表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/57

スタコラサッサと逃げましょうーー危険そうなフラグの匂いからは離れるのが得策よね



まあ、聞こえていないフリをしたところで、空気として扱ってもらい続けるわけにはいかないようで。リオンの言葉でやっと私の存在をしっかりと認識したアーサーは自分のしでかしたミスにようやく気がついたらしく一気に顔色が青ざめる


それを睨み付けているリオことリオン

そして、2人の様子を盗み見ながら明後日の方向へと視線を向けている私


シュールというか、誰が収集をつけるのだろうか

私は知らんぞ、今更かもしれないけど、出来る限り傍観者になれるように引っ込んでおくことにするんだから!


「…ルーナ」


リオンが動いた

私から一歩距離を取ると頭をぺこりと下げてきた


「王子!なぜ…」


王族が恐らくは貴族であろうが自分よりも下位の者へと頭を下げることは小説の中ではそこそこな頻度であれど、実際はあってはならないことに部類される行いなのだろう。リオンの行動にアーサーが青ざめた顔をさらに驚愕へと変えていく


「だまれ、アーサー」


それに対してリオンははっきりとした口調で命令を下す。その姿は見た目は可憐な少女であれど威厳を備えた王としての素養を感じるさせるものだった

見た目は女の子なので違和感がすごいが


「ルーナ。すまなかった…わたしは、きみをだましていたのだ」


アーサーへの態度とは打って変わって至極申し訳なさそうに謝罪の言葉を口にするリオン。ごめんね、謝らないといけないのは私なのに。騙したも何も最初から正体はわかっていたし、それを承知の上でコネ作りも兼ねてこの場に居座ったんだから。そんなことは口が裂けても言えないけど


「あらためて、名のらせてもらいたい」


うん、名乗らなくても知ってるんだけどね


「わたしはリオン・グラーリタス。こんかいの茶会のしゅさいしゃだ」


意を決したように名前を名乗ったリオン。うん、ごめんね、知ってるんだって。貴方のことならゲームの知識はもちろんのことファンブックのおかげで好きな食べ物なりなんなりのよくわからない情報まで知ってるのよ。そのことを伝えることはないけど


「…ルーナ・ナハトヒンメルンです。かずかずのぶれいなはつげん、しつれいいたしたしました」


中身の私がどれだけ彼を知っていようとも、本来のルーナであればリオンについてなんてなーんにも知っているはずはなく、私は表面上はリオンについて何も知っていない令嬢なので、スカートを持ち上げながら頭を下げて先程までの非礼を詫びる

正直なところ、形式的なものだけど、出来るだけそれを諭されないように…悟られませんように!と思いながらリオンからの言葉が出るまで頭を下げておく


いっそ、このままリオンもアーサーもどっか行ってくれないかな。出来れば中庭の場所まで連れて行って欲しいというか、道順だけ教えてもらえるとありがたいんだけど。そして、中庭に帰ったら私は目的を達成したのでさっさとこの場からずらかりたいです


「ナハトヒンメルン…こうしゃくけか…」


名前からでは私の状態というか家について認識していなかったリオンはこれでしっかりと私という存在を認識したことでしょう。謝ってくれたということは嫌っていないと思うので、このまま解放してくれれば問題なしなんだけどなぁ…


ちらっと先ほどのようにリオンの顔色を伺う。なお、アーサーはリオンの命令によりずっと黙ったまま私たちの成り行きを見守っている。その顔にはありありと“どういう関係だ?”と浮かんでいた


アーサー、私たちはどういう関係でないただの知人ですよ。さっき会ったばかりの私たちの関係についてそれ以外の名称は存在しないというか、当てはまらないだろう。私からわざわざアーサーにそれを言う義理はないし、権利もないので黙ってるけどね


「ルーナ、顔をあげてくれ。おたがいに身分もしらずにはなしていたんだから、ここでのことはふもんにしよう」


リオンの言葉でようやく顔を上げられる。よし、本人からの不問発言いただきました!アーサーを承認にここでの私の行いは許される事がこの場で決定しました!誰も私がリオを泣かせたことは責められなくなったのだよ


「ごはいりょ、ありがとうございます、でんか」


この場でほしい発言はもらったし、この場を去る口実というかタイミングは今しかない。このままうだうだと一緒にいると面倒なことに巻き込まれそうな気がするので一刻も早くこの2人から離れるようにしよう


「でんか、わたしはこれにてしつれいいたします」


善は急げ、この行いが善行かどうかはこの際関係ない。とりあえず動くのだ。立ち去る前の挨拶をさっさとしてしまう。ただ、帰る方向がわからないのでそれは新しく邪魔をしてきたアーサーに聞くことにしよう


「すみません。中庭への道をおしえていただけますか?」


「え?あ、ええと…」


自分に話しかけられると思ってなかったのか最初は口籠ったもののすんなりと意外にもわかりやすく道順を説明してくれたアーサー。そして判明する意外と近くに中庭があったという事実。どんなに迷っても30分位グルグルしてたらいつかは辿り着いた気がするぞ…私はお手洗いを探して城を一周する感じになっていたのか?

まあ、いい。結果として中庭に戻れるのだからオールオッケーだ


中庭に戻るためにも移動してしまおう。リオンも静かだし、今度かそ逃走開始である


この場から逃げるというか、女装している理由とか重そうなことを語られ始められると厄介なので早足で歩みを進める。気になるといえば気になるけどなんとなくの予想はしてたし、秘密を打ち明けることで親密になるのもアレなので、スタコラサッサといなくなろう


そうして渡り廊下を小走りで移動していく私をリオンが何か言いたげな瞳で見つめていたことを、リオンやアーサーと極力目を合わせないようにしていた私は知る由もなかった




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ