻ばせてくるくると回転する。身体が軽いので痛くはないけど、その速度に目が回る。…これは、成功した?


「お、お父さま!めが、めがまわります〜!」


2、3回なら耐えられるけど、グルグルグルグルとバレリーナかとツッコミたくなるくらい回られると止めにも入りたくなる。お父様は回るのをやめた後もその顔を緩めたままだ。私も掲げあげられたままである



「あとで詳細は計算するが、この…ぼっぷこーんは素晴らしい食べ物だ!きっとみんなに人気になるぞ!」


「じゃあ!」


「ああ、ルーナの望み通り、屋台にしてみよう」


やったね!作戦成功だ!!

これで資金はゲットしたも同然である!


「ありがとうございます、お父さま!」


腕を伸ばしてお父様の首下に抱きつく。距離が近くなりお父様も私を抱きしめるような体勢を変えるとそのまま私を床へと下ろす


「なあに!街を活気付かせることができるんだから、ルーナにはお礼を言わないとな!」


お父さまの反応は上々だ

そして、忘れちゃいけないことを確認しないと


「お父さま、ポップコーンが売れたら、わたしのおこずかいにしてもいい?」


下から顔を覗き込む


「お小遣いかい?何か欲しいものでも?」


そりゃそうなるか。公爵家の娘が態々自分で資金を用意するのだから、何かを手に入れたいと考えるのが自然だよね

それが魔鉱石とは今は口が裂けても言えないけど


「……言わなきゃ、だめ?」


出来れば誤魔化したいなぁと打算的なことを考えながら首を傾ける


「教えて欲しいな」


お父様も優しく問いかけてくる。これは答えておいた方が探られないか


「あのね、じぶんのおかねができたら…お父さまたちにプレゼントがしたいの」


えへへ、と照れ笑いも追加しておく


「ルーナ!!そんな…気にしなくていいんだよ?」


感動に胸打たれた様子のお父様。そうは言っても口元は嬉しそうに緩んでしまってますよ?



「ううん、いつもがんばってくれてるから、じぶんのおかねでお父さまたちになにかしたいの」


第一の目的は魔鉱石だけど、親孝行しておいて損はないのでお金が余ればお父様達に使います。今決めました


私のその言葉にお父様はノックアウトされたようでその場に膝をつき、私を強く抱きしめたのだった





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