前世の知識を生かさないと勿体ないーーこの無限ループには誰も争うことは出来ないでしょう
もう一つ確認すべきこととはこの国の主食についてである
日本であれば異論なく米だろう
ただ、海外とかだと小麦が主流であったりトウモロコシが主流であったり、はたまたお肉であったりと違いが大きい。それは一重に土地や天候など育てるための環境が大きく違うこと、そもそもの味に対しての好みが違っていることが理由だ
では、この国での主食は何かと問われると『小麦』である。パンや麺類に加工されることが多いので一般的な洋食を想像してもらうとわかりやすいと思う
次いで多いのが『トウモロコシ』だ
トウモロコシは種類自体が多く、人用もあるが家畜の餌としても大きな役割を果たしてくれている
この国は温厚な気候と大きな資源である豊かな土地を多く有するとても立地の良い住みやすい国だ。かつてはこの土地を巡り大きな争いも多かったようだが、100年ほど前に平和条約が結ばれてからは戦争もなく穏やかな日々が過ぎているそう
その為、この国では人が少ない田舎町では小麦やトウモロコシなどの主食をメインに栽培しており、余った分を周囲の国へと輸出している
私が今回目をつけたのはこのトウモロコシだ
まず、私が何をしようとしているのかというと手っ取り早くお金を稼ぎたいわけだ。じゃあ、どうするか?
金が欲しいのなら働くしかあるまい。働かざる者食うべからず、だ
だがしかし、まだ5歳の私ではこっそり街で働くことすら叶わない。自分自身が労働できないのならどうするのか?そう、別の人間に働かせたらいい
私の場合は『屋台』だ
ヴェントと市民街に出て屋台を色々と回っていた時に思ったのは前世の夏祭りなんかである屋台とは全然内容がちがうと言うこと
市民街の屋台というのはお店!って感じでヨーロッパとかの観光地とかにあるような雰囲気がすごい。縁日感とかは全くなくて、オシャレに感じてしまう引きこもりの私…
いや、それはいいや。つまり、私が慣れ親しんでいる屋台は全くと言っていいほどなかった
そこに私は目をつけた
元々屋台なんて比較的安価で販売できるものをすることが多い。となると、そもそもの原価を抑えることで平民の人たちにも簡単に手が届く値段設定にできるはず
物珍しさでも一度売れてしまえば話題性は十分。波さえ作ってうっていくことさえ出来たらこっちのものだ
あとは収入を給与として屋台の人間に渡し、残りは私のものにすればいい
もし飽きられてしまったらその時は稼いだ分の元手を使って新しく別の屋台をすればいい。その頃には始めた頃よりお金に余裕があるはずだから少し凝ったモノも販売できるだろう
考えているだけでワクワクしてくる
もし、思っている通りに形になりさえすれば私は夢の魔法使いへの道を突き進めるわけだ!あー!今から楽しみだ!
さて、私が何の屋台をするのか、問題だよね?
ここで、さっきの主食の話になる
小麦ってお菓子作りに多用されるしすごく便利な食材ではある。ただ、記憶にあるお菓子を作ったりするにしても自分が人に教えられるくらいには大きくならないと商売にするのは不安だ。売りに出したはいいけども、間違った作り方をされて不人気、なんてことになってしまっては元も子もない
そうならない為には、口頭で説明しても分かってもらえるような分かりやすいメニューである必要がある
トウモロコシを使った屋台にある食べ物で作り方が簡単かつ目新しいもの
焼きとうもろこしじゃないよ?答えは
「そう!ポップコーン!!」
ーーーーーー
私の目の前にはボールに山盛りになっているポップコーンが種類に分かれて2種類置かれている
片方が王道の塩バター、もう一つが人気者のキャラメルだ。香ばしい芳純なバターの匂いと甘く蕩けるキャラメルの匂い、食べる前から口の中に唾液が溜まってしまう!
トウモロコシには種類がある。焼きとうもろこしとか私たちがよく食べている甘いトウモロコシでは実はポップコーンは作れない
ポップコーンが作れるのは爆裂種と呼ばれるまた別の種類のものなのだ
図書室で資料集めをしてからはや1ヶ月。私はトウモロコシを探す旅に出た。まあ、実際は料理長のところに行っただけだけど
ポップコーンの話をしたら料理長はそんな料理を知らないと言っていたので、かなりの意外性はあるとこの時確信した。そして、色々な種類のトウモロコシを仕入れてきてもらうように頼んだ
市場に行くたびに様々なトウモロコシを持って帰ってくる料理長。私も知識として知ってるだけだったので理想となるトウモロコシに出会うのに少しばかり時間を要した
だが、この国ではトウモロコシがたくさん作られているおかげで様々な探すのはそこまで苦労せずにすんだのは幸運だった
おかげで巡り合えた奇跡のトウモロコシちゃん!
保存食としてお店の片隅に置かれていたトウモロコシちゃんを見つけてきて料理長には親指を立ててその功績を称賛しておいた
手に入れたトウモロコシちゃんを料理長に指示して調理してもらう。これも初めのうちは大きな音がするので辺りから人が調理場に集まって大変だった
確かにうるさいし、料理長もビックリして喧しかったから仕方ないけどね
ポップコーン自体作るのは難しくない。手順に沿ってちゃんとして食材さえ使えば簡単に作ることができる
「お嬢様、この、ぽっぷこーん?不思議な食感がしますが、癖になる味ですね!」
「私、この甘い方が好きです」
試作品として完成したポップコーンを料理長やエミリーに食べてもらう
もちろん、他にいた使用人にも食べてもらった
最初は訝しげにポップコーンを眺めていたみんなだったけど、私が先に食べてしまえば食べない訳にもいかなくなり意を決してぱっくん!そして初めての経験に虜になり、次へと手を伸ばす…甘いキャラメルからの塩バター、そしてキャラメル…終わらない連鎖だ
甘いとしょっぱいは無限ループを作り出す
さあ、準備は整った
いざ、決戦の場所へ!!




