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空から溢れた滴はとまらず雨となるーー雨のあとの美しい光景を私はきっと忘れない



ほらーー!言われた!言うよね、そりゃ!!こんだけお菓子について力説したら、そりゃ食いしん坊になっちゃうよね!わかる!!でも、ルーナにそんな優雅じゃない印象をつけたくはなかった!!私のせいなんだけども!!


「えー…そう、かな?」


そうじゃないよ、と言って欲しいとちょっと期待しつつ、照れたように頬を掻いてみる


「うん、そうだよ」


当然ながら、訂正の言葉なかった。むしろ肯定されてしまった。まあ、リオがまた楽しそうに笑ってくれているので今回は良しとしよう

名誉は挽回するものだっていうもんね。汚名は返上するものだし、いつか違う印象を持ってもらえるように頑張ることにしよう


「それに、変わってる」


「え?」


今度は私が聞き返してしまった


「ふつうは、そんな理由いわないよ。それに、もっと、うん、もっと良くいうものだよ」


そう言った横顔は少し悲しそうに見えた。もしかしたら、その身分に対して媚びを売る大人にでも会ってしまったのかな。この年でそんな目に合っているのなら、このゲームの主要キャラの過去は重くないですか?まだ5歳ですよと制作会社に言いたくなる


「だって、ほんとうなんだもの。あと、リオは笑ってよ」


リオの頬を摘まみ、にゅっと引っ張って口角を上げさせる。少々間抜けな顔になってしまったが、悲しんでいるよりかはこの方が全然いい


「はひふうの!?(なにするの!?)」


頬を持ち上げられたままのリオが言う。なんて言ってるのか全く発音できてないけど、言いたいことはわかるのでそのまま会話を続ける


「さいしょにもいったでしょ。笑った方がステキって。かわいいんだから、笑おうよ」


これは紛れもない本心である。イケメンもかわい子ちゃんも笑った方が魅力的だ。いや、無表情キャラをバカにしているとかダメとか言ってるわけじゃなくて、彼らにもとてもすごく、そうとても良い魅力はあるんだけど、それとこれとは話が別というか…いや、私は誰に対して言い訳をしているんだ。ともかく!顔がいい人間は勿論のこと、人っていうのは笑顔が一番素敵なんだから、魅力を振りまいておこう


「それに、笑うときもちがげんきになるよ」


これは本当の話。口角を上げているだけでも脳が誤作動を起こして幸せホルモンを分泌されるので意識的に笑う、つまりは口角を上げるのは気持ちのリフレッシュにもいいのである。これは前世で聞き齧った話だけど


「リオが笑うと、わたしもうれしくなるの」


美少年でも美少女でもその姿を見れるだけでオタクというのは沸き立つ…失礼、嬉しくなるものだけどね。私も当然嬉しくなるというか、興奮するのでゲームでそんな場面があれば暫くはそのスチルを待ち受けにして生きる活力にしていました


マジな話、オタクにとって推しの笑顔に勝るものはない。人によっては泣き顔とか歪んだら愛もあるけども、私は笑顔派なので


きょとん、本日何度目かのびっくりリオちゃん。頬を引っ張られたままだというのに可愛さは変わらないのは流石である。そのまま手を離すタイミングを見失ってしまった私は大きく広げられた空色の瞳を見つめていた


すると、ほろほろと大粒の涙が空色の瞳から溢れてきた。まるで、雨が降るように溢れてきたのだ

これには流石の私もびっくりして手を離した


「え!ど、どうしたの?いたかった!?」


タジタジである。リオもリオで表情を変えずに涙を流し続ける始末。なんてこった、どこが琴線に触れたのかわからないぞ

でも、透明な滴は止まることなく落ちてはリオのドレスにシミを作っていく。あー!あー!色が薄かっただけにすごく目立つ!!


私は咄嗟にリオを抱きしめた


「ごめんね、ごめんなさい。なかせてしまって…ハンカチ、ないから!その…わたしのふくでふいてね!」


拒否されたらどうしよう、大の大人がここまでテンパってしまうとは情けないが、子供もいなかった人間にそもそも5歳児の相手をするのが無理な話なのだ。ましてや号泣である。理由も不明。荷が重すぎる。私には無理です。来世は保育士が幼稚園教諭になって出直してきます


そして、乙女の風上にも置けない私はハンカチーフ!を持っていないのでお上品に「涙を拭いて」なんて差し出すこともできず、着ているこのワンピースを差し出すしか出来ません。次からはハンカチ持ち歩くから、今回は我慢してね!!


リオはおずおずと私の背中に手を回してきた。肩は頭を押し付けているので、多分顔を埋めているんだと思う。ぐすぐすと定期的に鼻を啜る音が耳に届き、リアのいる方の肩がじんわりと湿ってきてる感じがするので変わらず涙が出ているのだと思う

私も私でもう何を言っていいのか分からなくなってしまったので、泣いているリオの背中をヨシヨシと優しくさすることしか出来ない



いつまでそうしていたのかわからない

ただ、気づいたらリオが私から離れたので自然と私も手を離して2人で至近距離で向かうあった状態になる


リオの目元は赤くなってリンゴみたいになっていた。まあ、それで薄れるような美貌ではないけど

涙はおさまってくれたようで雨のようなそれで頬はもう濡れてなかった


「ルーナ…ありがとう」


照れた顔でお礼を言ってきたリオは控えめに言って最上級に可愛いです


「…ううん、わたしのせいでしょ?わたしこそ、ごめんなさい」


理由がわかってないのに謝るのは卑怯だと思うけど、全て私が悪いと思うので謝っておく。リオが悪いはずがないのである


私の言葉にリオが静かに首を振る


「ちがうの…わたし、うれしくて…」


「うれしい…?」


「うん、笑ったほうがいいなんて、はじめていわれたの」


うーん、確かに面と向かってそんなこという機会なんてなかなかないから言われたことはないのかな?なんかニュアンスが違う気がするけど…まあ、いっか


「そう?でもほんとうだから。リオはなにをしててもステキだけどわらってるほうがもっとステキよ」


私のその言葉への返事なのか、このとき見せてくれたリオの笑顔は晴れやかで、一番輝いて見えた




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