表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/57

右も左も万万歳にはならないようでーー大人になると向き合う方が難しい



友達になってくれ、そう言ったというか叫んだリオンの顔は真っ赤になっていた。緊張しているのか少し瞳を潤ませている姿は愛らしい


勇気を振り絞って言ってくれたリオン、正直私としてはその可愛さに一も二もなくイエスと叫んであげたいものの、立場を考えると気軽にイエスと言えないのである


普通に考えて、第一王子のお友達(しかも、様子を見る限りリオンには現段階では少なくとも友達と言える人は居なさそう)になるなんて、リスクが高すぎる

いくら私が公爵家の人間だからといっても王家とは違うものだ。第一王子と親しくなるなんてのはやっかみやらを絶対に受けることになる


人に嫌われるのは好きじゃない。いや、好きな人はいないと思うんだけどね。敵は作らないなこしたことはないから、無難にいきたいんだよな、私は。無難に過ごすという目標に王子の友達になるという状況は名誉なことではあるけど、ありがた迷惑といえば迷惑な行為だ

みんなと仲良くは出来ないけど、王子とか地位の高い、しかも顔の良い人間て仲良くなるのは主人公よろしくいじめられそう。別にいじめられても中身は大人なので辛くはないと思うけどされて嬉しいものじゃないし、出来れば避けたい


ただ、本人直属のお誘いである。断るは断るで角が立つというか…別の意味での不評がきそうだ。困ったものである


こんな時、小説なんかの主人公たちはどうするかな。心優しい女の子なら“喜んで”、打算的な女の子も同じかな。メインキャラと関わりたくない女の子なら“すみません”と辞退するか。どっちを選んでもそれなりのメリットデメリットがあるって感じだなぁ


友達になると女の子たちの目が怖い、あとゲームのストーリーの変化が大きそうなので今後の予測が難しくなりそうだ。良いところはリオンへのツテができることとリオンという目の保養を得ることが出来ること


友達にならない場合、周囲からの目が怖い…これはさっきと違って羨ましいじゃなく、なんて恐れ多いのかしら、の方だ。離れれば離れるほどストーリーの変化は少ないと思うのでこれは利点、あと面倒なことにも巻き込まれにくそう。しかし、リオンからの好感度は下がると思うので気が引けんのも事実かな


考え直してみてもこっち!となる答えがない


どっちをとっても思い通りにならなさそうだし、厄介ごとが起こりそうな予感がする


なので、やっぱり逃げの姿勢でいきますか


「たいへん、光栄ですでんか。しかし、わたしではでんかのともになるには力不足かとおもいます…わたしがもっとでんかにふさわしくなったあかつきには、ともとよんでいただきたくぞんじます」


頭を再度下げながら、つらつらと建前を述べていく

とりあえず、自分を下げて相手を上げる…社会でも良くやってることだよね


「じかんですので、わたしはこれにて…」


言いたいことを言い切ったあと、別れを告げる

この間、リオンに口を開く隙を与えないことがポイントだ

そして、保健も最後にかけておく


「リオとなら、おともだちです。またあいましょうね」


一瞬リオンへの距離を寄せ、耳元で2人にしか聞こえないくらいの声量でそう伝える

リオンは私に断られたことにショックを受けていたようだったが、その言葉に驚いた様子を見せた後、小さく頷いた


よし、これでリオンへのコネ作りはオッケーだ。周囲の令息令嬢はこの際放っておこう。何を言ったところでやっかみはうける。あとは出来るだけ表面上では波風立たずに過ごすだけである


一応、今回のお茶会は先ほどのリオンの挨拶で終わりを迎えている。この場を去っても問題はない

時間的にも多分お父様達も近くに迎えにきているだろうし、私が動かないと他の子たちもこの空気の中じゃ帰れないと思うので、ここは先陣を切ろう

別れの言葉は告げているのでサクッと会釈をしてから踵を返して中庭を後にする


トイレに行った時のは違って騎士が何人かそばに控えており、その近くには何人もの大人たちがいた

大人たちの社交も終わりを迎えていたようだ


色とりどりの衣装を着た大人たちの中、私の両親は顔がよくキラキラ光って見えるのですぐに見つかった。顔で見つけるってなんか変な感じだ



「お父さま、お母さま!」


2人へと駆け寄る。2人とも私に気づいていたようでひらひらと手を振って私のことを見ていた


「ルーナ、お疲れ様。初めてのお茶会はどうだった?」


お父様が私の頭を優しく撫でながら聞いてきた


どうだったと聞かれますとお菓子たらふく食べたことと王子の女装姿を見たことくらいしかないですね。あと、お友達のお誘いを断ったことと。私にマイナスなイメージがつきそうなことはいわないでおこう


「うーんと…おかしがおいしかったです!」


何も考えてない子供のふりで笑って見せる


「あら…ふふ、まだルーナちゃんには早かったかしら」


そんな私を見てお母様がクスクスと笑う。笑ったお姿も美しいですね母上

でも、5歳から社交は難しいと思います。特に私には

なので、出来ることなら社交が必要ない世界にしてほしいですね、はい。無理ですよね、知ってます


「お父さま、お母さま、かえりましょう」


この場から離れたいというか、リオンとのことで思ってたよりも疲れてる気がする。思わぬ方向からのアプローチというか、コンタクトだったから気持ちの準備ができてなかったのが問題なんだよね

今後こんなことがないように事前に作戦を練るというか、心の準備をするようにしておかないと、私の身が持たないよね


「ああ、そうだね」


「ゆっくりいきましょうか」


お母様が手を差し出してきたので手を繋いだ。胸がむず痒い感じがするけど、嫌じゃない。意外と子供になるっていうのも悪くないのかも


王城を去ってしまえばひとまずは休めるはずなので、少しの辛抱だから、頑張ろう



帰りの馬車の中で私は眠ってしまった

お父様達は私のその姿を微笑ましく見ていたらしいけど、次に目覚めた時私は全く微笑ましく思えない状況に陥っていた




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ